2017年 09月 05日
日本は夜を楽しく過ごすエンターテインメントが乏しい国だといわれて久しいものがあります。 居酒屋やバーはたくさんあるので、日本人としてはそんなに困っていなかったと思いますが、外国から来た旅行者にしてみれば、夜もめいっぱい楽しみたい。それは自分が海外旅行したときのことを思い出せば、気持ちもわかるというものでしょう。 昔メキシコのバハカリフォルニアのカボサンルーカスに行ったとき、現地の少し日本語のわかるガイドに、食事の後、「どこか行きたいですか?」と聞かれたときのこと。ぼくは大きな間違いをしてしまいました。 というのも、カボサンルーカスはアメリカ西海岸の人たちの最も近くて気軽に行けるリゾートなので、高校生くらいの若者たち、いや悪ガキどもがいっぱい押し寄せていて、当時はレストランやクラブのテーブルの上に女の子たちが上って踊りまくるというのが流行していたのです。だから、こっちは落ち着いて食事もできません。 それでぼくはガイドに「もっとアダルトな店がいいな」と言ってしまったのでした。目の前の女の子たちの騒ぎっぷりから、つい…。 そして、連れて行かれたのは、いわゆるストリップバーでした。 いや、そういうのじゃなくて…。同行したカメラマンのSくんも大笑いで「アダルトだなんて言うからだよ」。おっしゃるとおり。和製英語化している英語を不用意に使うのはいけませんね。で、すぐに店を出たのでした。 ちょっと前ふりが長かったですけど、要するに、日本でナイトエンターテインメントを楽しもうとするとき、お酒とともにお色気方面もたっぷりあると思いますが、家族で旅行しているお父さんがひとり抜け出してというわけにもいきませんから、もっと健全とはいいませんが、みんなで明るく楽しめるエンタメが確かに求められているのです。その意味で、歌舞伎町のロボットレストランは出し物がちょっときわどいところもあるのですが、いまでもそこそこにぎわっているようです。 歌舞伎町の「ロボットレストラン」はなぜ外国客であふれているのか? (2013年11月15日) http://inbound.exblog.jp/21470518/ さて、今日の朝刊にこんな記事がありました。 訪日客、夜も観光しまショー 歌舞伎やエイサー、通訳・解説付き 消費増、政府も後押し(朝日新聞2017年9月5日) http://www.asahi.com/articles/DA3S13117493.html 訪日外国人による消費が伸び悩む中、その一因ともされる夜の娯楽不足を改善しようとする動きが広がってきた。演劇や舞台を催し、伝統芸能を採り入れたり、同時通訳を付けたりと工夫をこらす。政府も観光資源づくりの後押しに乗り出す。 4日午後7時半、東京都港区の東京タワー近くにある結婚式場で「歌舞伎ディナーログイン前の続きショー」が始まった。くま取りをした出演者が「今日は歌舞伎の楽しみ方を教えます。私のような赤いくま取りの人はヒーローのあかし。青は悪役です」と英語で解説した。 歌舞伎の演目をアレンジしたショーや殺陣を見ながらの夕食は、約1時間半で1万9千円。この日が初開催で、旅行業界の関係者らを招待した。運営する観光コンサルタント会社アリュウコーポレーション(東京)の奥村謙一社長は「まずは知名度を上げ、いずれは中国語にも対応したい」。 旅行大手JTBも16日、和太鼓グループ「DRUM TAO」と組み、東京・品川で夜の舞台を始める。10月29日まで計60回を予定。すでに大阪・あべのハルカス近鉄本店で1~2月の夜、日本舞踊などの舞台を開き、盛況だった。 沖縄県の「沖縄観光コンベンションビューロー」は7月、エイサーなど沖縄の伝統芸能を催すショーを浦添市と宜野湾市で始めた。午後7時からで英語と中国語の解説付きだ。 海外からの訪日客数は順調に伸びているが、1人あたりの消費額は伸び悩んでいる。今年4~6月は14万9千円となり、ピークの2015年7~9月より2割ほど減少。20年に20万円に引き上げる政府目標は、達成が厳しくなりつつある。 