2015年 08月 12日
清津から七宝山に向かう途中に鏡城というまちがあり、その少し北に温堡温泉があります。休火山である白頭山系に属する七宝山の周辺には温泉が多く、戦前期から知られる朱乙温泉のような温泉街もあるはずですが、外国人に開放されているのはここだけのようです。 そこは日本式の温泉郷ではなく、ロシア式サナトリウム(温泉療養所)でした。 館内に入ると、温泉の入り方や効能など図解と説明が延々書かれています。 朝鮮側の提供する資料によると、泉質は水素炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムを含む鉱物質希薄珪土泉。効能は関節炎、神経痛、高血圧、婦人病、ガスおよび鉛中毒、慢性大腸炎、手術後遺症、十二指腸潰炎、胃炎などと書かれています。「ガスおよび鉛中毒」というのがよくわかりませんが、飲用もされるようです。 湯船は個室に分かれていて、こんな感じです。情緒はまったくありませんが、お湯は源泉そのものでとても良かったです。湯上り後は、身体の内側からホクホクしてくるような湯の力を感じました。 これは中国東北地方でも同じですが、かつて日本が大陸や朝鮮半島につくった温泉は日本の温泉郷のような遊興地でした。いまでも現存する遼寧省鞍山にある湯崗子温泉や丹東の五龍背温泉には、日本時代の温泉施設が残っていますが、解放後、ソ連軍が入ってきてから、一部を残しながら、大半はロシア式のサナトリウムに変わってしまいました。これはいい悪いの話ではなく、この地域の覇権が日本からロシアに移ったためで、現在の北朝鮮の温泉地はたいてい療養地になっています。唯一違うのが、金剛山に1990年代後半につくられた韓国資本の温泉施設でしょうか。こうして朝鮮半島の南北で温泉の形態が異なっているというのは、面白いですね。 明治の文豪も訪ねた満洲三大温泉はいま http://inbound.exblog.jp/23954021/ そばには日本時代のものを思われる給水塔が建っていました。この周辺の水はミネラル分が高いということで、水を汲みにくる地元の人たちの姿も見ました。 この温泉療養所の近くに温泉ホテルがあります。蔦に覆われた外観が印象的です。 客室には個室風呂があり、温泉です。これもいいお湯です。 温堡温泉の周辺は美しい並木に囲まれた避暑地のようです。そこにはいわゆる革命跡地になっています。その話は次回に。
by sanyo-kansatu
| 2015-08-12 10:28
| 朝鮮観光のしおり
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