ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

inbound.exblog.jp
ブログトップ

2013年 04月 30日 ( 3 )


2013年 04月 30日

沖縄には欧米客を乗せたクルーズ客船も寄港します

台湾客を乗せたクルーズ客船「SUPERSTAR AQUARIUS」が那覇に寄港した翌日の2013年3月30日早朝、今度は欧米客を乗せた世界一周クルーズ客船「AMADEA」が来航しました。
b0235153_20244098.jpg

沖縄にはアジア客だけではなく、欧米客を乗せたクルーズ客船も寄港するのです。

「AMADEA」は、初代「飛鳥」を改装した3万トンクラスの客船で、台湾客を乗せた「SUPERSTAR AQUARIUS」に比べると小さいですが、約600名の欧米客を乗せています。Phenix Reisenというドイツ系のクルーズ会社の主催するコースで、今年2月26日バンクーバーからアメリカ西海岸を南下し、太平洋の島々を渡り、日本各地(大阪、別府、奄美、沖縄、石垣)を立ち寄った後、最終的には4月中旬にスリランカのコロンボまで行くのだそうです。乗客にはドイツ人の割合が多いそうです。

Phenix Reisen
http://www.phoenixreisen.com/

午前8時過ぎになると、乗客が船を降りてきました。
b0235153_20261080.jpg

船から降りてくると、クルーズのスタッフが記念撮影。約600名の乗客のうち、沖縄観光のオプショナルツアーに参加するのは約350名。10台のバスが待機しています。
b0235153_20263744.jpg
b0235153_20265530.jpg

オプショナルツアーの手配を担当するJTB沖縄の関係者によると、「今年欧米系のクルーズ客船が那覇に寄港するのは7~8本ほどの予定です。欧米客は台湾客や中国客と違って、買い物にはあまり興味がありません。DFSのような免税店に行くことはない。バスで訪ねるのも、首里城など沖縄の歴史や文化に関するスポットがほとんどです」とのこと。
b0235153_20271738.jpg

確かに、彼らは2ヵ月近い長期のクルーズを楽しんでいるわけで、寄港地でそのつど高額な買い物をするとは思えません。

「一般に日本人の参加するクルーズ旅行の1日の単価は約5.5万円といわれますが、こうした欧米系の世界一周クルーズは1日120ドル相当」だそうです。

長くゆったりした旅を楽しむ欧米系と短期間でめいっぱい楽しもうとするアジアのクルーズ客では、旅のスタイルや内実がずいぶん違っているのです。

さて、バスツアーに出かけない人たちはどう過ごすのか。もちろん、個人客として那覇市内に繰り出します。那覇市観光協会では、昨日と同じように英語表記のツーリストインフォメーションを臨時に開設。英語の観光資料を用意し、個人客の質問に答えたり、資料を手渡したりします。
b0235153_20281039.jpg

b0235153_20282892.jpg

面白いのは、欧米客は若狭バースから徒歩で約15分の距離にあるモノレールの県庁前駅まで歩いていく人が多いことです。確かに、2ヵ月近く客船暮らしをしていると、倹約というより、身体を動かしたくなるのは無理もないかもしれません。
b0235153_2028599.jpg

客層はやはりシルバー世代のカップルが多そうでしたが、彼らはずんずん歩いていきます。途中、福州園という中国庭園があり、そこには台湾から来たツアー客も訪れていて、彼らと一緒に庭園を歩く欧米客も見かけました。ここは入場無料なので、誰でも気軽に入れます。
b0235153_20291568.jpg

台湾客ほどの数ではありませんが、この日、国際通りや首里城など那覇市内には、欧米人旅行者の姿が多く見られたことは言うまでもありません。彼らは買い物をあまりしないため、経済効果としてはそれほどでもないのでしょうが、インバウンド振興を進める沖縄にとって大切なお客さんであることには変わりないでしょう。
b0235153_20293426.jpg

今年度、那覇港に寄港する国際クルーズ客船の入港予定は、那覇港管理組合のサイトに載っています。天候、運航スケジュールなどの事情により、変更となることがあるそうです。

那覇港クルーズ客船入港予定 (2013年)※2013年4月22日現在の予定
http://www.nahaport.jp/kyakusen/nyuukouyotei2013.htm
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-04-30 20:30 | “参与観察”日誌
2013年 04月 30日

【後編】台湾発クルーズ客船、那覇寄港の1日ドキュメント

前編では、台湾からのクルーズ客船「SUPERSTAR AQUARIUS」の乗客のうち、沖縄本島のオプショナルツアーに参加した人たちのことを紹介しました。では、残りの約650人はどう過ごすのでしょうか。

