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ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2019年 09月 18日

延辺朝鮮族グルメを味わい尽くせ!

吉林省東部に位置する延辺朝鮮族自治州には多くの朝鮮族が暮らしており、美味しいものの宝庫である。この地方の料理は、北朝鮮の咸鏡北道の味覚をベースにしているため、日本で食べる韓国料理とはひと味違う世界がある。極ウマメニューの数々を紹介しよう。(写真/佐藤憲一)
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↑長白山のふもとの朝鮮族が経営する食堂に行くと、次々に料理が運ばれ、テーブルが埋め尽くされた。中華料理と違い、油をほとんど使わず、山野の素材をそのまま調理したさっぱりした味わい。朝鮮風の鯉の洗いやキクラゲは新鮮そのものだ。

イチ押しは汁なし参鶏湯のタッコム(鶏飯)です!

延辺朝鮮族自治州で美味しいものといえば、断然タッコム(鶏飯)だ。韓国でも地方によって食材や味付けが変わるが、朝鮮族料理≒韓国料理であって、ここ延辺では独自の郷土料理が味わえる。
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↑鶏飯はアジア各国や奄美大島などでも知られるが、延辺では鶏が丸ごと入っていて、日本人の口に合う

タッコムは、日本でいう鶏飯のことだが、鶏を丸ごと入れるところが豪快だ。簡単にいうと、汁なしサムゲタン(参鶏湯)のようなもので、内臓を取り出した鶏の内側にキノコや朝鮮人参、マツの実などが入っている。

店によっては、鶏肉を食べやすくほぐして切り身にしてくれる。タッコムが美味なる理由は、地鶏や長白山に自生する朝鮮人参などの素材が極上であることに加え、米のおいしさにある。実際、延辺産の米は中国一おいしいと地元の人はいう。戦前、寒さに強く品種改良された日本の稲がこの地に持ち込まれた歴史があるからだ。ホクホクの地鶏のうまみとふっくらと水分を含んだ甘みのあるもち米がやさしくマッチしている。

もうひとつの極ウマグルメは、この地方独特の羊肉串(羊の串焼き)だ。特徴的なのは、串焼きにつける「串料」と呼ばれるスパイスにある。トウガラシだけではなく、口の中がスッとするクミンなど複数のスパイスを混ぜ合わせているそうだ。
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↑日本の朝鮮族料理店でも採用されている、目の前で串がくるくる回って肉がほどよく焼ける自動回転串焼き器を発明したのは延辺の人たちだ 

「白玉串焼」という地元店が人気で、11種類のスパイスをブレンドしているという。

現地の友人の話では、串焼きのしめに、汁なし麺を食べるのが流行っているそうだ。この土地ではトウモロコシ麺が定番だ。独特のコシとつるんとした舌触りのある麺は、しっかりおなかにたまる感じ。トウガラシたっぷりで、ピリ辛でおいしい。汁あり麺もあり、その日の気分で選べばいい。
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↑延辺名物の冷麺の名店は「金達莱飯店」。新大久保に同名のレストランがある 

朝鮮族の町だから、酸味のあるさっぱりスープの冷麺の本場である。現地で有名な冷麺店「金達莱」は昔ながらの大衆店で、冷麺がメインの1階は誰もが気軽に利用し、ささっとそばを食べて行く、日本の蕎麦屋の雰囲気に近い。2階や3階では一般の料理も出す。
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↑これは地元有名店の「梅花狗肉館」の犬鍋フルコース。茹で肉は野菜に包んで食べる

この地方では昔から補身湯(狗鍋)が食べられており、専門店が並ぶ通りもある。犬食については国際的な批判の声もあるが、朝鮮半島の伝統的な食文化のひとつである。

地元の名店「梅花狗肉館」では、狗料理の豪華なフルコースがある。補身湯はさまざまな香辛料が加えられた濃厚なスープで、肉の臭みはまるでない。もともと夏バテ防止に食べる鍋だけあって、精がつくことうけあいだ。ほかにも、炒めたり、茹でたりといろいろな食べ方があり、延辺産の濃いミソを付けて食べると美味しい。
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↑北朝鮮の咸鏡北道の郷土料理であるスンデは、もち米入りの豚の腸詰 

