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ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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カテゴリ:日本に一番近いヨーロッパの話( 68 )


2017年 09月 12日

スタバはないけど、カフェとライブハウスはある新しいサハリン

サハリンは、いわば「日本にいちばん近いヨーロッパの田舎町」です。

ウラジオストクのような都会的な要素を求めても詮無いところがあるのですが、サハリンの州都(県庁所在地)のユジノサハリンスクには、スタバはないけれど、居心地のいいカフェがたくさんできています。週末の夜は、ライブハウスもにぎわっていました。それらのスポットでは、サハリンの街角で普通に見かける一般の人たちとはちょっと違う、おしゃれな若者たちと出会えます。

いくつか訪ねたカフェのうち、ユジノサハリンスク駅からまっすぐ延びるコミュニスチチェスキー通りの古いビルの中にある「カフェ16」は、なかなかおしゃれで和めるスポットでした。
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このカフェを教えてくれたのは、サハリン州郷土博物館で出会った日本語を話すお子さん連れの若いカップルで、特に奥さんが「ぜひ行ってほしい」というのです。ご主人は漁業関係の仕事で日本と縁があるようで、奥さんも日本語を話すことから、日本に行ったことがある人のようでした。

店内には、カップルや若者のグループなどの姿が多く見られますが、よく見ると、コリア系や中央アジア系と思われる非ロシア系の人たちも多かったです。店のスタッフもそう。サハリンでは、非ロシア系の人たちものびのびと暮らしていることがわかります。
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シナモンパイとコーヒーを頼んで、奥のスペースでひと休み。サハリンの食パンはパサパサでいまいちだったけど、こちらは普通においしいです。コーヒーの種類もいろいろ選べます。
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カウンターの脇のイラスト入り料金表をみると、メキシコ料理の各種ケサディーヤ280~380RB(560~760円)やアイスコーヒー190RB(380円)、アイスラテ200RB(400円)などが書かれています。コーヒーの値段は日本のスタバとそんなに変わらない印象です。
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店の外に手書きのロシア語の看板がちょこっと置かれているので、駅を背にして通りの左側の歩道を歩いていけば、見つけられます。駅から徒歩5分くらいです。
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サハリンに行って夜をどう過ごそうか。正直なところ、旅行前にほとんど情報がなく、思案に暮れていたのですが、稚内市サハリン事務所の中川善博さんの運営するブログ「65RUS - ユジノサハリンスク市アムールスカヤ通から…」を見つけたことで、大いに助かりました。

65RUS - ユジノサハリンスク市アムールスカヤ通から…(稚内市サハリン事務所のブログ)
http://65rus.seesaa.net/

このブログは、今年4月からユジノサハリンスクに赴任になった中川さんが日々見かけた光景や体験を元に書かれているものです。その中に、夏になると、ユジノサハリンスクでは市内のいくつかのライブハウスが盛り上がっているとの情報を発見。

そこで、週末の夜、訪ねたのが、ロシア正教会の通りの向かいにあるライブハウス「カフェ・オペラ」でした。
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店内は、世界中どこにでもあるようなクラブ風空間で、多くの若者が集まっていました。ライブステージの正面のカウンターが空いていたので、しっかり席をキープしました。この町では、我々のような外国客に対しても、ごく自然にフレンドリーな対応をしてくれます。

この店のバーテンは派手なアクションでカクテルをシェイクする陽気な青年でした。常連客と冗談を交わし、笑いを取るタイプです。
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当初、ライブは22時からと聞いていたのに、結局のところ、演奏が始まったのは23時過ぎていました。男性4人にボーカルの女性1人の地元バンドで、店内は一気に盛り上がり始めました。
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バンドのリーダーはキーボード奏者ですが、演奏される曲目はほぼわかりません。彼らのオリジナル曲なのか、ロシアの人気ポップスなのか。英語の曲もあるようですが、基本ロシア語なので、歌詞も実はよくわかりません。
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日本の音楽ライブでは、勝手に演奏中のミュージシャンを撮影することはNGでしょう。この日、店内に若いコリア系と思われる女性カメラマンがいて、ライブ撮影を行っていました。メンバーと知り合いのようです。おかげで、こちらも便乗。そうでなくても、彼らはおおらかなので、きっと問題なかったと思います。
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たとえ曲目も歌詞もわからなくても、異国の旅先で訪ねるライブハウスは面白いです。店内の若者たちの様子を見るだけでも楽しい。よく見ると、小金持ち風の非ロシア系の女の子のグループもいます。
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1回目のライブが終了し、店の外でくつろぐ客とミュージシャン数名が話し込んでいます。この日は朝まで数回ライブが行われるそう。午前0時を回っていたので、ホテルに戻ることにしました。
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by sanyo-kansatu | 2017-09-12 08:38 | 日本に一番近いヨーロッパの話
2017年 09月 12日

サハリンのロシア正教会のミサに行ったら、心がゾゾゾと震えた

6月に訪ねたサハリンの話をします。

旅先で出合ったいくつもの光景の中で、いちばん印象に残ったのが、ロシア正教のミサに参加したとき、聖堂内で見た世界でした。
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日曜朝9時、写真家の佐藤憲一さんと一緒にユジノサハリンスクのガガーリン公園の隣にあるロシア正教会を訪ねると、すでに何百人もの信者が集い、ミサが行われていました。厳かな賛美歌と司祭が振りまく香に包まれた堂内には、中世のような神秘的な時間が流れていて、その場にたたずんでいるだけで、ゾクゾクするような心持ちになりました。

礼拝の手順ですが、聖堂に入ると、まず入り口の受付でロウソクを買い、祭壇の前で自ら火を点し、拝礼します。何十、何百本もの揺れる火は、堂内の聖なる雰囲気を盛り上げます。
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聖堂内には、キリストの十字架像をはじめ、多くの使徒たちや聖母マリアなどのイコンや壁画、ステンドグラスが置かれています。信者たちはそれぞれの悩みや思いを胸に秘め、自ら選んだ像、イコンの前で祈りを捧げます。
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ミサには、韓国系などの非ロシア系の信徒の姿も見られました。彼らはサハリンの多民族社会に溶け込んでいることがわかります。
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礼拝が終わると、司祭は少しの時間、信者たちの前に進み出て、聖体拝領を行います。キリストの肉を意味する白いパン(聖餅)を信者に与える儀式です。聖体拝領は事前に聖職者の許しを得ることが必要ですが、そうでなくても、司祭に寄り添い、祈りを捧げる信者も多いようです。
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モスクワやサンクトペテルブルグに行けば、もっと立派で歴史のある教会があると思いますが、サハリンのようなロシア文化圏から遠く離れた島で、敬虔な信者たちがミサを欠かさない姿には、心洗われるものがあります。
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ちなみに、この教会の名前は「Voskresenskiy Kafedralnyy Sobor (Воскресенский Кафедральный Собор 復活大聖堂)」。ロシア国内には同じ名前の教会がたくさんありますが、東京神田のニコライ堂も同じ「復活大聖堂」です。

