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2020年 07月 03日
ウラジオストクの「ザリャー(фабрика ЗАРЯ)」で開催された企画展「FARFOCUS.PHOTOGRAPHERSOF VLADIVOSTOK(極東フォーカス、ウラジオストクの写真家たち)」の第3のテーマ「職場にて:"靴の修理"または黒い広場に飛び込む」のふたつ目の作品群は、オホーツク海の蟹工船に乗り込む漁師と加工業者たちのルポ写真です。
撮影したのは、すでに登場したソ連時代から活躍しているふたりの写真家です。まずひとり目は、<その1>と<その7>に出てきたウラジオストクの元企業撮影師のゲオルギイ・フルシチョフです。
彼はオホーツク海の蟹工船に乗り込み、カニ漁にいそしむ労働者と思われる人々や水揚げしたカニの加工業者たちの様子をカラー写真で撮っています。1978年の撮影です。
![]() 大きなタラバガニを手に取り、カメラに向かって見せている光景は、いまでもウラジオストクに行くと、よく見られるものです。ひとりアフリカ系かと思われる労働者もいて、この時代、ソ連では同じ社会主義圏の国々との間で国際労働分業をしていたことがわかります。ここにはコリア系の労働者の姿はないようですが、今日では水産加工工場では彼らが多く働いていると聞きます。
![]() Георгий Хрущев Ловля и переработка краба в Охотском море. 1978 ゲオルギイ・フルシチョフ オホーツク海でカニを捕まえ、処理する 1978
もうひとつの作品群は、<その11>で紹介した元ロシア写真家協会沿海地方支部会長の故ユーリ・ルガンスキーが撮ったもので、これはスケソウダラ漁でしょうか、本人もトロール船に乗り込んで、漁師たちがあふれんばかりの魚を網で船に引き上げる姿を伝えています。モノクロ写真であることで、かえって迫力を感じさせ、海の水しぶきの音が聞こえてくるようです。撮影された時期は、フルシチョフと同じ1970~80年代とあります。
![]() ルガンスキーは海洋写真家と呼ばれるように、何度も漁船やトロール船に乗り込み、海の労働者たちの姿を記録してきました。その業績は「人間と海」というシリーズの写真集にまとめられているようです。
![]() ![]() Юрий Луганский Штормовой улов (сейнер-траулер рефрижераторный типа «Альпинист»). Изцикла «Человек и море». 1970–1980-е ユーリ・ルガンスキー ストームキャッチ(ザイナートロール船冷蔵型「クライマー」)。シリーズ「人間と海」から。1970-1980年代
もともとロシア人は魚を食べる習慣はなかったそうですが、ウラジオストクでは19世紀後半、漁業が盛んになり、カニやナマコを獲るようになったといいます。市内にあるセミョーノフスカヤ通りのセミョーノフは、この町で漁業を興したロシア人の名前だそうです。
魚食はおそらくロシアのウラジオストク建市で近隣から来た中国系やコリア系の労働者たちの食文化の影響もあるでしょうし、そもそも彼らが漁撈に従事していたことでしょう。
もちろん、日本も深く関係していて、水産加工大手のマルハニチロ(同グループは2007年にマルハとニチロが経営統合して誕生)の沿革を調べると、いろいろ見えてくると思います。企業サイトからうかがえることは少ないですが、同グループの歴史自体が面白そうです。オホーツク海という世界有数の水産資源の宝庫を舞台に、20世紀以降の日露の水産業の交流が見えてくるに違いないからです。
マルハの沿革 https://www.maruha-nichiro.co.jp/corporate/outline/history/maruha.html 1880年中部幾次郎が鮮魚仲買運搬を開始 1991年トロール漁業事業から撤退、自社漁撈の終焉 ↑ 自社漁撈をやめたということは、代わりに誰がやっているかですね。
ニチロの沿革 https://www.maruha-nichiro.co.jp/corporate/outline/history/nichiro.html 1906年堤商会として設立 1910年にカムチャツカで鮭缶詰の生産開始
いずれにせよ、極東ロシアにとって水産業は重要な「職場」であったこと、いまもそうで あることをふたりの写真家は教えてくれます。
by sanyo-kansatu
| 2020-07-03 11:01
| 極東ロシアはここが面白い
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