もちろん、個人旅行者として那覇市内に繰り出すのです。
b0235153_15573455.jpg

彼ら個人客の観光をサポートするのが、那覇市観光協会のみなさんです。クルーズ船の寄港する若狭バースの乗り場の入り口に臨時のツーリストインフォメーション(観光諮訽處)を開設。中国系、台湾系などネイティブのスタッフを揃え、これから市内に向かう個人客の質問に対応し、用意した観光案内資料や市内マップを渡します。
b0235153_15574887.jpg
b0235153_155817.jpg

b0235153_15582520.jpg

那覇市内観光に便利なのが、市内を走るモノレール「ゆいレール」です。しかし、これだけ大勢の台湾客が一気に駅に押しかけてチケット売り場の前に並んだら、那覇市民の利用にも支障がでてくるので、1枚600円の1日乗車券を販売しています。
b0235153_15584072.jpg
b0235153_15585021.jpg

なかにはタクシーを利用する人たちもいますから、運転手たちにきちんと行き先を通訳するのも仕事です。
b0235153_1559685.jpg

スタッフを統括する那覇市観光協会の国里顕史さんに話を聞きました。

――個人客のみなさんはどこに行くのでしょうか?

「那覇市内で買い物や食事をして過ごします。たいてい国際通りや新都心(おもろまち)のショッピングモールなどに行きます。リピーターも多いので、自分の足でどこでも行かれます。なかには日本人と同じように、レンタカーで遠出される方もいますよ。

クルーズのお客様は、那覇に宿泊はされませんが、わすかな時間で一度に買い物されるので、大きな経済効果が見込めます。沖縄は台湾や上海、韓国からも近いので、クルーズ市場において優位な立地にあります。来年春には、このふ頭に13万トン級の大型客船が接岸できる那覇港若狭バースが整備される予定になっています」

こうして慌しい対応が一段落するのが、10時過ぎくらい。インフォメーションのテントを撤収し、スタッフ一同は国際通りに向かいます。今度は通りにあふれる台湾客の案内や買い物のサポートなどをスタッフ総出で行ないます。

そこで、ぼくも国際通りに繰り出してみました。すると、いるいる(当たり前ですね)。あちこちから中国語が聞こえてきます。
b0235153_15594116.jpg

面白かったのは、公設市場です。ここでは1階の市場で買った魚介類を2階の食堂で調理してくれます。
b0235153_160515.jpg

家族連れの台湾客も多いようです。
b0235153_1602946.jpg

2階の食堂街は、この日、明らかに日本の観光客より台湾客と香港客のほうが多くいたように思います。
b0235153_1604015.jpg

各店にはたいてい英語とハングルに加え、「有中文菜単(中国語のメニューあります)」という中国語の表示があります。それはそうと、食堂のスタッフはどうやら地元の人だけではなさそうです。
b0235153_16138.jpg

ある食堂の日本人スタッフに聞いてみました。
「もしかして、お店で働いているのは中国の人ですか?」
「ええ、そうですよ。うちでは、ぼく以外は全員中国人です」
「それは台湾の人ということですか?」
「いえ、中国本土の人ですよ」

そうあっさり答えられたので、ちょっと拍子抜けしてしまいました。ここは那覇を代表する観光名所、公設市場です。多くの観光客が沖縄のローカルな世界を味わうために来ているはずなのに、そこで働いている大半は中国本土の人たちだというのです(さすがに1階の市場は地元の人が多そうでしたけれど)。

公設市場の食堂でアルバイトする沖縄の若い人たちはもういないのでしょうか。これはかなりショッキングな出来事のようにも思います。でも……、よく考えてみれば、東京をはじめ日本の大都市の飲食店でも多くの中国本土の人たちがアルバイトをしています。同じことかもしれません。

もうひとつ気がついたのは、国際通りのお土産店などでも普通に中国語の表示があるのですが、たいてい簡体字表記になっていることです。簡体字を使う中国本土客は昨年秋以降、激減してしまっており、街にあふれるのは繁体字を使う台湾や香港の人たちなのに……。
b0235153_162221.jpg

市内を走るタクシーの運転手の何人かに聞いてみたのですが、普段から外国客を乗せて運ぶ彼らでさえ、中国本土客と台湾・香港客の区別がついていないようです。当然、一般の那覇の人たちもそうです。

まあしかしこれは内地でも同じことでしょう。東京を歩いている中国系の観光客を見て、それが台湾客なのか香港客なのか、それとも中国本土客なのか、ひと目でわかる人はほとんどいないでしょう。それに、全国どこでも中国語表示は簡体字が基本となっています。

