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2017年 08月 09日
先日、ネットでこんな記事を見つけました。アメリカが同国人の北朝鮮への渡航を禁止したのと真逆の対応を見せるロシアの言い分もそうですが、彼らが実際に北朝鮮を訪ねるときに感じる本音もうかがえて、面白いです。以下、転載します。 なぜロシア人は北朝鮮ツアーに行くのか(ロシアNOW2017年7月14日) https://jp.rbth.com/travel/2017/07/14/802820 ラトビアに拠点を置くロシア語オンラインマガジン「メドゥーザ(クラゲ)」が、ロシア極東の住民たちの北朝鮮旅行についてリポートしている。最近、同国で休暇を過ごす人が増えているというのだ。ロシアNOWは、その記事を要約して紹介する。北朝鮮ツアーでは何が期待できるか、どのくらいの費用がかかるか――。 ハバロフスク(モスクワ東方8500キロ)のマーケティングマネージャー、アレクサンドル・ゴロフコさんは、北朝鮮を訪れて、この国の実態を自分の目で確かめることに決心。そして、有頂天で帰ってきた。「メドゥーザ」誌のダリア・ミコライチュク記者が、彼の言葉をこう伝えている。「別の惑星にいるようだ。そこには携帯電話がなくて、人々はいつも幸せ」 ゴロフコさんも、それが物事の一面にすぎないことをよく承知しているが、次の休暇では、2014年に開業した、北朝鮮の馬息嶺(マシンニョン)スキー場で過ごす予定だという。世界の他のスキーリゾートと競合できると、北朝鮮は主張しており、10の滑走コースと60のスポーツ施設を備えている。1日の費用は約100ドル(約110円)で、観光客はあまり来ていない。 全体主義へのツアー 北朝鮮ツアーを販売している会社のマネージャー、エレーナさんによれば、月に5人ほどがマシンニョン・スキー場へのツアーを購入するとのこと。スキーに加えて、ゴルフツアー、登山、結婚式、ハンティングなどを提供している。しかし人々は、北朝鮮旅行はまだ危険だと考えている。 例えば、ジャーナリストのナジェージダ・アルセーニエワさんは、こんなケースがあったことを指摘する。彼女の同僚が、列車の窓からカメラで外をのぞいたところ、国境警備員がライフルを向けたというのだ。 北朝鮮のガイドは、観光客の行くところならどこへでもついてきて、見るべきではないものを撮影したり、地元の人々と触れ合ったりすることを禁じている。しかしそれでも北朝鮮は、極東諸国の観光の一中心地になろうとしている。韓国の消息筋によると、彼らの北のパートナーは、2017年には100万人に、2020年には200万人にまで観光客を増やしたいとしている。 とはいうものの、その同じ報告によれば、2012年に北朝鮮を訪れた外国人はわずか4500人、2014年はその3分の1にすぎなかった。しかし、隣国のロシアに対しては、他国よりも低い料金が設定されている。 赤い天国 ナタリア・コチュゴワ沿海地方広報担当によると、北朝鮮での休暇は、ロシア共産党員の間で人気があり、共産主義者のための特別なホテルさえある。北朝鮮は、イデオロギーの“真の力”を目の当たりにできる国なのだ。 「あそこの人たちは本当に指導者を信じていますからね」 「もし、ろくでなしみたいに振る舞い、規則に従わないのでないかぎり」、北朝鮮の安全に問題はない、と同氏は確信している。彼女はまた、最近死亡したアメリカ人学生のオットー・ワームビアさんも、許可されているものとされていないものを事前に教えられていたはずだという。 大人だけが北朝鮮を訪れるわけではない。毎年、ロシアの児童のグループは、サマーキャンプ(松涛園〈ソンドウォン〉国際少年団野営所)に行く。 2週間のツアーの価格は約4万ルーブル(約8万円)。 ロシアの少女、エヴァさんも、このツアーに参加した。