観光庁によると、「日本では外国人が夜間に楽しめる娯楽が少ない」といい、消費低迷の一因ともされる。伝統芸能の多くは日本語が使われ、訪日客には理解しづらい。深夜営業のディスカウント店などがにぎわう一方、「買い物や飲食以外で、夜間の娯楽への要望は強まっている」(JTB)という状況だ。 このため、観光庁も訪日客が夜に楽しめる観光資源づくりの支援を始める。 米ニューヨークのブロードウェー劇場や仏パリのルーブル美術館など、海外で夜間も開く施設は、高い知名度を武器にする例が少なくない。こうした施設を参考に、PR動画の作成やネット上でのリスト化などを検討中で、来年度予算の概算要求に関連費用として約1億2千万円を盛り込んだ。チケット販売サイトの立ち上げなども検討していく方針だ。(森田岳穂) 「訪日外国人による消費が伸び悩む中、その一因ともされる夜の娯楽不足を改善しようとする動き」だなんて、ずいぶん硬い書き出しですが、確かに全国でいろんなことが始まっているようです。 ネットをみていると、この方面では大阪が熱いようです。 大阪城、夜も楽しんでや 訪日客、新劇場で伝統芸能 天守閣眺めながら飲食できる店も(NIkkei Style2017/5/2) https://style.nikkei.com/article/DGXLZO15296420T10C17A4LKA001?channel=DF220420167266 買い物や食事が中心だった大阪観光に新たな魅力を加えようという試みが動き出す。官民ファンドのクールジャパン機構が吉本興業など12社と組み、伝統芸能などを夜まで上演する劇場を大阪城の周辺に新設することが明らかになった。インバウンド(訪日外国人)客の関心がモノからコトに移るなか「夜輝く大阪」を官民でアピールする。 「年250万人が訪れる大阪城に(これまで足りなかった)エンターテインメント性が増し(観光資源として)鬼に金棒となる」。吉村洋文・大阪市長は4月13日の定例会見で期待を語った。 新劇場には電通やエイチ・アイ・エス(HIS)、在阪民放5局、KADOKAWAやファミマ・ドット・コムも参画。20億円超を投じ、複数の劇場や屋外ステージの2018年春までの開業を目指す。落語や歌舞伎のほか、音や光、映像を駆使した殺陣や忍者のパフォーマンスも披露する。 大阪城周辺は重要な史跡が多く、飲食施設や娯楽施設の開発が抑えられてきた。だが市は「(大阪城周辺に)100ヘクタールもあるのに何もしないのはもったいない」(吉村市長)と観光振興への活用を歓迎する姿勢を示す。 今秋には天守閣そばの歴史的建造物を改装した飲食・物販施設「ミライザ大阪城」が開業する。2、3階、屋上に入るレストランは夜10時半まで営業する予定。天守閣を眺めながら料理やアルコールを楽しめる。 これらに新劇場が加われば大阪城の魅力は増す。4月13日、台湾から家族3人で大阪城公園を訪れた45歳女性は「夜のミュージカルもあれば出かけたい」と語った。 観光の全体的な厚みが増すとの期待も高まる。大阪観光局の溝畑宏局長は「大阪は(訪日客向けの)ナイトエンターテインメントに欠け、夜9時以降の消費が減る」と夜の魅力向上が課題と指摘。観光局は昨年に英文冊子を作り、立ち飲みの居酒屋、夜に営業している観覧車などを紹介した。 府・市が昨年11月にまとめた都市戦略でも「24時間おもてなし都市」を掲げ、観光施設の営業時間やランドマークのライトアップ時間の延長に官民で取り組むとした。夜も楽しめる観光地づくりをテコに、20年の来阪外国人の旅行消費額を1兆1900億円と15年の5781億円から倍増させる目標を打ち出した。 夜間営業も想定する新劇場はこうしたニーズに合致する。新劇場ができれば昼はユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)、夜は芸能鑑賞という楽しみ方が広がり、滞在日数と消費額の拡大につながる。府・市が進めるカジノを核とした統合型リゾート(IR)の誘致を控え、夜の娯楽充実に一歩前進しそうだ。 