なぜ那覇の人たちが、台湾客や香港客を見ても、ひとくくりに中国本土客と思ってしまうかというと、そこにはひとつの理由がありそうです。

それは昨年(2012年)7月、先ごろ東京港にも寄港して話題となった豪華大型客船ボイジャー・オブ・ザ・シーズ(巨大すぎてレインボーブリッジをくぐれなかったため、東京港のコンテナふ頭に接岸)が、那覇に入港したことのインパクトが大きかったからではないか、と推測します。

那覇港管理組合のHPでは、ボイジャー・オブ・ザ・シーズの大きさについてこう説明しているほどです。

「同船は、乗員乗客最大で約5000人が乗船することが可能で、沖縄県庁と比べると、高さはほぼ同じ高さ、全長はなんと、約2倍です」

そのボイジャー・オブ・ザ・シーズが、7月5日、16日、24日、8月1日と約1か月間に4回連続で入港し、3000人超の上海からの中国本土客がいっせいに那覇に繰り出したのです。特に16日は、ボイジャー・オブ・ザ・シーズ以外にも、欧米客を乗せたクルーズ船が寄港したため、その日は5000人近い外客が那覇に上陸したのです。その日、観光バス90台が那覇港に乗りつけたといいます。

その結果、那覇の人たちはこれからどんどん中国本土客が訪れるものだと思い込んでしまったのではないでしょうか。

ところが、実際には今年は秋までボイジャー・オブ・ザ・シーズが寄港する予定はありません。もちろん、日中の尖閣問題が影を落としているからです。
b0235153_16105876.jpg

さて、岸上観光を楽しんだ台湾客たちも、遅くとも出港時刻(17時)の1時間前には船に戻ってきました。乗船前にクルーズのスタッフに頼めば、記念撮影してくれます。
b0235153_16121352.jpg

いよいよ那覇ともお別れ。その前に、今年度の初寄港ということで、地元那覇の子供たちによるエイサーがクルーズ客を楽しませてくれます。いたいけな子供たちが精一杯踊り舞う姿は心を和ませます。多くの客が甲板に出て、子供たちのエイサーをいつまでも眺めています。
b0235153_16123339.jpg

そして定刻通り、17時の出港。客船は大きな汽笛を鳴らしながら、徐々にふ頭から離れていきます。
b0235153_16125466.jpg

でも、子供たちはすぐにはエイサーをやめようとしません。客船が那覇港を遠く離れていくまでずっと手を振り続けています。「バイ、バーイ!」。こういう姿を見せられると、大人はまいってしまいますね。こうしてクルーズ客船の寄港する長い1日が終わりました。

このあとこのクルーズ客船は石垣島に向かいます。翌朝、寄港すると、石垣島や八重山の離島を訪ねることになるでしょう。

沖縄では、この夏こうした光景が毎週のように見られることになります。

※那覇に寄港するクルーズ客船は台湾からのものだけではありません。実は、翌日(3月30日)にも、欧米客を乗せた世界一周クルーズ客船が寄港しています。この客船は、初代「飛鳥」を改装した3万トンクラスの「AMADEA」で、SUPERSTAR AQUARIUSに比べると小さいですが、約600名の欧米客が那覇に上陸しました。その話は、別の機会で。

「沖縄には欧米客を乗せたクルーズ客船も寄港します」http://inbound.exblog.jp/20366268/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-04-30 16:12 | “参与観察”日誌
2013年 04月 30日

【前編】台湾発クルーズ客船、那覇寄港の1日ドキュメント

2013年3月29日早朝、台湾からのクルーズ客船「SUPERSTAR AQUARIUS」が那覇港新港ふ頭8号(若狭バース)に入港しました。あいにくの雨でしたが、今年度最初の入港になります。
b0235153_1124966.jpg

SUPERSTAR AQUARIUSは、ゲンティン香港(スター・クルーズ・ピーティーイー・リミテッド)が運航するカジュアルなクルーズ客船です。毎年4月から10月まで週1回、那覇港に寄港し、毎回約1500人の台湾客が観光のため上陸します。基本、3泊4日で基隆―那覇―石垣―基隆(基隆―石垣―那覇―基隆の場合もある。また基隆―那覇往復、基隆―石垣往復も)を航行します。料金は最も安いシーズンで、2泊3日の基隆―石垣往復が9900台湾ドル(約3万3000円)から。1日の単価は約1万円という破格の安さです。ただし、今回の客船に限っては基隆発ではなく、高雄発だそうです。
b0235153_113538.jpg
b0235153_114191.jpg

スタークルーズ日本語公式サイト
http://www.starcruises.co.jp
スタークルーズ台湾公式サイト
http://www.starcruises.com.tw/

日本ではまだクルーズは豪華客船だから料金も高いというイメージがありますが、アジアや欧米ではこうした格安クルーズが多いのです。しかし、格安クルーズだといっても、館内の施設はそれなりに揃っています。

