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2016年 12月 09日
ここ1、2年で、海外、特に中国からの医療観光がじわじわ増えてきているのを実感します。以前は、観光の合間にPET検診などを組み込む検診ツアーが多かったのですが、最近では、中国での治療を諦めていた重度のがん患者が日本の医療機関を利用するというケースも出てきています。「検診」から「治療」への切実なニーズの変化です。 医療の現場の国際化が叫ばれて久しいなか、高額な治療費の支払いをいとわない富裕層が訪日するのは、自然の流れだと思っていたのですが、いいことばかりでもないようです。いろんなことが起きています。 こんな記事がありました。 来日中国人が日本の医療費を不正受給している…国民健康保険に加入できる「経営・管理ビザ」を悪用!?(日刊SPA!2016.12.09) http://nikkan-spa.jp/1246002 国民医療費が40兆円を突破し、日本の財政は危機的な状態にある。こうしたなか、一部の来日中国人が日本の医療制度に“タダ乗り”しようとしている。噂を聞いて取材を開始したところ、とんでもない実態が浮かび上がった! ■治療目的で来日して、国保に加入で恩恵享受! 中国人 爆買いが収束に向かうなか、安倍政権が見据える新成長戦略が医療ツーリズムだ。日本政策投資銀行は、’20年の潜在的市場規模を5500億円と見積もっている。 今や日本の医療の信頼性は世界の知るところとなり、日本での検診や治療を希望する外国人も増えている。しかし中には招かれざる客も紛れているようだ。 中国・広東省出身の40代の中国人女性Wさんは、3年前から患っているC型肝炎の治療のため、2か月前に夫を伴って日本にやってきたばかりだ。 「中国で1年ほどインターフェロン投与による治療を続け、一旦は治ったように見えたのですが、半年後に再発。そんななか、ほぼ完治するという特効薬・ハーボニーの存在を医者から聞いた。ただ、その薬は中国国内では承認されておらず、海外の医療機関で治療する必要があるとのことでした」 興味を持ったWさんは、海外への医療ツアーを斡旋する複数の業者に接触した。ちなみに中国のC型肝炎患者数は約4000万人以上おり、国民病だ。こうした事情を受け、海外でハーボニーによる肝炎治療を仲介する業者は数多く存在するという。ただ、欧米での投与は完治までの滞在費を含め1000万円近くかかる。上位中間層に属するWさんにとっても、即断できる金額ではなかった。 「後発薬が使用されているインドや東南アジアなら100万円以下で済むらしいのですが、不安で踏み切れなかった。そんなとき、ある業者が日本での治療という選択肢を提案してきた」(Wさん) 問題は彼女が支払う費用だ。 「医療費に業者への費用、滞在費をあわせて200万円ほどです」 国が定めるハーボニーの薬価は5万5000円で投薬期間は12週間。完治までには薬代だけで最低465万円がかかる計算となる。 「国民健康保険のおかげです。薬代は月に1万円までしか取られないですから」(同) 実は彼女の在留資格は、医療滞在ビザではなく、会社経営のために滞在する場合に発給される経営・管理ビザなのだという。留学ビザや経営・管理ビザ、就労ビザなどで日本に3か月以上合法的に在留するすべての外国人は、国民健康保険(会社員なら社会保険)への加入が義務づけられている。同時に、日本人加入者と同様の恩恵を受けることができる。ハーボニーは肝炎医療費助成制度の対象となっており、国保もしくは社保の加入者は、所得によって自己負担限度額が月額1万円もしくは月額2万円までに制限される。つまり薬価ベースでは465万円かかる投与が、最低3万円で受けられるのだ。さらにハーボニーの薬代以外の診察料や各種検査費用なども、国保なので「3割負担」で済む。Wさんが依頼した業者は、この制度に目をつけ、格安でC型肝炎治療を受けられる方法を彼女に売り込んでいたのだ。 ちなみに医療滞在ビザで来日し、ハーボニー投与を受けた場合、滞在費を含めて600万円以上になると業者から言われたという。 薬価と患者の負担額の差額は、保険料と税金によって賄われていることは言うまでもない。Wさんは「保険料はきっちり払っている」と強調するが、前年に日本で所得のない彼女の保険料は、最低額の月4000円程度だ。 多くの日本人は、健康状態にかかわらず国保や社保の保険料を一生支払い続けなければいけない。治療目的で来日して国保に加入し、支払った保険料を大きく超えるような医療サービスを受けるというのは、公正とはいえない。 ちなみにWさんのビザ申請は「業者任せなのでわからない」と言う。どういうわけか。中国人ジャーナリストの周来友氏が明かす。 「経営・管理ビザは、資本金500万円以上の会社を設立し、その代表取締役になる場合に申請できる在留資格で、まず1年間滞在することができる。500万円の“見せ金”を用意できれば、割と簡単に発給されるため、日本でマンションを爆買いして移住する中国人にも人気のビザです。ビザ申請のためのペーパーカンパニーまで用意してくれる行政書士もいる」 ■薬の新薬オプジーボも1回約6万円で済む 国保への加入を目当てにしているのはC型肝炎患者だけではない。