実は、ユジノサハリンスクにはもうひとつ大きなロシア正教会があります。なぜそれを知ったかというと、駅からタクシーで「教会に行きたい」と運転手に言ったら、連れてこられたのが、こちらの大広場の上に立つどでかい大聖堂だったのです。
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この教会は 「Cathedral of the Nativity(降誕大聖堂)」と呼ばれています。中に入ると、まだ一部聖堂内は建設中でしたから、すぐに外に出たのですが、しばらくすると、司祭たちが外に出てきました。

その瞬間、天から降ってくるように、教会の鐘が鳴り始めたのには驚きました。その音色は、短いですが、YOU TUBEにアップしています。

サハリンで聴いたロシア正教の鐘はカリヨンの演奏のよう
http://inbound.exblog.jp/26953330/

サハリンではどんな小さな町にも教会があり、平日でも何人かの信者が礼拝する姿が見られます。できれば日曜朝のミサに足を運ぶと、サハリンらしい体験ができると思います。

by sanyo-kansatu | 2017-09-12 07:44 | 日本に一番近いヨーロッパの話
2017年 09月 08日

投資や返還の話の前に、北方四島ツアーが気になります

ウラジオストクで開催されていた東方経済フォーラムにおける昨日の安倍プーチン会談、メディアは冷淡な書きぶりです。

「温度差」浮き彫り、「肩すかし」の訪ロ 日ロ首脳会談(朝日新聞2017年9月8日)
http://digital.asahi.com/articles/ASK975TSYK97UTFK00W.html

安倍晋三首相が訪問先のロシア・ウラジオストクで7日、プーチン大統領と会談した。経済連携の強化を弾みに、北方領土交渉を動かす糸口をつかみたいと臨んだ19回目の会談だが、ロシア側から投資活動の鈍さを指摘されるなど「温度差」が浮き彫りに。「肩すかし」の訪ロとなった。

「北海道とサハリンを結ぶ回廊のような巨大事業ができれば、クリル諸島(北方領土と千島列島のロシア側呼称)に、より柔軟な環境をつくれる」

7日、ロシア政府主催の「東方経済フォーラム」であった日ロのビジネスイベント。日本の経営者を前に、ロシアのシュワロフ第1副首相はこう切り出し、日本の対ロシア投資の規模の小ささに不満を示した。

日ロの経済連携は、北方四島以外での「8項目の経済協力プラン」と、北方四島での「共同経済活動」。この両輪を通して信頼関係を醸成し、領土交渉につなげる戦略を描いてきた。

首脳会談で、両氏は日本側が「平和条約締結に向けた重要な一歩」(首相)と位置づける「共同経済活動」について、海産物の増養殖▽温室野菜栽培▽島の特性に応じたツアー開発▽風力発電の導入▽ゴミ減容対策、の5分野に具体的に取り組むことで合意。10月初旬をめどに現地調査を実施することで一致した。

「8項目の経済協力プラン」の具体化では、医療・健康やエネルギー開発など56本のプラン文書に署名し、事業を進めていくことを確認。日ロ両国に進出した企業の収益にかかる税金を免除したり、税率を下げたりする日ロ租税条約を改正し、日本企業のロシア進出への環境も改善した。

また、人道的理由から日本側が重視してきた北方四島への初めてとなる空路による墓参を今月下旬に実施し、高齢の元島民らへの配慮から、訪問先の島で宿泊することで一致した。日本としてはこうした成果も領土交渉へのテコにしたい考えで、安倍首相は共同記者発表で「ともに利益を享受する形として結実するよう私たちの努力は続く」と前向きな姿勢を強調した。

ただ、ロシア側が領土交渉の前提となる経済協力に期待するのは、橋やトンネル、パイプライン、送電網など国家規模のプロジェクト。日本側は今回の会談で経済連携の成果を強調したが、ロシアの評価とはほど遠い。8月にメドベージェフ首相が北方領土で経済特区「先行発展地域」を創設する決定に署名したのも、日本の投資を待ち続けるより中国や韓国などの投資を呼び込む方が得策との判断があった可能性もある。

首脳会談前のフォーラムで、プーチン氏は同じ壇上にいた安倍首相を横目に、客席にいた中国の汪洋(ワンヤン)副首相を指して「汪氏に友好勲章を与えた。極東地域への投資の8割が中国だ」と披露。続いて安倍首相に、冗談交じりで語りかけた。

「(日本の)対ロシアの経済協力担当の大臣の地位を、副首相に格上げしたらどうか」(小野甲太郎、ウラジオストク=中川仁樹)


基本的に、北方領土の返還を背負ってのロシアとの交渉は、そもそも無理筋に近く、しんどいものだと思います。相手に見透かされていますし、ロシアは日米同盟のあるかぎり、手放さないでしょう。そのうえ、今回は「極東の投資の8割は中国だ」とあてこすりを言われたようで、安倍さんがどうのこうのではなく、日本は立つ瀬がないですね。

ロシアとの経済交流について、現地在住の日本人たちはどのように考えているのでしょうか。ある関係者は、以下のように整理してくれました。

①日露の経済協力では 資源(原油・ガス・石炭・鉱石)分野ではすでにお互いにメリットを見つけていますので これらについての協力はWinWinの関係にあります。しかしほとんどが大手に握られており、新規参入が出来ない状況。

②ところが、他の分野では日本側からみて新しく興味を持てる対象がない。すなわち、通常の輸出入で協力できるものがないということ。加えて、経済協力となると、日露間格差が大きく、ほとんどの場合、ロシア側が「おんぶにだっこ」の状況。これでは日本側のリスクが大きすぎ。特に日本の中小企業では手に負えず、一方大手にとってソ連時代の不良債権などネガティヴな事例が多く、社内の法務・審査部門の許可が出ず、前に進めない。

