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ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2016年 02月 29日

「重慶・東京5400円から」「日本旅行5泊6日6万3000円」~重慶、成都の街角にて

2月中旬、重慶と四川省の成都を訪ねたのですが、街でさまざまな日本旅行の情報を見かけました。

いま中国の内陸都市から日本に向かう航空路線が急増しています。重慶や成都でも、日本旅行が少しずつブームになり始めています。

東アジア航空網に新時代、訪日客増大の本当の理由は地方路線の大拡充
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/022600007/

街角で見かけた日本旅行の募集告知や案内版を紹介しましょう。

まず訪ねてみたのが、スプリングジャパンの就航で成田との直行便が実現した春秋国際旅行社です。
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春秋国際旅行社重慶支店
渝中区民生路268号
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旅行店舗の表に春秋航空の日本線が書かれています。

重慶=東京(火木土日) 5時間
重慶=大阪(月水度) 4時間
春秋航空 www.ch.com

そして、スプリングジャパンの就航で実現した「重慶・東京299元(5400円)より」が目を引きます。
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店舗に入ると、春節休暇も終わったばかりだというのに、けっこうにぎわっていました。やはり、日本旅行が一番人気のようです。ためしに客を装って、日本線やツアーの料金を尋ねてみたところ、2月18日発の重慶・成田便の片道は980元(1万8000円)、26日初の東京・大阪6泊7日のツアーが3500元(6万3000円)でした。
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これでわかるように、スプリングジャパンの片道299元(5400円)というのは最安値であって、通常は片道2万円相当のようです。春秋航空の茨城・上海線でも同様で、同社はよくキャンペーン料金を出すものの、時期と席数は限定です。だとしても、個人観光ビザを取得して、うまく日程を調整すれば、重慶の人たちも片道5000円相当で日本に来られるというわけです。

春秋国際旅行社では、今年も福岡など九州を訪れるクルーズ商品も販売しています。重慶市民の場合は、まず上海まで飛んで、そこからクルーズ船に乗船します。
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重慶に来て気がついたことがあります。中国の一定の所得層の人たちは、東シナ海のクルーズツアーの前段階として、重慶発の三峡クルーズを経験済みだろうということです。三峡クルーズもたいてい3泊4日から4泊5日ですから、東シナ海クルーズと日程的にも同じです。彼らはカジュアルなクルーズに慣れているといっていいでしょう。
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それにしても、これまで何度も指摘してきましたが、「日本旅行5泊6日3500元(6万3000円)」というのは呆れてしまいます。

実は、成都でも同じでした。街場の小さな旅行会社の店舗にこんな貼り紙があったからです。
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すべては免税店での“爆買い”を前提として成立させている、きわどい商品です。

もっとも、新しい動きも見つけました。重慶で最もにぎやかな繁華街の解放碑地区で見かけた電光掲示板です。

これはシンガポール旅行の案内です。
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次が、日本旅行。しかも、「日本自由行」。つまり、個人観光ビザ取得者だけが可能な自由旅行の意味です。
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興味深いことに、ずいぶん細かく料金が表示されています。個人旅行の場合、個々の手配を自分でしなければならないからです。

机票(エアチケット)2700元より
4星酒店(4つ星ホテル)400元より
JR交通卡(JRパス?※これがどのパスを指すのか不明)65元
WIFI 18元/天
本州机场接送机(空港からの送迎・片道)600元/趟

新亜国際旅行社
http://www.cqxygl.com
※同社のHPをみると、重慶発の日本ツアーがいくらくらいで売り出されているかわかります。またエアチケットの値段(2700元より)からすると、春秋航空ではなく中国南方航空利用のようです。春秋航空を利用できれば、もっと安くうたえるわけですが、春秋国際旅行社の独壇場なのでしょう。

中国の内陸都市発の訪日旅行市場がいま、どのようになっているのか。これら街場の広告はそれを理解するうえで手がかりになりそうです。

by sanyo-kansatu | 2016-02-29 15:50 | “参与観察”日誌


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