北京市出身の50代のFさんは、都内で親族が経営する貿易会社に就労ビザのスポンサーとなってもらい、3か月前に来日した。しかし、Fさんに勤務の実態はない。来日前からステージ3の肺がんを患うFさんは、通院と療養の日々を過ごしているのだ。 Fさんが難病を押して来日したのも、がん免疫薬のオプジーボと、日本の国保の手厚さを知ったのがきっかけだ。 夢の新薬とも言われるオプジーボだが、薬価は100mgで約73万円(来年2月以降に半額になる)。1回の投与では、体重1kgに対して3mgを点滴するため、体重60kgの人であれば約131万円分のオプジーボが必要となる。2~3週間に1回のペースで回復が見られるまで投与する。 「中国でも並行輸入されたオプジーボを1回40万円ほどで投与してもらえる。しかし、どのくらいで治るか見当がつかない。そこで、がん医療が発達しており、中国よりも医療費の安い日本で治療を受けることにしました」(Fさん) オプジーボの投与には、ハーボニーのような医療費助成制度はない。しかし国保には、一定以上の医療費支払いが免除される高額療養費制度がある。東京都港区国保年金課に問い合わせしたところ「来日したばかりの外国人で、前年度の所得がない場合、高額療養費制度により限度額は月に5万7600円になる」とのことだった。 保険適用を巡り、薬価の高額さゆえ「亡国の劇薬」とも揶揄されたオプジーボ。2か月前にやってきたばかりのFさんは現在、保険適用によるオプジーボ投与の前提となる診察や治療を受けている途中だという。 一部とはいえ、こうした来日中国人の行いは言語道断だろう。 <医療費を圧迫!狙われる高額薬剤と手術> ●オプジーボ…点滴静注100㎎72万9849円 小野薬品工業のがん免疫薬。来年に半額になるが、それでも高額なことには変わりない ●ハーボニー(1錠)…5万5000円 米ギリヤド社が開発したC型肝炎治療薬。3週間の投薬による治癒率は90%以上とも ●副鼻腔炎手術…100万~150万円 蓄膿症を改善するための手術。一般的に2時間未満で終わり、日帰りも可能なため人気だ ●冠動脈バイパス術…200万~400万円 狭心症・心筋梗塞の治療を目的とした手術。天皇が受けたことで、中国でも有名になった ●脊椎固定術…100万~200万円 脊椎の問題部分を固定する、腰痛治療のための外科手術。中国では東洋医学的治療が主流 日本の国民健康保険ほどありがたいものは、世界を探してもそうあるものではありません。こんなにお得な制度をちゃっかり悪用することに躊躇がないところは、免税店からのマージンをもらっても確定申告もせず、帰国してしまうスルーガイドと同じでしょう。いずれも、彼らの存在を知っていながら、それを利用している日本人がいるところも共通しています。彼らがいる以上、今後もこうした「言語道断」はなくなりそうにありません。 こういう報道もありました。 中国人に処方箋薬を横流し容疑、業者・医師逮捕(読売新聞2016年8月26日) https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0826/ym_160826_1404838657.html 中国人観光客向けに処方箋が必要な医療用医薬品を横流ししたとして、警視庁が、医薬品卸売会社「美健ファーマシー」(東京都千代田区)の社長や医師の男ら計4人を、医薬品医療機器法違反容疑で逮捕したことが、捜査関係者への取材でわかった。 中国人ブローカーの自宅からは2万6000点を超える医薬品が押収されており、同庁は、同社が大量の薬品を組織的に横流ししていたとみている。 捜査関係者によると、逮捕されたのは同社社長の財間英信容疑者(49)のほか、40歳代の社員と60歳代の仲介役、40歳代の医師のいずれも男計3人。社員の男が、インターネットの掲示板を通じて中国人ブローカーと知り合い、財間容疑者に紹介したのがきっかけだったという。 この件については、同じ読売新聞で今年9月下旬、連載された特集「ニッポン観光の影」でも報じられていました。 処方薬 広がる横流し(読売新聞2016年9月26日) ![]() 同記事では「訪日観光で爆発的に拡大した日中間の人の流れは、医薬品の『闇ルート』まで広げてしまった。厚生労働省の担当者は言う。『非正規の市場が広がると、偽薬の要綱などによる健康被害にもつながりかねない。不正流通の監視強化も検討しなければならない』」と述べています。 治療代640万 払わず帰国(読売新聞2016年9月28日) ![]() この記事によると「飛行機で脳卒中を起こしたベトナム系米国人の女性」が成田空港から緊急医療センターに運ばれ命を取り留めたものの、旅行保険に入っていなかったため、約800万円の治療費のうち、160万円分をクレジットカードで支払った後、帰国し、残りの640万円を踏み倒してしまったそうです。 同記事は「訪日観光の急拡大は、国内の医療態勢やサービス、交通網などに想定外の負荷をかけつつある」と指摘しています。 これからもいろんなことが起こるでしょう。情報の共有と態勢づくりがますます必要になってきました。
by sanyo-kansatu
| 2016-12-09 15:08
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