③加えて、ロシアのさまざまな理解しにくい国内法が妨げとなっている。

また別の関係者は率直にこう話します。

「ウラジオストクではJETROや地方自治体経由で中小企業の視察や現地企業とのマッチングが盛んに行われていますが、まず実を結ばない。

極端な言い方かもしれませんが、日本からみると、ロシアは投資先でなく上納先。外交上、ロシアと日本政府は仲良くやりたいので、そのための上納です。

実際、ロシア人も日本から投資の話があると、それは日本が儲けるための投資でなくて、自分たちのために勝手にやってくれるもんだとみなす傾向があります。

ロシアの場合、プロジェクトが大きくなればなるほど国が絡んできて、そこでごっそりもっていかれるようなシステムらしく、そこを押さえるような関係性を築くのは生半可なやり方ではできません。

そもそも貿易も支払いや関税、運輸の問題など、一般企業にとってコストが高くつきすぎます」。

極東ロシアへの投資はリスクが大きすぎて、いまは彼らの望むようなことはすべきではないというのが現地の関係者の声です。そもそもウラジオストクといっても人口60万人の都市。極東全域あわせても数百万人。本格的な商売相手としては規模が小さすぎるのです。

ですから、日本側は北方四島以外での「8項目の経済協力プラン」には及び腰になりますし、北方四島の「共同経済活動」についても「海産物の増養殖▽温室野菜栽培▽島の特性に応じたツアー開発▽風力発電の導入▽ゴミ減容対策、の5分野」に取り組むというような、曖昧模糊としたしょぼい話にならざるを得ないわけです。

ただし、気になるのは「島の特性に応じたツアー開発」をどう進めるのか。6月にサハリンに行ったとき、北方四島へのツアーがいくつも催行されていることを知りました。択捉や国後へは同じサハリン州に属するユジノサハリンスクからのみ定期便が飛んでいて、豊富な北方の自然を生かしたエコツアーでした。

現地ではこんなパンフレットもできていて、国後島や択捉島、歯舞群島の地図の上には観光スポットが紹介されています。

ロシア側が打ち出す北方四島ツアーのキャッチフレーズは「手付かずの大自然」や「冒険」。オフロード車に乗って択捉島の指臼岳の温泉を訪ねたり、ボートで美しい入り江に繰り出し釣りをやったり。晴れた日には北海道から見えるという国後島にある北方四島の最高峰、爺々岳(標高1882m)や泊山の美しいカルデラ湖に歩いて登ったり。魅力的なスポットは盛りだくさんです。

もうそういう時代なのです。
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↑国後観光MAP&スポット紹介
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↑択捉観光MAP&スポット紹介
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↑色丹観光MAP&スポット紹介

※詳しくは、以下のウエブサイトを参照。

Amist. Tourism(Амист - Экскурсии на Сахалин )
http://amist.ru/upload/2017.pdf

現地の旅行会社を直接訪ねたところ、これらの北方四島ツアーは、グループに限り、日本人も参加できるといいます。サハリンで特別な入境許可書を発行するのに2ヵ月かかるそう。もっとも、ロシア側はウエルカムですが、日本政府は主権の問題がからむため、これまでどおり、北方四島へ入境しないよう自国民に要請するという立場でしょうか。

今月下旬に予定されている元島民の空路による墓参(当初は6月の予定が、濃霧で中止)では、初めて日本からチャーター便で国後島の空港に日本人が降り立つことになりますが、この件を「人道的」扱いとみるロシア側と北方領土返還の布石に見せたいという日本側の認識はかけ離れています。

なぜなら、ロシア人の頭には、サハリン州はこのクリル(千島)諸島とサハリン島のV字型のシルエットとして焼きついています。サハリンで売られているチョコレートのパッケージの地図にも、しっかり北方領土もサハリン州の一部として組み入れられていますし、昨年の戦勝70周年の記念ポスターもそう。すでに70年以上たっているのです。
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こうした現実を皮肉まじりではなく、まっすぐ受けとめたいものです。

リスクの大きい経済交流はともかく、観光を通じた人的交流を進めることは、現地の親日的な雰囲気を合わせて考えると、双方にとって意味はあると思います。現状では誰のための「ツアー開発」なのか判然と市内のですが、日本の手にかかれば、ロシア側の北方四島ツアーも、もっと多彩で面白い企画を打ち出せるはずです。特にウラジオにはさまざまな人材もいそうなので、交流が進むと、想像してなかった相乗効果が生まれるかもしれません。

日本に一番近いヨーロッパ「ウラジオストク」の意外な素顔(ForbesJapan2017/09/06 )
https://forbesjapan.com/articles/detail/17595

投資や返還の話はひとまずおいて、北方四島ツアーについて考えたい。そう思う今日この頃です。


by sanyo-kansatu | 2017-09-08 10:55 | 日本に一番近いヨーロッパの話
2017年 09月 03日

「港湾使用料200万円」の滞納と核実験! 世界はまったく不条理です

今日の午後、北朝鮮の新たな核実験のニュースが報じられました。

北朝鮮、6回目核実験=「ICBM用水爆」成功と発表-過去最大の爆発規模(時事通信2017/09/03) 
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017090300253&g=prk

ついにその日が来たかと思った人も多かったでしょう。

ところで、その前日深夜に以下の報道もありました。

ロシアに入港拒否され運航停止(FNN2017/09/03)
https://www.fnn-news.com/…/headl…/articles/CONN00369230.html

北朝鮮の羅先(ラソン)とロシアのウラジオストクを結ぶ、北朝鮮の貨客船「万景峰(マンギョンボン)号」が、港湾使用料の未払いを理由に、ロシアの港湾当局に入港を拒否され、運航を停止していることがわかった。

ロシアの運航会社によると、万景峰号は8月24日、ウラジオストクに入港する際、200万円近い港湾使用料の滞納があるとして、ロシアの港湾当局が入港を拒否した。

万景峰号は現在、羅先に停泊していて、運航再開のめどはたっていない。

万景峰号は、5月の航路開設以降、羅先とウラジオストクを週1回往復しているが、運航会社は、「経済制裁なども影響し、採算性が厳しい」とコメントしている。

対北朝鮮制裁の抜け穴になるとの懸念もあったが、今後、定期航路が廃止される可能性もある。


時系列としては、核実験前のニュースです。FNNがいうには、万景峰号のロシア入港拒否の理由は「200万円近い港湾使用料」の滞納のためとか。もちろん、万景峰号はロシアの運航会社が運営しているため、実際に支払えなかったのはロシア側なのですが、ほとんど乗客のいない状況で利益が出るはずはありません。

こうしたなか、この人騒がせな核実験! なんと世界は不条理なのでしょう。

これまで現地関係者の情報を頼りに、この定期航路が存続するものなのか、実際の人の移動の観点から探ってきました。

万景峰号の羅津(北朝鮮)からウラジオストク(ロシア)の運賃は片道9800円から (2017年05月28日)
http://inbound.exblog.jp/26886405/
ロシア・北朝鮮間を結ぶ「万景峰号」の乗客はわずか10名足らず。定期航路化は難しい? (2017年05月28日)
http://inbound.exblog.jp/26886620/
「ウラジオストクから万景峰号で行く北朝鮮(羅先)6泊7日」ツアーも始まり、定期運航は続く!? (2017年07月08日)
http://inbound.exblog.jp/26975951/