吉本興業の戸田義人取締役も「夜遅くまで楽しみたいという訪日客のニーズに応えられる環境をつくりたい」と述べた。もっとも場所を含め新劇場の詳細は未定。人形浄瑠璃文楽の語り手の最高格である切場語りの豊竹咲太夫さん(72)は「基本的には結構な話だが、実際問題としてスケジュールが割けるか、充実した内容にできるかなど課題も多い」と指摘する。 先日、ぼくも大阪城公園に行ってきたのですが、夜はもっと楽しめるんですね。いまの大阪観光局長が元観光庁長官の溝畑宏氏だとは知りませんでした。吉本興業もあるし、大阪はこれでますます外国客の人気を集めることでしょう。東京はこの方面では、少しまじめすぎるかもしれません。こんな記事もありました。やはり大阪です。 訪日客もハメ外す「大阪の夜」 共通券でクラブはしご USJのハロウィーンイベントではゾンビが大増殖(NIkkei Style2017/9/2) https://style.nikkei.com/article/DGXLZO20265640S7A820C1LKA001?n_cid=LMNST014 JTB西日本は9月1日、訪日外国人向けに大阪市中心部の複数のナイトクラブに出入りできるパスを発売した。外国人に多い「夜まで遊びたい」というニーズに応える。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)や高級ホテルも夜限定のイベントを充実させている。大阪市は全国のほかの都市に比べても夜の娯楽が充実しており、訪日外国人の消費を促す。 JTB西日本が発売するのは「OSAKA NIGHTCLUB PASS(オオサカナイトクラブパス)」。大阪中心部でナイトクラブ10店舗をプロデュース(監修)するトライハードエンターテイメントジャパン(大阪市)と組み、梅田や心斎橋周辺の全店舗で3日間自由に入退場できる。21歳以上の訪日客に限って利用できる。 価格は3500円で、関西国際空港などにあるJTB西日本の観光案内所4カ所で売る。半年で5000枚の販売を目指す。 毎年10月に入場者数が最も多くなるUSJは、9月8日から始めるハロウィーンイベントで夜のホラーを前面に打ち出す。夜になるとパーク内を練り歩くゾンビの種類を過去最多に増やし、言語を問わず楽しめるよう工夫する。訪日客のリピーターも増えており「季節ごとに異なる見せ方が重要」(USJ)という。 夜間営業の「ナイトプール」を関西でいち早く始めたホテルニューオータニ大阪では、宿泊する訪日客らにナイトプールの利用を促している。今年はプールサイドでのポールダンスやフラフープなどのショーを曜日代わりで用意しており、訪日客の利用は「昨年に比べて明らかに増えている」(同ホテル)という。 大阪市は全国のなかでも、夜に遊びやすい環境が整っているとされる。不動産情報サイト「ライフルホームズ」を運営するLIFULLが2015年に全国の主要都市(区部も含む)の住民を対象に調査したところ、「夜の盛り場でハメを外して遊んだ」という回答が多かった上位5カ所のうち3カ所が大阪市内だった。 日本人だけでなく訪日外国人も利用しやすいサービスが広がれば、大阪の夜は一段と盛り上がりそうだ。 ここ数年、USJの勢いはすごいですね。以前はTDLが圧倒的に強いと思われていたのに、やはり大阪はインバウンドの町ですね。 大阪と東京のインバウンドの特徴の違いを外国人の視点で考えてみる (2016年01月31日) http://inbound.exblog.jp/25315756/ 難波に近い黒門市場にも行ってきたので、そのときの様子も後日紹介しようかな。こちらは昼の強力なエンタメでした。 大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!? (2017年09月09日) http://inbound.exblog.jp/27104053/
by sanyo-kansatu
| 2017-09-05 06:48
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