2016年 04月 09日
ここ2回ほど、上海のコンビニがいまどんなことになっているかについて書いてきました。 弁当、ベイカリーなどPBが充実【前編】上海コンビニはここまで進化していた http://inbound.exblog.jp/25641549/ ローカル系コンビニから見えてくる上海人の消費生活 http://inbound.exblog.jp/25642955/ ところで、上海滞在中、どうしても気になるのがPM2.5です。毎日がそんなにひどいというわけでもありませんが、1週間ほど滞在していると、必ずやばい日があります。朝ホテルの窓から外を見ると、空は真っ白。現地に住んでいる日本人は「もう慣れっこだから」と苦笑いしますけど、たまに行く人間は、どれだけのど薬やマスクなどで万全の対策をしていても、やはり心配の種はつきません。 ①ドラックストア商品も充実 その点、日系のコンビニには、たいていPM2.5予防用の高機能マスクも置かれているので安心です。ただし、香港製で1枚32元(550円)と安くはありませんけれど。 ほかにも、スキンケアやシャンプーなどの女性向けドラックストア商品も揃っています。 男性向けも店によってはけっこうあります。ただし、やっぱり日本で買うのに比べると割高ですけれど。 それでも、乾電池や細かなPC用具、ステイショナリー類など、旅先であると助かるアイテムも事欠かないのが、いまの上海コンビニです。 現地生産のポッキーなどのお菓子類も豊富です。 日系なら、ワインも日本と同様揃っています。1本100元(1800円)くらいで、こちらも日本より高い印象です。 ②物販以外の便利なサービス これまでは日系コンビニの品揃えの話でしたが、上海コンビにはローカル系も含め、物販以外にも使えるサービスが充実しています。 たとえば、携帯の無料充電器。これはけっこうありがたいものです。この種の携帯まわりのサービスについては、たぶん東京より上海のほうが進んでいる気がします。 上海の日系および前回紹介した3大ローカル系コンビニ(好徳、快客、喜士多)などでは、たいてい店舗内にこのような多種多彩のサービスを行う端末が設置されています。 これはある好徳の店舗の端末機です。メニューをみると、わかりやすいところで、中国の高速鉄道や飛行機の予約ができたり、携帯やゲームのポイント、地下鉄カードのチャージ、公共料金の支払い、意外なところでは、交通違反の罰金の支払いなどもできます。中国最大のEC企業アリババが提供する「支付宝(アリペイ)」やテンセントの微信(WeChat)に組み込まれている「微信支付(ウイチャットペイメント)」などの決済サービスもあります。この種のキャッシュレスの普及は、日本より進んでいると思われます。 この端末機を使って中国専用で使っている携帯のポイントをチャージしてみました。支払い方法は、銀聯カードと微信と支付宝から選べるようになっています。現地に住んでいるわけではないのですが、もうだいぶ前につくった銀聯カードで決済しました。携帯のポイントチャージは、以前ならコンビニやキオスクなどで専用カードを買って、移動通信に電話をして暗証番号を入力するというやり方でしたが、いまはコンビニの端末で簡単にできてしまいます。 この種の端末がないコンビニでも、地下鉄カードのチャージができる店もあります。この上にカードを載せて、必要な金額だけレジで払えばチャージ完了です。上海ではコンビニが生活のインフラとなっているというのはこういうことです。 上海のコンビは表向き中食を中心としたPB(プライベート・ブランド)で競い合っているように見えて、その実こうした決済サービスができる店とそうでない店で、おおかた決着がついてしまっています。この種のサービスの種類の豊富さでいうと、ローカル系のほうが日系より優っているように見えます。 ③ポイントサービスや宅配も上海流 日本でも顧客の囲い込みのため、コンビニごとにポイントのためられるカードを発行していますが、上海では、すでに携帯が決済だけでなく、ポイントの受け皿になっています。 たとえば、ローソンでは店頭のポスターやレシート、ウエブサイトに記載してあるQRコードをスキャンすると、アプリがダウンロードできます。そして、10回購入すると、弁当やおにぎりなどの無料クーポン券がもらえるサービスを始めています。ただポイントをためて割引に使うというようなことでは、上海の消費者は満足しないそうです。それより直接商品をプレゼントするほうが効果があるというのです。 APP STOREのアプリ『罗森点点』はこのQRコードをスキャンします。こうしたことが可能なのも、日本に比べ携帯アプリなどの決済サービスが普及しているからなのです。 さらに、驚くべきは、コンビニのコーヒー宅配サービスです。これはセブン・イレブンの宅配サービスです。 上海ではあらゆるものがECで購入できる環境が整いつつありますが、それが可能となるのは、運び屋であるバイク便の兄ちゃんたちが大勢いるからでもあります。こういうことは、上海のような都市戸籍/農村戸籍(あるいは外地戸籍)という、公然とまたあっけらかんと2つに階層化された社会でなければ実現できないものだと思いますが、現にそれが実現してしまっているので、ただただ驚くほかありません。 日本より進んでいる中国ECサービス 支えているのは誰か? http://inbound.exblog.jp/25584174/ とまあいろいろ裏の事情もありますが、上海のコンビニが進化していることはおわかりになったと思います。このような便利な消費社会を生きているのが上海人であるということを知っておくことは必要です。なぜなら、日本に旅行に来るのは、当然これらのサービスを日常的に使っている側の階層の人たちだからです。だとしたら、彼らは日本に来て、ずいぶん不便だなあと思うかもしれません。だからといって、彼らにどこまで合わせるかという話はまた別のことですけれど。
by sanyo-kansatu
| 2016-04-09 20:19
| のんしゃらん中国論
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