結論からいえば、採算が合わないため、いずれ定期運航は断念せざるを得ないだろうというのが当初の予測でした。

それがちょうど核実験の時期と重なってしまったのでした。

高校時代の友人がある県の防災課長をしていて、日々この騒ぎに忙殺されているようです。しょっちゅう東京出張に来て、県民の避難ををどうするか協議の日々とか。地元テレビ局の会見にも毎日のように出ているそうです。

かつて「日本は北の問題で騒ぎすぎ」と発言した論客もいましたが、メディアは確かにそうだとしても、自治体の人たちは地震や津波の対策と同じように、この問題から逃れることはできないのです。

個人的に北朝鮮の羅津港に停泊していた万景峰号を見たこともありますし、ウラジオストクの港にも行ったことがあります。

現地の友人のメールでは、ロシア側でも地震があったそうです。

来週はウラジオストクで東方経済フォーラムが開催され、安倍プーチン会談があります。それもあって、さすがのロシアも北よりとの批判を避けるため、運航をストップさせたのでは、というのが現地の声です。

by sanyo-kansatu | 2017-09-03 18:07 | 日本に一番近いヨーロッパの話
2017年 07月 28日

2017年上半期、ウラジオストクを訪ねた日本人は前年比250%の増加

今朝ほど、環日本海経済研究所(ERINA)のメルマガ「北東アジアウォッチ No.315」(2017年7月28日発行)が届き、2017年上半期、ウラジオストクを訪ねた日本人は前年比250%の増加とのロシア報道を伝えました。

環日本海経済研究所(ERINA)
http://www.erina.or.jp/

◇2017年上半期に28万人の外国人観光客が沿海地方を訪れた◇

上半期の実績で、約28万人の外国人観光客が沿海地方を訪れた。前年同期比の成長率は2割強だった。

沿海地方観光局の発表によると、観光客の大多数は従来通りアジアの国々(中国、韓国、日本)からやってきた。「観光客数で絶対的な首位は、従来通り中国だ。上半期の実績によると、中国人観光客の数は18万6000人を超え、2016年上半期の10%増だった」と観光局では指摘している。

観光客数の第2位は韓国だ。今年上半期に沿海地方を訪れた韓国人観光客は3万5000人を達成。これは前年同期実績を80%上回っている。

最も印象的な成長を示したのは日本からの観光客数だった。日本から沿海地方を7000人強が訪れた。この数字は2016年の総合実績(8700人)を少し下回る程度だ。前年同期比成長率は約250%となった。

コンスタンチン・シェスタコフ沿海地方観光局長は、「沿海地方は今年、連邦中央の支援の下、観光産業の発展を目的とする主要な国際見本市で複数のイベントをやって来たし、今後も行っていく。さらに、我々は連邦観光局主催の一連のロードショーに参加し、韓国・ソウル、中国・香港、日本・大阪のプロのバイヤーに沿海地方の観光ポテンシャルを紹介した」と話した。(沿海地方政府7月10日)


ロシア政府が公約(?)した沿海地方のビザ緩和(電子化によるアライバルビザ発給)をスタートさせる8月1日がもうすぐ近づいてきました。

関係者の話では、いま東京や大阪のロシア総領事館は大混雑だそうです。8月1日のビザ緩和の報道を受けて、航空券の予約を入れたものの、どのようにスタートするのか、ロシア側の情報発信がないため、急遽、従来どおり観光ビザを申請するために領事館に足を運んでいる人が多いからだそうです。

まったく困ったものですが、8月にウラジオストクを訪ねたいと考えている人は、従来どおり領事館でビザを取得しておいたほうが無難と思われます。

8月1日以降、ビザ申請のページを大使館、領事館のHPに載せるということになっているのですが、どうもロシアという国は、こういう新方式をスムーズに運用することが得意ではないようです。実際、ウラジオストクのビザ緩和は、数年前からずっと言われていたことだからです。

いずにせよ、近隣の国々から多くの旅行客がウラジオストクに押し寄せていることは確かです。

今後、新しい動きが出たら、本ブログでも報告していきます。

by sanyo-kansatu | 2017-07-28 10:33 | 日本に一番近いヨーロッパの話
2017年 07月 17日

初めてウラジオストク旅行に行こうとしているみなさんへ 

今年3月、羽田深夜便(ピーチ)で上海出張に行ったとき、去年大学を卒業したばかりというOLさんふたりと知り合いました。深夜0時半、羽田の空港チェックインカウンターに並んでいたとき、たまたま列の前にいた子たちですが、そのうちひとりは会社帰りのワンピースにコートを着て片手に通勤バッグという軽装で、いまどきこういう子が深夜便を利用しているんだなあと思って声をかけたのです。

彼女たちは金曜深夜発、日曜夜便戻り、すなはち羽田深夜便を利用した「1泊3日弾丸上海旅行」(しかも、初めての中国旅行)にチャレンジしていたのです(もちろん、月曜朝には出勤です。元気ですね)。

帰国してから一度ご飯を食べたり、たまに連絡を取り合っていたのですが、なんでも秋休みにウラジオストクに行きたいと言い出しているんです。それは、ぼくがふたりにウラジオストクの話をさんざん聞かせたせいでもあるのですが…。

先日、彼女らのひとりからメールで以下の質問が届きました。誰でも初めての国に旅立つ前に、知っておきたいことです。

「円からルーブルに変えるのはどこが一番お得ですか?
ドルからルーブルに変えた方がお得など、、、
また、エアですが、直接アエロフロートからとる方がやはりお得ですか?」


そこで、ぼくはウラジオストク在住の旅行会社の友人に相談し、彼女らの質問に答えることにしました。以下、その回答メールを公開しつつ、彼女らのように、初めてウラジオストク旅行に行こうとしているみなさんへ、思いつく限りのアドバイスをしたいと思います。

【質問1】「円からルーブルに変えるのはどこが一番お得ですか?
ドルからルーブルに変えた方がお得など、、、」

【回答】
「出発前に、成田空港で5000~1万円を両替し、とりあえず現金(ルーブル)獲得は必須です。

そのうえで、現地で必要分をATMでキャッシング(成田レートよりは全然いいです)することをおすすめします。海外のATMでキャッシングするためには、「VISA」や「PLUS」マークの表示がある海外のCD・ATMで現地通貨を引き出せるカードを用意する必要があります。

