2016年 11月 18日
今年4月、鳴り物入りでオープンした「LIVE JAPAN」をご存知でしょうか。 LIVE JAPAN https://livejapan.com/ja/ 「海外観光客向けの東京観光名所や体験情報を発信しています! SNSでも話題の誰もが行くべき東京都内近郊のお店情報や観光スポット&イベント、お土産情報を幅広くご紹介しています」というサービスです。 参画企業のラインナップは堂々たるものです。都内の交通機関、空港、エアラインまでが揃っています。 ■参画企業(事務局)一覧 ・株式会社ぐるなび ・東京急行電鉄株式会社 ・東京地下鉄株式会社 ■参画企業一覧(50音順) ・エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社 ・小田急電鉄株式会社 ・京王電鉄株式会社 ・京成電鉄株式会社 ・京浜急行電鉄株式会社 ・西武鉄道株式会社 ・全日本空輸株式会社 ・東京空港交通株式会社 ・東京国際空港ターミナル株式会社 ・東京都交通局 ・東武鉄道株式会社 ・成田国際空港株式会社 ・ヤマト運輸株式会社 https://livejapan.com/welcome/ これを仕切るグルメサイトの「ぐるなび」のプレスリリース(2016年2月18日)によると、 「訪日外国人向け観光情報サービス LIVE JAPAN PERFECT GUIDE TOKYO 4月13日グランドオープン! 東京国際空港ターミナルと京王電鉄が新たに参画し、計16社が空港・バス・鉄道の沿線情報を発信 本サービスは、観光地、飲食店、ショッピングなどの正確かつ詳細な観光情報をリアルタイムに提供します。また、Wi-Fiスポットの検索や経路検索といった旅行中に役立つ便利な機能の充実や、サービスを迷わず利用できるユーザーインターフェイスなど、訪日外国人の利便性を追求したワンストップ観光情報サービスの実現を目指します」とあります。 すでにオープンして半年以上がたちますが、いったいこのサービス、どうなっているのでしょうか。ぼくは副都心線を利用しているので車内広告の動画をよくみるのですが、英語版にもかかわらず、誰に何を伝えようとしているのか、ちょっと意味不明です。 ある関係者はこう言います。「このサービスは、UI(ユーザー・インターフェイス)が微妙ですし、明確なコンセプト・バリューがわからないです。当然、ユーザーからみても同じで、その結果がエンゲージメント率(ユーザーの反応)の低さにつながっていると思います。 https://www.similarweb.com/website/livejapan.com#overview 競合調査ツールであるSimilarWeb でみると、Visit数は多いですが、日本からのアクセスの割合が47%と高く、本当に外国人が見ているのかは微妙です。 サイト滞在時間は56秒しかなく、平均で1.55ページ、直帰率も82%です。 これらの数値から、コンテンツの魅力が伝わっていないことが見て取れます。 記事を増やせばVisit数は増えますが、大事なのは、想定するターゲットがきちんと価値を感じて、サイトを回遊しているかでしょう」。 確かに、この種のサイトは本来、日本に来る前に情報収集のためにチェックするのが一般的だからです。 実は、「LIVE JAPAN」のプロモーション展開の資料をみたのですが、彼らがいう「ターゲットの接触タイミングに応じたメディアプラン」によると、「訪日前」「訪日中」「訪日後」に分けて設定すると書かれています。 「訪日前」に認知されることはユーザー獲得に大きく貢献することですから、どんなプロモーションをするのかみると、「世界各地計5箇所でリーフレットの配布」とあり、北京の旅行博800部、上海同6000部、タイ旅行会社1000部、ラスベガスのJapan Kabuki Festival500部」(2016年5月現在)。いまどき紙媒体を配っても海外での認知につながるとは思えません。 さらに、「訪日中」は、成田空港や東横線各駅の広告パネルや車内動画を配信しているというわけですが、これで外国客の認知が生まれるかというと疑問です。 ぶっちゃけて言うと、ネーミングのような海外旅行者にとってのライブ感が感じられないのです。ただの地図サイトにしか見えないというか、東京を初めて訪れた外国人がこれから何をしよう、どこに行こう、というときのワクワク感もそうですが、道先案内をしてくれるツールというイメージがほとんど伝わらないのです。 ネットで検索すると、以下のような記事がみつかりました。 インバウンド需要を取り込め! ぐるなびの挑戦(日経ビジネス2016年6月9日) http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/278209/060800046/?rt=nocnt これをみると、日本の飲食店向けに「ぐるなび」の存在感を打ち出すことにはつながっていることがわかります。 でも、それって本来の目的としてはどうなのか? 日本の訪日プロモーションやPRのあり方は、どこか根本的に間違っているのではないか。そんなことを最近よく思います。
by sanyo-kansatu
| 2016-11-18 14:00
| “参与観察”日誌
|
アバウト
カレンダー
検索
カテゴリ
極東ロシアのいまをご存知ですか? 東京ディープチャイナ ボーダーツーリズム(国境観光) 「満洲国遺産」記録プロジェクト 朝鮮観光のしおり “参与観察”日誌 定点観測ツアーバス調査 東京インバウンド・スポット のんしゃらん中国論 気まぐれインバウンドNews 歴史から学ぶインバウンド 最新インバウンド・レポート リアルチャイナ:中国独立電影 現代アートは中国社会の鏡である 中国の新人類「80后」世代 このブログの目的 問い合わせ先 タグ
中国(564)
エアライン・クルーズ・鉄道・バス(222) アート・建築・映画・サブカル(206) ロシア(197) エンタメ・アトラクション(165) ツアー(159) メディア(157) 朝鮮(136) レストラン・グルメ(102) FIT(99) アジア(94) ホテル・ゲストハウス(88) プロモーション(86) ショッピング(81) 旅行会社・ランドオペレーター(52) 通訳・多言語化(43) ガイドブック(38) 民泊・白タク(32) 台湾・香港(32) 富裕層(14) 記事ランキング
最新の記事
画像一覧
ブログジャンル
外部リンク
その他のジャンル
|
ファン申請 |
||