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ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2015年 06月 12日

6月に入り、政府発の訪日旅行拡大効果を伝える強気の発表続く

6月に入り、訪日外国客増加の統計を背景にした政府発の強気の発表が連日のように続いています。

ニッポン、観光で稼ぐ 消費倍増年4兆円・雇用40万人増 政府新目標(朝日新聞2015年6月6日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11793788.html

昨年の外国人旅行者による国内の消費額が2兆円超えをしたことから、倍増を目指すというものです。

「4兆円は、旅行中の宿泊費や買い物代、食事代などを合計した金額。14年から倍増させる目標だ。目標に据える4兆円は、日本の鉄鋼製品の輸出額(14年)に匹敵する。観光庁の試算では、消費額が2兆円増えることで、地方を中心に40万人の新しい雇用が生まれる。

この目標を実現するため、消費税が免除になる「免税店」を、東京・大阪・名古屋の3大都市圏以外で20年までに今の3倍の2万店に増やす。

売り込む商品も工夫をする。外国人におすすめの商品を認定して、地域ごとの「ブランドマーク」を付ける。

政府は、外国人旅行者を20年に2千万人に増やす目標を立てているが、数年前倒しで達成できるとみている。今後も、今月中旬にブラジル、モンゴルも早期にビザの要件を緩めるなど、外国人旅行者が入国しやすくする方針だ」(一部抜粋)。

さらに興味深い報道は、訪日外国人効果がGDP成長に寄与しているというものです。その要因として、設備投資が増えたことにあり、背景のひとつに「訪日外国人の増加でホテルの改修」があったことに触れています。

GDP、設備投資増え上方修正 年率換算3.9%増に(朝日新聞2015年6月8日)
http://digital.asahi.com/articles/ASH677TH7H67ULFA008.html

「内閣府が8日発表した2015年1~3月期の国内総生産(GDP)の2次速報は、物価の変動をのぞいた実質成長率が、前期(14年10~12月)より1・0%増だった。年率換算では3・9%増。5月20日発表の1次速報では年率2・4%増だったが、企業の設備投資がこのときの想定より大きく伸びたことから、大幅な上方修正となった。プラス成長は2四半期連続。

上方修正の最大の要因は、設備投資が1次速報の前期比0・4%増から、2・7%増へと大きく修正されたことだ。1次速報の後に発表された「法人企業統計」などをもとに推計し直した結果、自動車関連向けの生産能力を上げた電気機械や、物流センターの建設があった卸売業、訪日外国人の増加でホテルの改修があったサービス業などで投資が伸びていた」(一部抜粋)。

最近、ぼくは訪日客の増加で日本のホテルシーンがどう変わってきたかというテーマで取材を続けています。ここ数年、特に都内のホテルの新規開業ラッシュやリノベーションによる新種の宿泊施設が次々に生まれている事情を知っていたので、なるほどと思いました。いまの時代、マンションよりホテル投資が有望だと考えられているのです。

そして政府は6月9日、2015年版観光白書を公開しました。

「平成26年度観光の状況」及び「平成27年度観光施策」(観光白書)について
http://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_000252.html

あるネットメディアは、国内の宿泊旅行の状況についてこう報じています。

観光白書2015、宿泊施設の客室稼働率が過去最高、国内旅行は減少も外国人増加で宿泊者数はプラス (トラベルボイス2015年6月10日)
http://www.travelvoice.jp/20150610-44369

「2014年の国内旅行で日帰り旅行が前年比1.8%減の3億449万人、宿泊旅行が4.0%減の3億771万人に減少。2011年から続いていたプラス推移はマイナスに転じた。この要因として観光白書では、消費増税や物価上昇、天候不順等の影響を上げている。

ただし、延べ宿泊者数は1.4%増の4億7232万人泊と増加。日本人の減少(1.1%減の4億2750万人)を外国人(9.5%増の4480万人)が補っており、2014年の国内旅行市場の成長はインバウンドが牽引したことが明らかとなった。

全国の客室稼働率も58.4%と調査開始以来過去最高を記録。特に東京都は2011年の68.0%から81.5%、大阪府は68.2%から81.4%と8割を超えた。その一方で47都道府県の稼働率の標準偏差は7.7%から10.2%に拡大し、地域差が広がったことを指摘している」(一部抜粋)。
6月に入り、政府発の訪日旅行拡大効果を伝える強気の発表続く_b0235153_11202848.jpg

これらの統計からいえるのは、いまや国内の宿泊者の10人に1人は外国客であること。東京や大阪などの大都市圏での客室稼働率が過去最高になっていることです。地方都市も稼働率は上がっているものの、そのぶん大都市圏との格差があることもわかります。

2015年版観光白書では、他にも外国客による消費の実情について詳しく解説しています。

その内容については、またいつか検討してみようと思います。

by sanyo-kansatu | 2015-06-12 11:20 | 気まぐれインバウンドNews


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