人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

inbound.exblog.jp
ブログトップ
2020年 06月 25日

ビーチで過ごすサーカスのゾウと兵士たちの休暇(ウラジオストクの写真家展 その9)

どこまでも続く遠浅のビーチを一頭のアフリカゾウが気持ちよさげに歩いています。砂浜に寝そべる二頭のゾウの周囲には見物人たちがいて、たわむれています。ゾウたちもリラックスしているように見えます。

ビーチで過ごすサーカスのゾウと兵士たちの休暇(ウラジオストクの写真家展 その9)_b0235153_13462813.jpg

Владимир Шутафедов

ウラジーミル・シュタフェドフ

Слоны. 2013

ゾウ 2013

いったいこの海はどこなのでしょうか?


地名は記されていませんが、ウラジオストク近郊のビーチだと思われます。2013年にこの地を訪れたサーカス団が連れてきたゾウたちらしいのです。


ウラジオストクの「ザリャー(фабрика ЗАРЯ)」で開催された企画展「FAR FOCUS. PHOTOGRAPHERS OF VLADIVOSTOK(極東フォーカス、ウラジオストクの写真家たち)」の第2のテーマ「自然の写真と写真の自然:ゾウと星」の文言に出てくる「ゾウ」とはこれらの作品群を指しているものと思われます。


極東ロシアの海に突如現れたアフリカゾウという意想外な光景をシャッターに収めたのは、ウラジーミル・シュタフェドフという写真家です。


では、この5枚の写真に写っている若者たちは誰で、この海もやはりウラジオストク近郊にあるのでしょうか。

ビーチで過ごすサーカスのゾウと兵士たちの休暇(ウラジオストクの写真家展 その9)_b0235153_13463229.jpg

Владимир Шутафедов

ウラジーミル・シュタフェドフ

Пляж Славянка. 2009

スラヴィヤンカ・ビーチ 2009


Владимир Шутафедов

ウラジーミル・シュタフェドフ

Владивосток. 2010-е

ウラジオストク。2010年代


キャプションによると、上の3枚は「スラヴィヤンカ・ビーチ」とあるので、ムラヴィヨフ・アムールスキー半島のアムール湾側の対岸の町のビーチのようです。ウラジオストク港からフェリーが出ています。


そして、この若者たちは休暇中の兵士だそうです。確かに写っているのは男だけ。ビーチで遊んでいるゾウと兵士たち、両者が撮られた時期はもちろん異なりますし、関係はないものの、並べて展示しているところが面白いです。


一方、下の2点はウラジオストク近郊の岩場のある海で撮られていますが、よく見ると、水着姿の若い女性や子供もいることがわかります。若者がビーチで遊ぶ光景でも、意味がまったく違いますね。2010年代の写真だとクレジットにあります。


さて、こうしたロシアでは黒海沿岸を除くとほぼ見ることのできない、ビーチの光景を撮ったウラジーミル・シュタフェドフは、1960年ハバロフスク生まれの医師です。1990年代後半から撮影を始め、キヤノンのデジタル一眼レフを使っているそうです。


プロフィールによると、彼にとって写真は美的経験を具現化することだそうです。好きな写真家として、1960年代以降のアメリカ文化を象徴し、デビット・ボウイの写真集で知られるスティーブ・シャピロや、フランスの報道写真家のマルク・リブー、「ローリング・ストーン」誌で活躍し、暗殺直前のジョン・レノンを撮影したアニー・リーボヴィッツなどの名を挙げています。


彼の作品は、このあと別のテーマでも登場しますが、被写体の選び方や構図、カットがまさに上記の20世紀に一世を風靡した写真家たちのスタイリッシュなセンスをうまく採りいれているせいか、とてもイカしています。場所はほぼウラジオストクで撮られているようですから、彼の作品は極東ロシアのイメージアップに確実につながりそうです。もっとも、現状では、これらの写真がウラジオストクで撮られたものだとは誰も気がつかないかもしれません。そういう意味でも、興味深い写真家です。


気になる人は、以下の彼のpicukiをご覧ください。

Владимир Шутафедов

https://www.picuki.com/profile/shutafedov


彼が好んで撮っているのは、ビーチの光景やアーティストのポートレイト(毎年11月に開催されるジャズフェスで招聘された外国のミュージシャンなど)、そしてストリートや路地裏の風景のようです。路上に座り込む中央アジアから来たジプシーの家族たちの写真もありました。彼らははるばる極東のかなたまでやって来たというのでしょうか。そんな驚きもあります。



by sanyo-kansatu | 2020-06-25 13:50 | 極東ロシアはここが面白い


<< ユーラシアの極北チュクチと国後...      報道写真家、沿海地方最北端のウ... >>