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2017年 07月 17日
先週、朝日新聞が「民泊の行方」と題する2本の記事を配信しています。前半(上)では、6月に成立した民泊新法を受けた民泊周辺業界の動き、後半(下)では、施行前の現在における民泊の実態について。「民泊は全国で5万件を超えるが、そのほとんどがヤミ民泊とされる」という、身も蓋もない記述も見られます。 こうした問題を抱える民泊の現在形について、コンパクトにまとまっている記事だったので、以下、転載します。 民泊の行方:上 合法化で転機、大手参入(朝日新聞2017年7月14日) http://digital.asahi.com/articles/DA3S13035500.html 6月下旬、東京都心のオフィスビルの一室に十数人が集まっていた。「新しい民泊物件で出会える! 新法180日対策」と題するセミナーだった。 講師を務める不動産会社の男性が強調した。 「民泊はこれからも有望な投資先であり続ける」 新法とは、6月上旬に成立した住宅宿泊事業法(民泊新法)だ。住宅に旅行者を泊める「民泊」のルールを定めている。来春にも施行され、部屋を民泊用に貸し出せるのは「年180日まで」に規制される。 セミナーは個人投資家向けだった。マンションの一室を購入するか借りるかして民泊用に貸してもうけるのが、いまや人気の投資になっている。講師の男性によると、家賃月7万円が相場の物件でも、民泊で貸せば月40万円近い収入を得られる場合もあるという。 新法施行後は半年ほどしか民泊用に貸せなくなるが、男性は「二毛作で高収益を望める」。残る半年はマンスリーマンションやイベントスペースとして貸し出せばよいのだ、という。 民泊物件の紹介サイトを運営するスペースエージェント(東京)の出光宗一郎社長は「法整備が進んだことで、投資先としての注目度は上がる」と期待する。 増え続ける訪日外国人客を中心に、昨年は国内で少なくとも370万人が民泊を利用したとされる。ただ、関連ビジネスを手がけるのは、米国発の仲介サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」や、部屋の清掃や管理をするベンチャー企業にほぼ限られていた。これまでは有料で人を泊める事業をするには、旅館業法の許可が必要で、許可を得ない「ヤミ民泊」は違法だった。それが新法で合法化されることになり、慎重だった大手企業も動き出した。 京王電鉄は、国家戦略特区で民泊事業が認められている東京都大田区に、民泊専用マンションを開業した。地下1階地上6階建てで、全14室。新法施行後は沿線にも建てていく予定だ。訪日客が沿線の施設を利用すれば、鉄道の乗客増につながる。阪急不動産も、同じグループの阪急・阪神沿線の空き室所有者に民泊事業を働きかける。 一方、楽天は6月末、民泊の仲介サイトを新設すると発表した。約800万件の物件情報を持つ不動産サイトと組み、5万件超を掲載するAirbnbを上回る物件数をめざす。 オランダの「ブッキング・ドットコム」、中国の「途家(トゥージア)」、台湾の「AsiaYo.com(アジアヨードットコム)」……。海外で実績のある外資系の仲介サイトも、日本の物件数を増やそうと動く。米国の「ホームアウェイ」の木村奈津子・日本支社長は「地方の別荘や空き家を民泊物件にしたい」と意気込む。 だが、ビジネスの先行きを不安視する声もある。東京・新宿のマンションを民泊用に貸す20代男性は「大手が入れないようなグレーな商売だから、もうかった。大手が出てきたら勝ち目はない」とこぼす。ピーク時は10室を貸し、月100万~200万円を稼いでいた。それが今では周りの民泊物件との競争激化に加え、清掃やトラブル対応の費用が高くつき、もうけが出にくくなったという。 民泊利用者の宿泊マナーをめぐり、周辺の住民から苦情も相次ぐ。各地のマンションでは管理規約で民泊を禁じるところが増えている。独自の条例をつくって民泊可能な期間を180日より短くしようとしている自治体も少なくない。大手不動産幹部は「違法性のある民泊が難しくなり、物件数は急減するだろう。成長市場だとは思えない」と話す。民泊物件の家具の処分を請け負う「民泊撤退ビジネス」も登場している。 これまでグレーゾーンだらけだった民泊も、新法によって合法化されることから、不動産業界を中心に参入の動きが強まっているようです。彼らにすれば、ホテルであれ、民泊用マンションであれ、投資の中身は問わないからです。 新法を強く意識した民泊支援業者の動きも活発化しています。 「180日ルール」の新法をふまえた「合法」的な民泊としての「マンスリー+民泊」って? http://inbound.exblog.jp/26893756/ 一方、記事にもあるように、従来型のやり方ではビジネスチャンスは拡大しないとの専門家の声もあります。 