海外ATMの使い方徹底ガイド(VISAの場合)
http://www.visa-news.jp/cu/atm_info/

新生銀行インターナショナルキャッシュカード ※「VISA」や「PLUS」マークの表示がある海外のCD・ATMで現地通貨を引き出せる。
http://www.shinseibank.com/atm/atm_kaigai.html

ただし、ロシアのATMでは、たまに札切れのケースもあるので、要注意。ウラジオストク市内には以下の両替所や銀行もあります。

「銀行」という名前の両替所
http://urajio.com/item/0812
レートがいいのは、やはり銀行で、「バンクプリモーレ」(ロシア語名:Банк Приморье) はおすすめです。
http://urajio.com/item/0813

ちなみに、ウラジオストク空港から市内への移動については、このブログの記事にわかりやすく書かれていますので、参考にしてください。

http://chiyo045.hatenablog.com/entry/2016/05/09/002344  」


【質問2】「エアですが、直接アエロフロートからとる方がやはりお得ですか?」

※なぜ彼女がこのような質問をしたのか、それには理由があります。

今年4月30日から成田・ウラジオストク線は毎日運航(夏季に限ります)となりました。おかげで日本人渡航者数が急増していますが、そうだとしても、1日何十便ものフライトがあるソウルや台北、上海などに比べれば、まだまだ小さな路線といわねばなりません。現在、両都市に就航しているのは、ロシア系航空会社のS7航空(週4便:火木土日)とオーロラ航空(週3便:月水金)です。S7航空は同じく4月末から関西・ウラジオストク線に水、金の週2便で運航を開始しました。

S7、オーロラ航空とも、ロシア系大手のアエロフロートのウエブサイトで予約を受け付けています。しかし、そこには競合はありません。その点、格安航空券を販売するサイトでは、ソウル経由の大韓航空便の予約も受け付けています。ただし、同社利用の場合、往路復路ともソウル泊しなければならないようです(同日乗継があるかどうかは不明)。休みが短い人には、これは考えられません。

となると、ウラジオストク便の予約は、直接アエロフロートのサイトでするのがいちばん安いのではないか、と彼女は考えたのでしょう。

さて、それをふまえて、以下回答します。

【回答】
「これは必ずしもそうではありません。ロシア系専門旅行社などでは、ツアー向けに飛行機の座席を買い取りしており、こちらで買うほうが安い場合が多いといえます。

JATM(ジャパンエアトラベルマーケティング)
http://www.jatm.co.jp/

ただし、これらの旅行会社では、基本的にツアー販売用に航空券を安く仕入れることができるわけで、航空券のみを販売することには、それほど積極的ではありません(もちろん、空席がある場合は、なるべく売りたいというのは確かですけれど)。

さらに、DENAトラベルのような格安航空券とホテルをセットにしたツアーを販売するサイトもあり、時期によっては、かなり安くなるケースあります。

DENAトラベル
http://www.skygate.co.jp/

ところで、今年8月1日よりウラジオストクへの渡航が「ノービザ」化すると本ブログでも伝えてきました。

8月1日からウラジオストクは8日間の「ノービザ」渡航が可能になります
http://inbound.exblog.jp/26806617/

これは、以下のロシア側の報道で確認されています。

外国人の極東への渡航を簡素化(2017年2月23日 ロシアNOW)
https://jp.rbth.com/travel/2017/02/22/708146

ここでいう「ノービザ」「簡素化」とは、台北やソウル、上海に行くときのように、航空券だけ自分で手配すれば簡単に入国できるのではなく、事前にネットで大使館に申請することで、ウラジオストク空港入国の際にビザ(アライバルビザといいます)を発行してくれることをいいます。これまでは日本国内にあるロシア大使館に申請にいかなければならなかったことに比べると「簡素化」といえるのです。申請しておけば、空港で無料でビザがもらえるのですから、「ノービザ」に近いともいえるのです。

そのためには、以下の手順で「観光ビザ」の申請をしなければなりません。ポイントは2つです。

①ロシアに入国する予定の日付の4日前に、インターネットの特別なサイト(8月1日に在日本ロシア大使館のHPにアップされる予定)でビザの申請を行うこと
②ビザは無料で、申請した時点から30日間有効。8日間以下の滞在が許可される

なぜこんな手続きが必要なのかについて、以下の記事は、わかりやすく説明されています。

ロシア観光ビザの申請方法と極東地域のビザ緩和について
http://trip-coffeex2.com/touristvisaforrussia

ひとまず、ウラジオストクへの旅行は、以前に比べると、簡単になったことは事実ですが、まだちょっと面倒な手間がかかるということを頭に入れてください。

それでも、行ってみたい。そういう気持ちがあるかどうか、少し考えてみてください。

もちろん、旅行会社のツアーに参加すれば、ビザも含めて、すべての面倒ごとを解決してくれます。限られた日程の旅行の場合、それも賢い方法といえます。ただし、ウラジオストクは、それほど大きな都市ではないので、数日あれば、自分の足でも旅行を楽しめるのも確かで、考えどころです。

【追記】
その後、8月1日ではなく、8日からウラジオストクの電子ビザが取得できるようになりました。取り方は以下のとおりです。

こんなに簡単!ウラジオストクのアライバルビザの取り方の手順を大公開
http://inbound.exblog.jp/27208186/


by sanyo-kansatu | 2017-07-17 16:04 | 日本に一番近いヨーロッパの話
2017年 07月 08日

「ウラジオストクから万景峰号で行く北朝鮮(羅先)6泊7日」ツアーも始まり、定期運航は続く!?