彼女によると、ロシアの子供たちは北朝鮮の児童から隔離されていたが、夕方には一緒に踊ることが許された。また、両国の子供は、通訳者を通して、メモ書きを交換した。多くの北朝鮮児童は、休暇を取らずに寄宿学校で勉強していたという。エヴァさんは、彼らの育てられ方が気に入ったとのこと。 豪華なビーチリゾート 北朝鮮には、フェリーで行く方法もある。万景峰号(マン・ギョンボン)92号が、ウラジオストクから北朝鮮に乗客を運んでいる。マリーナ・オグネワさんは、このフェリーで、羅津(ラジン)のリゾートへ旅行した。3万ルーブル(約6万円)で、7日間のオールインクルーシブのビーチツアーだった。彼女はツアーにご満悦で、現在、ビデオブログ「北朝鮮に行こう」を運営している。 「私はあそこの人たちは飢えていると聞いていたけど、食事はとても良かった。政治的宣伝についてもいろいろ聞いていたが、私たちは普通に休暇を過ごした。みんな人も良かったしね」 旅行会社「Fregat Aero」は、北朝鮮での行動規則に関するパンフレットを、客に提供している。それによると、観光客は、現地のガイドに贈物をすべきである。女性には香水や化粧品、男性にはアルコールとタバコ(ただしアメリカ製でないもの)がいい。軍人の写真を撮ることは禁止。宗教について話すのもご法度。ロシアのほうが生活が楽だと言うのもいけない。 「私たちはどんな国に行くのか分かっていたから、ツアーのガイダンスを慎重に聞き、指導者たちの記念碑にはお辞儀をし、10ユーロ分の花束を献花したけど、ツアーの最後のほうになると、イライラしてきた」 マリアさん(極東連邦大学大学院生)は、北朝鮮のビーチで休暇を過ごした。無人の浜辺で日焼けし、安価な魚介類を食べていたという。携帯電話サービスはないし、近くには工場もない。休暇には理想的な所だと思われた。ただ、ガイドはいつも観光客に目を光らしており、時々は観光客たちとおしゃべりすることもあったが、スーツをビシッと着ていて、身体を焼くことも泳ぐこともなかったという。 「私たちはどこを旅しているのかわきまえていた。そこには自由がないことも。でも何が禁止されているのか、それを常に探していた」とマリアさんは言う。彼女はあるとき、北朝鮮の少年がビーチにいるのを見て、キャンディーを贈りたいと思ったが、彼にとって危険だと分かっていた。そこで彼女は、彼の近くを何気なく通り過ぎ、キャンディーを入れた袋を地面に置いていった。彼女は、少年がすぐにそれを取って逃げたのを見た。 シルベスター・スタローンとの関係を疑われる マリアさんが北朝鮮を出国する際、彼女の携帯電話は、国境警備員によって慎重にチェックされた。警備員の一人が、シルベスター・スタローンのミームを発見。スタローンは滑稽なヘアスタイルで、「スタローンがもしロシアに住んでいたらどうだろう?」と書いていた。警備員は、スタローンについて尋ね、マリアさんが彼を知っているかどうか、アメリカの映画を持っているか聞いた。警備員は彼女の携帯で米映画を探し、スタローンとの関係について調べるのに40分を費やした。しばらくして、全員に列車に乗ることを許可した後、警備員は彼らのコンパートメントに入ってきて、ロシア語で尋ねた。「君たち、アメリカ映画を持ってないかなあ?僕はすごく見たいんだけど」 この記事を読んで、どうお感じになったでしょうか。 いくつか気になった点を指摘したいと思います。 まずこの記事では、北朝鮮旅行を「全体主義のツアー」と呼び、「別の惑星にいるようだ。そこには携帯電話がなくて、人々はいつも幸せ」などと冒頭でうそぶきながら、だんだん本音をもらしていきます。 