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ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2014年 12月 27日

中国「四線」級地方都市の夏の風物詩、広場に繰り出す若者たち(黒龍江省牡丹江市)

北満に位置していますから、冬は寒冷で長く、夏は短い。今年7月中国黒龍江省の牡丹江を訪ねたとき、夏の夜を楽しむ市民が広場に繰り出していました。
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牡丹江の市街地は鉄道駅の南を中心に形成され、メインストリートは駅から牡丹江(河川)まで延びる太平路。平安街と交差する場所に文化広場があり、その周辺が繁華街です。
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太平路と平行して駅から南に至る東条路は歩行者天国で、夜は屋台が出ます。
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ぼくはこういう中国の地方都市の夜の街をふらつくのが案外好きです。
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広場には大型ビジョンの映像が流れています。水着モデル大会の告知のようです。
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さすがは中国。偽マックが堂々と営業しています。
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「魚疗馆」というのは、魚が足の角質などを食べてくれるフィッシュマッサージのことです。こういうの、彼らは好きですね。
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高級宝飾店も営業しています。電光掲示板には、宝飾品の投資価値や運勢のことなど、いろいろ謳っています。

見ていて飽きなかったのは、広場でダンスに興じる地元の若者たちの姿でした。都会に憧れる地方都市生まれの若者たち。日本の1970年代にタイムスリップしたような気がします。
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踊る牡丹江の若者たち(動画)
http://youtu.be/qULxHVwJDcI

ところで、中国では国内都市を経済発展レベルで5つのランクに分けて「○線都市」などと呼ぶことがあります。「一線都市」は、中国を代表する北京市、上海市、広州市、天津市、深圳市。「二線都市」は省都や沿海都市など。「三線都市」は「二線」に次いで経済規模が大きい地方都市です。

東北三省では、瀋陽市(遼寧省)、大連市(遼寧省)、長春市(吉林省)、ハルビン市(黒龍江省)が「二線都市」、鞍山市(遼寧省)、吉林市(吉林省)、大慶市(黒龍江省)などが「三線都市」ですから、牡丹江は「四線都市」あたりではないかと思われます。まあ片田舎の地方都市ということです。

「四線都市」といってもバカにできないのは、今回宿泊したホテル(金鼎国際大酒店)も悪くはないことです。人口だって90万人。日本の地方都市に比べれば、決して小さくはない。ハード優先には違いありませんが、地方都市の想像以上の発展ぶりを多くの日本人は理解していないといえるかもしれません。
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それに、こういう地方都市の普通の人たち(中国では「老百姓」といいます)の暮らしぶりこそ、いまの中国を表象しているといえるのではないか、と思うのです。

2011年、東京で開催された中国インディペンデント映画祭の上映作品『花嫁(新娘)』(2009)は、四川省巫山県という長江中流域の地方都市に暮らす4人の中年男の物語です。

花嫁(新娘)
http://cifft.net/2011/xn.htm

※『花嫁(新娘)』のストーリーについては以下参照。
さえない中年男たちのドタバタ劇だが、身につまされる?(中国インディペンデント映画祭2011 その10)
http://inbound.exblog.jp/20052959/

『花嫁(新娘)』の章明監督は、同映画祭のインタビューで次のように語っています。

「私の作品の特徴は、登場人物に語らせるというスタイルであることです。『花嫁(新娘)』の場合も、地方の小都市に住む人々の生活やモノの見方、態度を描いています。彼らこそ中国の一般大衆です。中国の人々の大部分は大都市ではなく地方の小さな町に住んでいるのです」

誰もが知る首都北京や上海を舞台にした作品ではなく、地方都市に生きる人たちこそ、中国の一般大衆であり、彼らの姿を描くことに意味があるというのが、章明監督の考えというわけです。

前述の牡丹江の若者のダンス動画などを見ていると、その意見にぼくも強く同意したくなります。

by sanyo-kansatu | 2014-12-27 10:18 | 日本人が知らない21世紀の満洲


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