今年5月18日、極東ロシアのウラジオストクと北朝鮮の羅先を結ぶ定期フェリー航路が開設され、ひそかに注目されています。

万景峰号は貨客船としての運航でもあり、両国間で取引される荷物の中身も気になるところでしょうが、そもそも乗客が少なければ定期運航を続けるのは厳しいものがあります。

以前、万景峰号を利用したロシアと北朝鮮の2国をめぐる中国発の周遊ツアーを催行している中国吉林省延辺朝鮮族自治州の旅行会社の話を書きましたが、結果的にほとんど集客はできなかったようで、予定されていた5月~6月の6回のツアー募集も終わってしまいました。

ロシア・北朝鮮間を結ぶ「万景峰号」の乗客はわずか10名足らず。定期航路化は難しい?(2017年05月28日)
http://inbound.exblog.jp/26886620/

そんなこともあり、7月最初の木曜日(6日)万景峰号はウラジオストク港に入港するのか、気になっていました。

そこで、現地在住の友人に6日、7日の両日、ウラジオストクのフェリーターミナルを訪ねてもらいました。以下、その報告です。

結論から先にいうと、万景峰号は確かに運航を続けていました。

「6日(木)の夜、ファリーターミナルを訪ねたところ、万景峰号はいませんでした。ところが、ウラジオストクを訪れる中国客が必ず立ち寄る宝石店に聞くと、確かに万景峰号はその日の朝、入港していたとのこと。他の客船の入港もあり、その日は別の場所に停泊しているらしいのです。
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翌7日(金)の午後、再びフェリーターミナルに行くと、ロシア人客が30人くらい出航を待っていました。聞くと、彼らは万景峰号で朝鮮旅行に行くとのこと。アジア客は見当たりませんでした」

中国発のツアーは客を集められなかったものの、どうやら今度はロシア沿海地方のロシア人を対象にした北朝鮮ツアーが始まるようです。

いったいどんなツアーなのでしょうか。さっそく調べてみました。以下のツアー募集が見つかりました。催行しているのは、DAL'RASSVET(ДАЛЬРАССВЕТ)というロシアの旅行会社です。
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ウラジオストクからフェリーで行く北朝鮮(羅先)6泊7日
Cеверная корея: Паромом из Владивостока. Отдых. Море. Экскурсии !

https://www.farpost.ru/vladivostok/rest/asia/cevernaja-koreja-paromom-iz-vladivostoka-otdyh-more-exkursii-54777007.html

ロシア語しかないので、ざっとツアーの内容を超簡訳で以下紹介します。

このツアーは、金曜19時に万景峰号に乗ってウラジオ港を出港し、翌朝羅津港に入港。復路は水曜夜同じく万景峰号に乗って木曜朝9時ウラジオストク着というものです。つまり、土曜日から水曜日までの5日間を羅先に滞在するというものです。

料金は、万景峰号の8人部屋を利用する最低価格で27000RB(約5万4000円)。1週間の海外旅行としては、お値打ち価格といえるかもしれません。

ツアー催行日も決まっています。7月から10月まで募集があるようです。

июль(7月)14, 21, 28
август(8月)4, 11, 18, 25
сентябрь(9月)1, 8, 15, 22, 29
октябрь(10月)6, 13, 20, 27

このツアー代金に含まれるものとして、以下の事項が書かれています。

ウラジオ・羅先往復フェリーチケット
フェリー内(往復)朝食、夕食
宿泊代(海水浴場のキャンプ場利用含む)
羅先での市内観光

日程も以下のように記されています。

1日目(金)
ウラジオストク港集合。出国手続きをすませ、万景峰号乗船。出航。

2日目(土)
羅津港に入港。入国手続き後、ホテルに送迎、チェックイン。午前自由。ランチ後、市内観光(金日成花温室、ソビエト兵士慰霊碑、勝利石油コンビナートを訪問。少年少女による歓迎コンサートあり)。夕食。
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3日目(日)
ホテルで朝食。琵琶島海水浴場へ。エンペラーホテル&カジノ訪問。琵琶島ではオプションでオットセイのいる島への遊覧船あり。ランチ。午後は、外国文書店(朝鮮書籍、切手の販売)、朝鮮土産店、海浜公園のビヤハウスで生ビール、市場歩きなど。夕食。
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4日目(月)
ホテルで朝食。市内観光(革命博物館などを訪問)。ランチ。外貨両替可能なゴールデン・トライアングル・デルタ・バンク、縫製工場で女性労働者の仕事ぶりを参観、大学訪問など。夕食。
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5日目(火)
ホテルで朝食。農場見学(キノコ栽培)、ミネラルウォーター工場を訪問。ランチ。孤児のための中等学校寄宿学校他(一部内容不明)訪問。コーヒーショップで休憩。夕食。

6日目(水)
ホテルで朝食。羅先市美術展覧館(絵画販売)訪問。ランチ。ホテルに戻り休憩。夕刻、出国手続き後、万景峰号乗船。羅津港出航。
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7日(木)
朝9時、ウラジオストク港入港。入国手続きを経て解散。

上記日程で挙げた羅先観光の訪問スポットについては、以下参照。

北朝鮮 羅先観光の現在
http://inbound.exblog.jp/19752652/
朝鮮観光のしおり
http://inbound.exblog.jp/i32/

このように、羅先観光は、首都平壌で実施されている朝鮮観光のモデルを踏襲した地方版で、海水浴場などの自然体験を除けば、内容はほとんど変わりません。少年少女の歌謡ショーは、朝鮮全土のどの町でも用意されています。外国人にとって、それが魅力的かどうかは、個人の価値観によるとしかいえません。

それはロシア人にとっても同じことで、興味深いことに、ツアー案内には以下の注意書きもあります。

「北朝鮮旅行における観光客の行動については、他の外国とはまったく異なる独自のローカル原則があることをご確認ください。

豊かな自然が残る北朝鮮では、本格的な朝鮮料理やスキー、海浜でのリラックスな体験ができます。また、他の国々とはまったく類似しない特殊な社会体制の中に現実に人々が住んでいることを知ることになるでしょう。北朝鮮ツアーは、この国でしかない特別な体験をしてみたい若者の間で人気があります」

諸外国の人々に比べると、多くの建設労働者を受け入れているロシア人の目から見て、北朝鮮は(「悪の枢軸」などではなく)、きわめて特殊な政治体制ではあるけれど、貧しくて勤勉な人々が働く国です。おそらく今日の中国人のほうが厳しい目で北朝鮮を見ているように思います(たとえ、同胞が多く住んでいるとしても)。

この時期、中国の大連などにも少なくないロシア人観光客が海水浴のために訪れます。経済発展が遅れているぶん、自然もそれなりに豊かな北朝鮮を海水浴や休暇を目的に訪れるロシア人観光客というのは、これまで決して多いとはいえませんが、存在していました。今回、ロシアの船会社が万景峰号の定期運航を始めることにした以上、自国民を乗船させようとするのは自然なことでした。

いずれにせよ、中国や北朝鮮を旅行先に選ぶロシア人は中間層以下の人たちで、経済的にゆとりがある層はタイなどの東南アジアを目指します。

こうしたことから考えても、10月まで万景峰号の定期運航が続くかどうかは疑問がないではありません。今後を占ううえで、国際的な観点も重要ですが、ローカルな視点も欠かせません。これからも注視していきたいと思います。

by sanyo-kansatu | 2017-07-08 13:24 | 日本に一番近いヨーロッパの話
2017年 07月 05日

第3回ロシア国際ウラジオストクマラソン参加者募集中!