多様な娯楽施設、各種レストラン、プール、スパ、そして台湾サイトには載っていませんが、カジノもあります。実はこれが台湾客を惹きつける理由のひとつだとか。まさに“動くアミューズメントモール”。台湾でクルーズ旅行が人気というのもうなづけます。

SUPERSTAR AQUARIUS 台湾サイトの紹介
http://www.starcruises.com.tw/aquarius/info.aspx

同船のフェイスブックを見ると、台湾客がクルーズ旅行を楽しむ様子がうかがえます。
https://www.facebook.com/StarcruisesTaiwan

さて、この日は約1300人の台湾客が沖縄に上陸しました。
b0235153_118445.jpg

b0235153_119781.jpg

そのうち約650人は、沖縄各地を周遊するオプショナルツアー(岸上観光)に参加します。お出迎えは、台湾系のランドオペレーター太陽旅行社のスタッフです。そのひとりはこう言います。「朝8時到着で17時には出港というスケジュールは、観光や食事、買い物についても十分とは言えないかもしれません。でも、一般のツアーでは移動が多くて、かえって自由時間が少ないのです。その点、クルーズではオプショナルツアーに参加しなければ、じっくり買い物を楽しむことができます。台湾のお客様は食品から家電、生活用品まで、いろいろ買っていかれますよ」。
b0235153_111034100.jpg

ふ頭にはずらりと大型バスが並んで待っています。
b0235153_11104650.jpg

乗客を乗せたバスからいざ出発。
b0235153_11112077.jpg

HPによると、以下のツアーの中から好きなコースを選べるようになっています。日本人の沖縄ツアーとさほど大きくは変わらない内容です。

①異國風情之旅 北谷町─美國村(アメリカンビレッジ沖縄
b0235153_11134294.jpg

②美食購物之旅 三郎伊勢海老專門料理店(老舗家海老料理 味の店 三郎本店 那覇市若狭1-14-10)─新都心商業圈(新都心「おもろまち」でショッピング)
b0235153_11141469.jpg

おもろまちにある那覇メインプレイスのフードコートには、たくさんの台湾客がいました。
b0235153_11144187.jpg

③海洋公園之旅 海洋博公園、水族館(沖縄美ら海水族館)、海豚秀(イルカショー)─超級市場(スーパーで買い物)

④采風探趣之旅 首里城、守禮門─新都心、藥粧店(ドラッグストアで買い物)─國際通/平和通
b0235153_11153030.jpg

⑤熱帶風情之旅 藍鯨號玻璃船(ホエールウォッチング)─萬座毛國立公園─北谷町購物(アメリカンビレッジ沖縄)
b0235153_11163897.jpg

⑥琉球傳統之旅 琉球村─沖繩婚禮教堂─北谷町美國村(アメリカンビレッジ沖縄)

⑦民俗文化之旅 王國村玉泉洞、大鼓秀─ASHIIBINAA OUTLET(あしびなーアウトレット)─藥粧店(ドラッグストアで買い物)、超級市場(スーパーで買い物)
b0235153_11161221.jpg

あしびーなアウトレットには、台湾客だけでなく、香港客の姿も見られました。

⑧沖繩風味之旅 國際通─BBQ吃到飽(含餐費)─AEON購物城

⑨那霸精華遊 Itoman魚市場─3A購物城─ASHIIBINAA OUTLET

SUPERSTAR AQUARIUSのオプショナルツアー(岸上観光)
http://www.starcruises.com.tw/aquarius/trip.aspx

コースによって所要時間は違いますが、朝9時頃に出発し、船の出航する17時の2~3時間前には戻ってきます。

実は、台湾からのクルーズ客船は1990年代から那覇に寄港していました。しかし、5万トンを超えるクラスの大型客船が入港するためには、それなりの規模の港湾施設が必要となります。そのため、もともとコンテナふ頭だった若狭バースを国際大型客船のふ頭として整備し、乗降を始めたのが2005年です。沖縄県の資料によると、SUPERSTAR AQUARIUSのような大型客船の定期運航が始まったのは2008年からのようです。以来、毎年4月から10月の夏季シーズンに毎週1回、年間で約30回台湾客が那覇を訪れるようになったのです。

台湾では、誰でも気軽に楽しめるクルーズ旅行として広く知られています。台湾客は日本への渡航がノービザなので、入国手続きも簡単です。船内でのパスポートチェックで終わりです(その点、上海からのクルーズ客は団体観光ビザが必要なため、入国手続きのための時間がそれなりにかかるのと、大きく違います)。

話は後編に続きます。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-04-30 11:18 | “参与観察”日誌