ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 09月 08日

2つも世界遺産がある広島県には欧米客が多く、インド人ツアーもいた

8月下旬、広島を訪ねました。広島といえば、原爆ドームと宮島という世界遺産が2つもあるというインバウンドでは恵まれた県です。

広島市内から宮島行きのフェリーが出る宮島口に行くには、JR山陽本線で行くか、路面電車(広電)に乗って行くかの2通りがあります。外国客の多くはJRレイルパスを持っている人も多いので、JRで行く人が多いそうですが、路面電車で沿線の風景を眺めながらのんびり行くのも乙なものです(所要時間:JR約30分、広電約1時間)。
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朝8時半過ぎ、土橋という停留所から路面電車に乗ると、外国人のグループがどっと乗り込んできました。
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中高生くらいの子供連れのツアーもいます。たまたまぼくの席の隣にお母さんらしい女性が座ったので、話を聞くと、イギリスのウェールズから来たみなさんで、日本の滞在は16日間。東京から日光、箱根、富士山、京都、大阪、そして広島に来たそうです。これが本当のゴールデンツアーです(中国人のゴールデンツアーは日程が短いため、広島や日光がはしょられるため)。

ところが、今年の8月は天候不順でしたから、箱根でも富士五合目でも富士山の姿を見ることができなかったとか。なんだか申し訳ない気になってきます。

その日は晴れていたのですが、空が霞んでいて、宮島口に近づいたとき、車窓から「あっ、鳥居が見える」と教えてあげたのですが、かなり遠く、くっきりと見せることができませんでした。
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電車を降りると、フェリー乗り場に向かいます。フェリーは松大汽船(宮島に向かって左側)とJRフェリー(右側)の2社があるのですが(料金はともに片道180円)、JRフェリーは海の中に立つ大鳥居の側を少し大回りする航路をたどるので、ひそかな人気です。
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船に乗ると、日本人よりも外国客のほうが鳥居をカメラに収めたい気持ちで満々です。
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宮島に着くと、鹿が出迎えてくれます。この女性、かわいいので鹿とのツーショットが絵になりますね。もちろん、彼女以外のさまざまな国の子供やおばさんたちが鹿ととわむれていました。
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宮島には、インド人ツアーも来ていました。広島には中国の人は少ないけれど、インドの人は多く見かけます。彼らの志向は欧米的なので、原爆ドームのある広島は必ず訪れるべき場所だと考えているからです。
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さて、宮島から戻ると、原爆ドームと資料館に行きました。実をいうと、ぼくがここに入るのは、小学生以来です。

平日のせいか、外国客が多いです。
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展示については、中国に数ある歴史記念館とは違い、特定の国を断罪するというより、原爆の悲惨さを訪問者に強くイメージ化させるしかけになっていました。子供の頃見たおどろおどろしい展示の記憶だけが残っていましたが、いまのはかなり理知的な展示です。
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これを見せられると、日本人だけでなく、外国客も原爆の意味を悟ることになるはずです。
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原爆ドームの周囲にも多くの外国客が来ています。
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資料館の書店の人に聞いたところ、やはり昨年のオバマさんの広島訪問の影響が大きく、外国客はぐっと増えているそうです。外国客にとって広島の持つ意味は、日本人が想像する以上に重要といえると思います。
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日本銀行による以下のレポートは、広島県のインバウンドの特徴について、以下のように分析しています。

・外国人延べ宿泊者数を地域別にみると、広島県は全国に比べて欧米の割合が高い一方、アジアの割合が低い
・訪日外国人一人当たりの旅行消費単価が全国平均より低い水準に止まっている。背景としては、ウェイトの高い欧米の観光客の宿泊需要を上手く取り込めていないことや、アジアでの認知度の低さが影響

広島県のインバウンド需要の現状と需要拡大に向けた取り組み(日本銀行広島支店2017年3月)
http://www3.boj.or.jp/hiroshima/Tokubetu-tyousa/inbound.pdf

広島県は国際的な知名度が高いわりには、買い物好きのアジア客の取り込みが他の地方より遅れていたこともあり、旅行消費額が低いようです。欧米客が多いと、ついインバウンドが盛り上がっていると思いがちですが、消費の面からみると、そうともいえないことがわかります。

とはいえ、毎日運航のチャイナエアラインの台北便に加え、2015年10月、香港エクスプレス(週3便)の乗り入れが始まり、さらに今年10月からシンガポール航空の子会社であるシルクエアー(週3便)が加わります。状況は少しずつ変わっていくことでしょう。

なにしろ中国四国地方は(知名度の点で広島を除くとしても)、外国人に日本で最後に発見されたインバウンドエリアといえます。何もかもがこれから。他県の事例を学んで、賢く誘客を進めてもらいたいものです。
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by sanyo-kansatu | 2017-09-08 16:01 | “参与観察”日誌 | Comments(0)


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