今年4月30日より、成田からのフライトが毎日運航になった極東ロシアのウラジオストクで、9月23日に第3回ロシア国際ウラジオストクマラソンが開催されます。

今夏から成田・ウラジオストク線が毎日運航になります(これはスゴイ!)(2017年03月25日)
http://inbound.exblog.jp/26742483/
8月1日からウラジオストクは8日間の「ノービザ」渡航が可能になります (2017年04月22日)
http://inbound.exblog.jp/26806617/
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ウラジオストクってどんな町? 多くの人はきっとそう思うでしょう。

ひとことでいえば「日本にいちばん近いヨーロッパ」です。

極東からモスクワへ延びるシベリア鉄道の始発駅として、19世紀末の帝政ロシアが建造した港町です。近隣アジアの国々の町とはまったく異なる景観、ヨーロッパの都市そのものが、そこにはあります。しかも成田からのフライトは2時間弱。驚くほど近いんです。

ウラジオストクの様子については、いま鋭意制作中のウエブサイト「ボーダーツーリズム(国際観光)を楽しもう」の以下のページをご覧ください。

ウラジオストク(ロシア)-日本にいちばん近いヨーロッパ
http://border-tourism.jp/vladivostok/

さて、マラソン大会を主催するウラジオストク市政府の運営サイトによると、種目と参加資格は以下のとおりです。

①男女42.2kmコース
16歳以上の男女(17歳以下は両親の同意必要) 制限時間:6時間
②男女21.1kmコース
16歳以上の男女(17歳以下は両親の同意必要) 制限時間:4時間
③男女5kmコース
16歳以上の男女(17歳以下は両親の同意必要) 制限時間:2時間
④子供1kmコース
6歳~13歳の男女(両親の同意必要) 制限時間:1時間

国際ウラジオストクマラソン公式サイト(なんと日本語版あり!)
http://jp.vladivostokmarathon.ru/
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コースは上記の地図のとおりですが、ウラジオストク中心部の金角湾に面した中央広場をスタート。2012年秋のAPECのときに完成した金角橋を渡り、しばらく海岸沿いの道路を走ります。そして、世界最長の吊り橋のルースキー大橋を渡ると、極東連邦大学のあるルースキー島がゴール地点です。ふたつの大吊り橋から眺める海と島々は美しいのひとことです。ちなみに、参加者は約5000人だそうです。

以下はその日のスケジュール。

6:00 – 8:00
スタート・パッケージの配布(中央広場)
9:00
スタート42 km (ルースキー島のリング)
10:15
スタート 21 km(水族館への曲がり角から1キロ、極東連邦大学方向)
11:10
スタート 5 km (カリニナ通り、281番)
15:00
車両通行の再開
15:30
表彰式

同大会の日本側窓口を担当しているのは、ウラジオストクにある旅行会社「アルファイオメガ(Альфа и Омега)」の宮本智さんです。

アルファイオメガ(Альфа и Омега)
ロシア、ウラジオストク市アケアンスキー通16番地
イズムルートショッピングセンター1階
TEL: 7(国番号)-9146871179
E-mail: alfaiomega888@gmail.com

エントリー期間は、2017年4月1日~9月14日(必着)とのこと。参加希望の方はもちろん、同マラソン大会に関心のある方は宮本さんに連絡ください。

彼の制作しているウラジオストク情報満載のウエブサイト「ウラジオ.com」でも、同マラソン大会を紹介しているので、参考にしてください。

ウラジオ.com
http://urajio.com/

9月のウラジオストクは、残暑のきつい日本に比べ、とても清清しくマラソンに最適の季節だそうです。

ウラジオ国際マラソンへ楽々手続き(不明点は何でも問合せ下さい)!
http://urajio.com/news/marathon

by sanyo-kansatu | 2017-07-05 15:29 | 日本に一番近いヨーロッパの話
2017年 07月 04日

サハリンではいまも日本時代の製糖工場でチョコレートをつくっています

サハリンの食材店で、こんなチョコレートを見つけました。パッケージにサハリンの地図が描かれているミルクチョコです。味は甘さ抑えめで、1枚135RB(270円)でした。
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甘党でもないのに、ご当地チョコに関心を持ったのはわけがあります。こんな記事を読んでいたからです。

サハリンに残る「南樺太」時代の工場、今も現役 | ロシアNOW
https://jp.rbth.com/ronichi_business/2015/12/28/555275

記事によると、サハリンではいまも日本時代の製糖工場が稼動していて、メイドinサハリンのチョコレートを製造しているというのです。

それにしても、なぜサハリンでチョコレート?  

その疑問に答えてくれたのは、稚内市サハリン事務所の中川善博さんでした。

中川さんは今年4月からユジノサハリンスクにある同事務所に駐在している稚内市の職員の方です。彼はサハリンでの日々の見聞を、ほぼ毎日のように、以下のブログに書いています。それがとても面白く、現地の事情を理解するうえで参考になるものばかりなので、事前に連絡を取らせていただき、現地でお会いしました。

65RUS - ユジノサハリンスク市アムールスカヤ通から…
http://65rus.seesaa.net/

中川さんはぼくの疑問にこう答えてくれました。

「「製糖工場」に「何故?」と思われたようですが、これは“甜菜”を栽培していたからに他ならないと思います。

“甜菜”は北海道内で盛んに栽培されていて、砂糖の原料になっています。北海道内にも、“甜菜”で砂糖を製造している工場はいくつもあるはずです。

樺太では、北海道に準じたような作物を栽培して、北海道と似たような利用をしていたと聞きます。よって“甜菜”も栽培し、それを利用して砂糖を製造するべく工場が建てられたのでしょう」

中川さんがおっしゃるには、ユジノサハリンスクにある現役の製糖工場の外観のデザインは、北海道の士別にある日本甜菜製糖株式会社の工場とそっくりだというのです。

日本甜菜製糖株式会社
http://www.nitten.co.jp/index.html

実は、日本の研究者がユジノサハリンスクに現存する製糖工場の建築図面について掘り起こしているようです。

旧樺太製糖株式会社豊原工場に関連する建築物の図面と現況にみる特徴
−旧明治製糖株式会社士別工場との比較を通じて−
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijt/21/48/21_843/_article/-char/ja/

この話を中川さんに伝えたところ、こう応じてくれました。

「1930年代当時、資本関係がある工場の運営会社の間で、基本的な工場の設計が流用されて「そっくり」な工場を建てるというような例はいくらもあったと思われます。そういう建物が今日に残っている例は少なく、北海道の士別とユジノサハリンスクに“兄弟のような建物”が残っているというのは、すごい偶然です」