「北朝鮮のガイドは、観光客の行くところならどこへでもついてきて、見るべきではないものを撮影したり、地元の人々と触れ合ったりすることを禁じている」 「ガイドはいつも観光客に目を光らしており、時々は観光客たちとおしゃべりすることもあったが、スーツをビシッと着ていて、身体を焼くことも泳ぐこともなかった」 「私たちはどこを旅しているのかわきまえていた。そこには自由がないことも。でも何が禁止されているのか、それを常に探していた」 その一方で、 「北朝鮮は、イデオロギーの“真の力”を目の当たりにできる国なのだ。『あそこの人たちは本当に指導者を信じていますからね』 『もし、ろくでなしみたいに振る舞い、規則に従わないのでないかぎり』、北朝鮮の安全に問題はない」 などと、先ごろ訪朝後、拘束され死亡した米国人へのあてこすりみたいなことも書いています。 そして、興味深いのは「2012年に北朝鮮を訪れた外国人はわずか4500人、2014年はその3分の1にすぎなかった。しかし、隣国のロシアに対しては、他国よりも低い料金が設定されている」。 北京やロンドンにある英国系旅行会社の関係者に直接聞いた話では、実際にはもっと多くの外国人が北朝鮮を訪れていることから、この数字は間違っていると思われますが、ロシア人には低価格のツアーが用意されているようです。 確かに、記事でも「万景峰号(マン・ギョンボン)92号が、ウラジオストクから北朝鮮に乗客を運んでいる。マリーナ・オグネワさんは、このフェリーで、羅津(ラジン)のリゾートへ旅行した。3万ルーブル(約6万円)で、7日間のオールインクルーシブのビーチツアー」と書いています。 これは本ブログでもすでに指摘したとおり、本当です。ウラジオストクにある旅行会社のツアー募集をみると、万景峰号の往復運賃も含め、約3万ルーブルでした(船が週1回のため、7日間のツアーになる)。 ウラジオストクから万景峰号で行く北朝鮮(羅先)6泊7日」ツアーも始まり、定期運航は続く!? http://inbound.exblog.jp/26975951/ 要するに、ロシア人に対しては(中国人に対するのと同様)、他の外国人より低価格でツアーを受け入れているんですね。 この記事で出てくる北朝鮮の観光地としては、2014年にできた「馬息嶺(マシンニョン)スキー場」や元山にある「松涛園〈ソンドウォン〉国際少年団野営所」、「金剛山リゾート」、そして前述の万景峰号に乗って行く羅先特別市ツアーなど、朝鮮東海岸に偏っています。実際、北朝鮮は元山と金剛山を国際観光地区に指定し、外国客を呼び込もうとしています。この記事が、どこまで本気で北朝鮮側の意向に応えようとしているのかはわかりませんが、まさにそこに訪れているのはロシア人であるわけです。 実際に、北朝鮮を訪れるロシア人の大半は、極東ロシアの住民だと思われます。わざわざモスクワから来ることは考えにくい。彼らにとってビーチリゾートといえば、タイや中近東ですから。 極東ロシアでもウラジオストクあたりであれば、夏の一時期、海水浴を楽しめるのですが、それでもやはり水は冷たいようで、肌を焼いても積極的に海で泳ぐ人は多くなさそうです。それが元山あたりまで来ると、海水浴は存分に楽しめます。彼らが北朝鮮に旅行に来るのは、なにしろ安いし、実際に海で泳いだりできることが大きいと考えられます。 最後に記事はこんなことも書いています。 (ロシアの旅行会社は自国のツアー客に対して)「観光客は、現地のガイドに贈物をすべきである。女性には香水や化粧品、男性にはアルコールとタバコ(ただしアメリカ製でないもの)がいい」と伝えているそうです。 これは日本人の北朝鮮ツアーでも同様なので、ロシア人もわざわざ土産を用意しなければならないのかと思いましたが、こういう習慣が当然のようになっているというのはどうなんでしょう。
by sanyo-kansatu
| 2017-08-09 15:56
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