市場を訪ねて納得
長白山や日本海産の極上素材が揃う

旅先のレストランで食べた料理が美味しくて、食材や調味料がどんなものか知りたくなったら、市場に行くといい。そこにはすべてが揃っている。

延辺朝鮮族自治州は、55あるという中国の少数民族のひとつである朝鮮族の多く暮らす地域で、その中心都市が延吉だ。朝鮮族の多くは19世紀に南から図們江(豆満江)を渡ってこの地に来た人たちの末裔だ。
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↑中華料理の素材として欠かせないキクラゲは長白山のふもとでとれる。種類もこんなにいろいろある

延吉の朝市は、毎年4月中旬から10月中旬にかけて、市内を流れる煙集河と参花街にはさまれた河川敷に立つ。早朝4時半から開いて7時頃までにぎわっている。地元でとれた農産物や日用雑貨など、いろんなものが売られている。

そこは朝鮮族の食文化の博物館だ。代表はナムル売り場。カクテキ(ダイコンのキムチ)や長ネギ、青菜、高菜、山菜などのキムチが並び、種類は驚くほど豊富である。これらがレストランでは小さな皿に置かれてテーブルにたくさん並ぶわけだ。
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↑真っ赤に染まった白菜キムチだが、味付けは濃厚な韓国風に比べ、さっぱりした薄味の朝鮮風だ。もともと延辺朝鮮族自治州に住む朝鮮族の多くは咸鏡北道出身者が多いことから、食文化も朝鮮風である

地べたに置かれた真っ赤なトウガラシが量り売りされている。品質によって値段は違う。延辺では料理がこれだけ真っ赤に染まっているのだから、トウガラシの消費量も尋常ではなさそう。延吉の郊外にある朝鮮風民家を訪ねると、軒下によくトウガラシがぶら下がって干されているのを見かける。
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↑日本海でとれた干しタラは地元の酒飲みの人気つまみになる 
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↑長白山のふもとに自生する朝鮮人参はこの地方の代表的な漢方素材で、高血圧などに効くという 
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↑黄色い麺はトウモロコシ麺、右の灰色の麺が冷麺だ 
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↑延辺の白酒といえば、高粱(コーリャン)酒だ。高粱やトウモロコシ、ジャガイモなどからつくる醸造酒で、度数も高い 

もうひとつの朝鮮族料理の味覚のベースとなるのは、テンジャン(朝鮮味噌)である。日本の味噌に比べると濃厚で、辛みの強いもの、甘みのあるものなど、種類もいろいろだ。野菜や焼肉に直接付けて食べたり、チゲや鍋に使われる。

市場の中には屋台もたくさんあり、地元グルメを食べ歩きできる。朝ご飯をこの朝市ですませるのも楽しい。朝鮮族自治州とはいうものの、延辺は朝鮮族と漢族が集住する地域で、両民族の食文化が混交している。実際には、すでに朝鮮族の比率は3割といわれるほど、漢族化が進んでいるという実情もある。そのため、朝鮮族料理以外にも炒め物や肉まん、油条などの中華料理の屋台もある。
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↑このグロテスクにとぐろを巻く黒い帯こそ、スンデである。これを輪切りにして食べる

朝市で売られるもの中には、北朝鮮の歌謡CDのような怪しげなものもある。また、肉売り場では豚や羊のみならず、狗肉も扱っている。それは外国人の目からみると、かなりショッキングな光景であり、写真を掲載することは控えたが、犬食の習慣のある延辺では、ごく普通に見られるものだ。

この地方の食文化を偏見なく理解するうえで、こうしたインパクトのある光景を知っておくことも必要だと思う。ぜひ訪ねてみてほしい。
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↑延吉では、国境の町らしく、ハングルと中国語が併記されたネオンがきらめく。両国語併記は自治州の法律で定められている



by sanyo-kansatu | 2019-09-18 14:06 | 21世紀の満洲はいま


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