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2016年 04月 28日
休暇をとって、以前からずっと訪ねてみたかった地方のまちを旅する楽しさというのは、かけがえのないものです。国内旅行ですから、忙しさにかまけ、関心のある見どころ以外の食事や遊びの情報などは、ネットで事前にあれこれ調べる時間がなくても、新幹線駅の書店でその土地の「るるぶ情報版」をとりあえず買っておけば、ひとまず大丈夫。移動中じっくり予習をする時間はあります。 現地に着くと、さっそく地図にここぞとマーキングした見どころやおいしいと評判のお店などを訪ねてみる。すると、いまどきたいていどこでも外国人の小グループをよく見かけます。 「どうして彼らはこの店を知っているのだろう?」 その理由は、前回書いたとおりです。「るるぶ情報版」の多言語版がいまや海外のふつうの書店で売られているからです。 「るるぶ情報版」(中国語版)が上海の本屋で売られていた!(その意味を考えてみる) http://inbound.exblog.jp/25723467/ しかも、それは中国や台湾、香港などの中華系の人たちだけでなく、タイやマレーシア、インドネシア、シンガポールといった東南アジアの人たちにまでいえることなのです。 昨日、発行元のJTBパブリッシングに確認したところ、2016年3月現在、以下の国・地域で多言語化された「るるぶ情報版」が発行されています。 ■中国本土/中国語簡体字版 タイトル 北海道、東京、京都、九州、沖縄 発売 2015年12月 ■台湾/中国語繁体字版 タイトル 北海道、東京、京都、九州、沖縄 発売 2015年12月 ■香港/中国語繁体字版 タイトル 北海道、東京、京都、九州、沖縄 発売 2015年12月 ■タイ/タイ語版 タイトル 京都、九州 発売 2015年2月より随時 ■シンガポール/英語版 タイトル 九州 2016年3月 ■マレーシア/英語版 タイトル 北海道、東京、京都、九州、沖縄 発売 2016年3月 ■インドネシア/インドネシア語版 タイトル 北海道、東京、京都、九州、沖縄 発売 2016年3月 驚いたことに、タイ語やインドネシア語版まで発行されているんです。実際、タイの出版社のサイトをみると、「new araival」のコーナーに確かに「るるぶ情報版 九州」が見つかりました(右から2番目の本)。タイ語版としては、京都もあります。 ![]() Jamsai(タイの出版社) http://www.jamsai.com/ JTBパブリッシングさんからタイ語版の「るるぶ京都」をいただきました。この表紙、えらくインパクトがありますね。派手な色使いもそうですが、ふだん見慣れぬタイ語がからむと、いったいここはどこなんじゃ? という気がしてきます。なにしろかの国のお寺はキンキラ金に輝いていますから、このくらいインパクトがあってこそ、彼らの旅心を刺激するということなのかもしれません。 ![]() 中もめくってみましょうか。 これは金閣寺のページです。 ![]() これは祇園。 ![]() こちらはグルメページで、京懐石でしょうか。 ![]() 最後のこれはお土産ページ。京小物のコーナーです。 ![]() 金閣寺や祇園、京料理の写真の合間をはうように綴られるタイ語がなんとも新鮮です。 2015年、約80万人のタイ人観光客が日本を訪れました。すごい勢いで増えています。タイは2013年以降、日本の観光ビザが免除されていますから、多くの場合、個人旅行でやって来ます。特に若い世代の大半はそうで、最近では全国各地で彼らの姿を見かけます。 これは3月末、京都駅で見かけたタイ人の若い女の子の小グループでした。彼女らの誰かひとりくらいは「るるぶ情報版」を手にしているかもしれません。 ![]() タイ人というのは、男の子も女の子もシャイで控えめなところがあり、好感度が高いです。見ていてかわいいので、ぼくは電車の中でタイ人に隣り合わせると、つい声をかけてしまいます。「これからどこ行くの?」「明治神宮」「じゃああと4つめの駅だよ」……。そんなささやかな会話だけでも、ほっこり気分にさせてくれる人たちです。 そんな彼ら彼女たちが、いまや日本人と同じ内容が書かれた「るるぶ情報版」を手にしている、つまり同じ情報源をもとに旅しているのだとしたら、これからもいろんな場所で彼らと出会う機会は増えることになりそうです。 ひとつ気がかりなのは、先般の熊本の地震です。当時そこそこ多くのタイ人が熊本に個人旅行していたようです。タイ人の知り合いに聞くと、「本当に怖かった」「もう2度と日本には来たくない」とトラウマになってしまった人もいるそうです。 無理もありません。生まれてこのかた、彼らはあのように大地が激しく震える体験などしたことがないからです。 である以上、今後はただ「来てくれ」というメッセージだけでなく、もっと地震に対する外国人の心のケアを考えた情報発信に努めていく必要がありそうです。安全情報の出し方も、「もう大丈夫」といくら日本人が言っても、彼らは素直に受け取る気持ちにはなれないかもしれません。彼らにすれば、「あななたち(日本人)はなぜそんなに平気なの?」と、かえって不信感を募らせてしまうかもしれないからです。東日本大震災後の被災者の冷静なふるまいが世界的に賞賛されたのは事実ですが、それを外国人に求めるのはコクというものです。 外客向けの情報提供において、非常時の対策や心のケアをもっと充実して行かなければならないと思いました。
by sanyo-kansatu
| 2016-04-28 12:23
| “参与観察”日誌
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