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ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 10月 16日

「日本の紅葉はマッカッカ(真っ赤っ赤)だけじゃない」と海外のお客さんに伝えてほしい

9月下旬、中国語通訳案内士の水谷浩さんがガイドを務めるマレーシアからの華人グループは大雪山系にいました。日本でいちばん早い紅葉が見られるスポットとして知られる大雪山では、例年9月中旬から下旬が見ごろといいます。
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水谷さん率いる中国語通訳のプロ集団である彩里旅遊株式会社では、中国本土のみならず海外在住のVIP華人からの訪日旅行手配を扱っています。ここ数年、9月下旬から10月中旬にかけては北海道でのガイド業務の引き合いが多いといいます。紅葉を見たいという華人客が増えているからです。

口コミで同社の評判を聞いた海外の華人から「日本の極上の紅葉が見たい。水谷、案内してほしい」と直接指名がかかるそうです。同社は顧客それぞれの要望に合わせて一からコンテンツを組み立てる企画旅行が専門です。

彩里旅遊株式会社
http://www.ayasato.co.jp/

日本を訪れた外国人は日本の紅葉をどのように楽しみ、何を感じているのか。先週まで北海道にいた水谷さんに話を聞きました。

―今回いくつかのグループを案内したそうですが、主にどこを訪ねたのですか。

「札幌から入ってトマムや富良野、旭川をめぐる。紅葉の見どころは富良野や大雪山。日本でいちばん早く紅葉が見られるというのがポイントです」

―マレーシアのお客さんは日本の紅葉についてどんなイメージを持っているのですか。

「やはり非日常感でしょうか。彼らは熱帯に暮らしている人たちですから。冷たく新鮮な空気と艶やかな色彩に包まれた場所で写真を撮って、そこに自分が写り込みたいという願望が強い。ですから、いちばんいい状態の紅葉を見せたい。たいてい散り際が真っ赤に染まって美しい。いい写真を撮るには晴天がいい。太陽の光の向きも重要です。でも、これが難しい。紅葉のピークは同じ場所でも気候によって変わるからです。去年良くても今年いいとは限らない」
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―桜もそうですが、紅葉も年によって見ごろの時期が変わりますものね。

「ひとつメディアのみなさんにお願いがあります。日本の紅葉はマッカッカ(真っ赤っ赤)だけじゃないと伝えてほしいことです。なぜなら、一般に国内外の旅行会社やメディアが発信する日本の紅葉は真っ赤に染まった写真を使うことが多く、外国のお客さんはそれを期待して日本に来たところ、実際には黄色や緑も多く、必ずしも赤一色ではない。それでガッカリされる人がけっこういるのです。

もちろん、私はその方たちに日本の紅葉はマッカッカ(真っ赤っ赤)だけじゃない。黄色や緑や色とりどりの美しさがあると説明するのですが、先入観があるぶん、腑に落ちない気分になるようです。

実際には、中国語でいう“五彩缤纷”(たくさんの色が豪華絢爛で豊かに見える様)というべきで、最初からそのように伝えてあれば、そんなにガッカリされることもないと思うのです」

―なるほど、紅葉は「紅」と書きますから、赤一色と思いがちですね。でも、ガッカリされるのは期待値の高さから。桜とは違い、バリエーションも豊富なぶん、日本を代表する自然現象である紅葉について、もっと我々自身が深く理解し、説明することばを持たなければなりませんね。

※この点欧米のメディアは比較的バランスが取れていて、紅葉=赤一色という伝え方はしていないようです。たとえば、世界最大の現地発ツアーサイトであるviatorでは、東京の紅葉ツアーのトップページに以下のような写真を使っています。
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外国客はどうやって紅葉の時期やスポットを知るのだろう?
http://inbound.exblog.jp/27344010/

こうした説明の大切さは、相手が富裕層であれば、なおさらのことですね。

「海外のVIPほど、こうしたこだわりが強いのです。彼らはそれがいいか悪いかは常に自分で判断したがります。気に入らないと『不要(いらない)』とはっきり言う。食事も高級な料理店に連れて行けば満足するというのではなく、状況や気分によって地元の庶民的な場所で食事がしたいと言い出すかと思えば、逆のときもある。まったくうるさいことこのうえない客です。

でも、きちんと合理的な説明ができれば、彼らも納得します。そのためには、相当の知識と経験が必要です。そして、いったん満足してくれると、次回もまたお願いしたいという話になる。それが彼らのネットワークの中で口コミで伝わり、別のお客さんを呼んでくれる。それが富裕層旅行の世界です」

本州に紅葉前線が南下し始めるまでにはもうしばらくかかります。「日本の紅葉はマッカッカ(真っ赤っ赤)だけじゃない」。肝に銘じて、今後情報発信するように務めたいと思います。
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日本を訪れる外国人観光客は春より秋のほうが多いって知ってましたか?
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どんな紅葉ツアーが外国人に人気なのか?
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by sanyo-kansatu | 2017-10-16 09:53 | “参与観察”日誌


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