「民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!」by行政書士の戸川大冊氏 http://inbound.exblog.jp/26893431/ 後半(下)では、民泊集中地区のひとつである東京・渋谷のマンションに、実際に記者がAirbnbで予約して泊まっています。 民泊の行方:下 郵便受けに鍵、「禁止」すり抜け(朝日2017年7月15日) http://www.asahi.com/articles/DA3S13037547.html 東京・渋谷のスクランブル交差点から歩いて10分。大通りを少し入ったオフィス街に13階建てのこぎれいなマンションがある。6月下旬、民泊仲介サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」で予約し、取材目的で泊まってみた。 「1泊7400円」。立地もよく、約40平方メートルという広さから考えると手頃だログイン前の続き。申し込むと、部屋の貸主から、詳しい住所と4桁の暗証番号を書いたメッセージが携帯電話に届いた。 マンションの入り口にはオートロックがかかり、入れない。メッセージで指示された通り、泊まる部屋の郵便受けの投函(とうかん)口に手を差し込む。指に触れたワイヤを引っぱると、先に南京錠と部屋のカギがついていた。暗証番号で南京錠を外し、カギを使ってオートロックを開ける。 ガラス張りの1階エントランスを入ると、目に飛び込んできたのが「民泊禁止」の貼り紙だ。マンションの管理会社に聞くと、全室で民泊を禁じているという。しかし、Airbnbにはほかにこのマンションの4室が掲載されていた。Airbnb日本法人は「希望があれば掲載するのが基本で、許可の有無は確認していない」(広報担当者)。 予約時に宿泊代と別に清掃代の約8千円を支払い済みだ。だが、部屋の床には髪の毛が落ち、タオルはかび臭い。民泊用の部屋の管理は主にベンチャー企業や小さな不動産会社が引き受けているが、「SNS上で学生や主婦を集めて掃除させる業者も多い」と業界関係者はいう。 6月に成立した民泊新法(住宅宿泊事業法)は来春施行の見込みだ。それまでは、お金をとって繰り返し人を泊めるには、衛生面などの基準を満たしたうえで、都道府県などから旅館業法の許可を得る必要がある。記者が泊まった部屋は無許可だった。宿泊者が罰せられることはないが、泊めた側は違法な「ヤミ民泊」として処罰の対象になる。民泊は全国で5万件を超えるが、そのほとんどがヤミ民泊とされる。 6月下旬、ヤミ民泊の多さで知られた東京・代々木のあるマンションを訪ねた。約800室のうち、一時は50~100室がヤミ民泊に使われていたとされる。1室を借りて民泊用に2年間、又貸ししていた20代男性は「月10万円の家賃を払っていたが、50万円の収入があった」と明かす。 騒音やゴミ出しなどのトラブルが相次いだため、このマンションの管理組合は昨年4月、規約で民泊を禁止した。しかし今も5部屋以上の民泊が残り、大きなスーツケースを持った外国人が出入りする。 ある管理会社の社長はあきれ顔だ。「ヤミ民泊だとばれないような受け答えや、保健所の職員が来たときの対策を指南するマニュアルが出回っている」 自治体も対策に頭を悩ます。情報を得ても、マンションのどの部屋がヤミ民泊で使われているかを特定するのが難しいからだ。ヤミ民泊の情報を受け付けるウェブサイト「民泊ポリス」には連日、問い合わせが相次ぐ。運営する中込元伸さんは「海外の普段の暮らしを体験し、文化に触れるという本来の民泊の姿からは遠くなっている」と嘆く。 こうした民泊のあり方に不満を漏らす訪日客も出ている。「『民泊禁止』の貼り紙を見て歓迎されていないと不快になった」「ゴミや悪臭のひどい部屋で、ひどい経験だった」……。Airbnbの利用者の感想コメントには、こんな書き込みがある。 新法は、民泊用の部屋を提供する貸主に都道府県などへの届け出を義務づける。違反した場合、100万円以下の罰金や1年以下の懲役を科す。 ヤミ民泊は新法で一掃され、健全なビジネスに生まれ変われるのか。取り締まる側、される側とも、重い責任を負うことになる。(森田岳穂) ヤミ民泊の急拡大によって、宿泊業界は大きな影響を受けています。2015年頃、ホテルの客室不足が話題となりましたが、状況は一変しており、特に訪日客を多く受け入れていたホテルでは、以前のように客室が埋まらない事態にまで至っているからです。理由は、米国系Airbnbだけでなく、中国系民泊サイトの利用者が急拡大したためです。 「夜に消える? 訪日客」。背景には民泊による宿泊相場の価格破壊がある http://inbound.exblog.jp/26877980/ 記事の最後にあるように、新法によって民泊は健全なビジネスに生まれ変わることができるのか。これから半年の動きに注目したいと思います。
by sanyo-kansatu
| 2017-07-17 11:32
| 気まぐれインバウンドNews
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