本当にそうですね。ところで、前述の「ロシアNOW」に寄航された記事によると、ユジノサハリンスクの現役の製糖工場で生産されているチョコレートのブランドは「SAKO」といいます。その販売店が市内にあることがわかりました。以下のサイトに地図が載っています。

САХАЛИНСКОЕ КОНДИТЕРСКОЕ ОБЩЕСТВО (САКО)
https://sakhalin.biz/sako

このサイトに載っているgoogleMapを参考にショップを探したのですが、見つけることができませんでした。というのも、そのショップは独立した店舗ではなく、ショッピングモールの中にある一店舗に過ぎなかったので、時間がなく、見つけられなかったんです。

そこで、帰国後、中川さんにメールを送りました。このショップのことを教えてもらいたいと。彼は快く引き受けてくれました。そして、数日後、以下のメールが届きました。

「ショップがあったのは、レーニン通254bという住所にある商業施設の中です。

地元では<食品市場>と呼び習わされているようで、土曜日の午前中という時間帯、車も切れ間なく出入していて、来店客も多い感じでした。館内には、肉や水産物、珈琲、紅茶、菓子、パン、酒類から乳製品、香辛料、漬物など、あらゆる食料品の店が並んでいます。蟹もそのままの姿で売られていました。

この中にSAKOの店がありました。コッソリと撮った店の写真を送ります。
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この店ではチョコレートが「1㎏=000ルーブル」という量り売りでした。

そこにはお尋ねいただいた「サハリンの地図が入った板チョコ」らしきモノは売っていませんでした。

ところが、別の店に行くと、その板チョコは売られていました。包装紙を見ると、SAKOと思われる記載が見当たりません。“ПК”というマークが書かれていて、これはウラジオストクのある沿海地方の製菓会社のロゴです。

同社のサイトもありました。確かに、ウラジオストクの製菓工場の製品のようです。
http://primkon.ru/  」

どうやらぼくの見つけたサハリンの地図入りチョコは、サハリン生まれではなかったようです。そして、「SAKO」は現地販売限定のローカルブランドだったんですね。

この話をウラジオストク在住の友人にしたところ、確かにそれはウラジオストクに工場のある製菓メーカーだと教えてくれました。

以下、その工場とショップを紹介する彼のHPの記事です。

ウラジオ発:老舗地元チョコレート店「プリモールスキーカンヂーチェル本店」(ロシア語名:Приморский кондитер)
http://urajio.com/item/1211

ウラジオストクには、1906年創業の老舗のチョコレート店があるそうです。極東ロシアで名物チョコレートが生まれた歴史については、以下のウラジオストク発情報サイト「Discover Vladivostok」にも紹介されています。

チョコレートと海の味の鳥
http://vladivostok.travel/jp/shopping/chocolate-and-bird/

確かに、ロシアではたくさんの種類のチョコレートが売られています。パッケージもかわいらしいので、お土産にぴったりなのですが、まさか極東ロシアで生産されているとは知りませんでした。しかも、サハリンのような島でもです。

以上は、街角の食材店で手にした1枚の板チョコが教えてくれたサハリンと極東ロシアの話です。

by sanyo-kansatu | 2017-07-04 14:39 | 日本に一番近いヨーロッパの話
2017年 06月 27日

サハリンで聴いたロシア正教の鐘はカリヨンの演奏のよう

6月中旬、1週間ほどサハリンに行ってきました。

初めてのサハリン行きで、ロシア語もできないものですから、言葉がほとんど通じない外国で、バスや鉄道に乗るにも右往左往する毎日というのは久しぶりのことでした。でも、市井のロシア人たちの善良さに触れることができました。要するに、彼らは、周辺の国々の人たちに比べ、ガツガツしていないんです。北海道のさらに北にある北東アジアの最果ての地に、このような品のいい人たちが静かに暮らしていると思うと、なんだかホッとします。それが第一印象でした。

今回、州都のユジノサハリンスク以外に、サハリン鉄道の北の終着駅であるノグリキやポロナイスク、ドリンスク、ホルムスク、稚内と航路で結ばれているコルサコフなどを鉄道やバスで旅しましたが、どこに行ってもロシア正教会がありました。どの教会も、きれいにお化粧され、輝かんばかり。ロシアの人たちにとって教会がいかに大切な場所であるかを実感します。

これはユジノサハリンスクで広く知らているロシア正教会です。
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こちらはホルムスクの教会で、中に入ると、イコンがぎっしり並べられ、宗教的にとても濃密な世界があります。ヨーロッパのプロテスタント系の教会の簡素な世界とはまるで対極です。実は、同行した写真家の佐藤憲一氏がユジノサハリンスクの教会のミサの様子を撮影しており、近日中に公開したいと思います。
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この時期、サハリンでは午前中は海霧のような雲に覆われ、曇り空は正午過ぎまで続き、午後3時くらいからようやく空が晴れてきます。日本と比べ、時差が2時間早いこともあり、日が暮れるのは夜の9時半頃。ですから、教会などの本格的な撮影は、時刻でいえば午後5時以降がベストといえます。

コルサコフには路線バスで約1時間。この日は午後4時くらいまでずっと曇り空だったので、コルサコフ港の青い海を撮影することを断念し、バスでユジノサハリンスクに戻ろうとしていたら、途中で急に空が晴れてきました。すでに午後5時を回っています。ロシア正教は見た目がとても美しいので、青空の下で撮影をしたいということになり、冒頭のガガーリン公園の近くにあるロシア正教会に行こうと、バスを降りたユジノサハリンスク駅からタクシーに乗ったところ、連れて行かれたのが、勝利広場の隣にある、もうひとつの大聖堂でした。
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こちらの聖堂は巨大です。中に入ってみたところ、まだ内装を工事中でした。それでも、修道女の人たちがお祈りを捧げている姿を目にしました。

教会の外に出ると、いきなり頭上から鐘の音が聞こえてきました。

ロシア正教特有の大小いくつもの鐘をカリヨンの演奏のように鳴らす音です。

その一部を動画に撮りました。

サハリンのロシア正教会の鐘 まるで楽器の演奏のよう(動画)
https://www.youtube.com/watch?v=9R3q1Cfs-3g

以前、函館のロシア正教会で鐘を鳴らしておられる神父さんにお話を聞いたことがありますが、上手に鳴らせるようになるには相当練習が必要だそうです。確かに、音色を聞いている限り、けっこう難易度の高い「演奏」のように思います。

異国情緒という言葉を強く引き起こされるサウンドスケープといえます。

サハリンは、ひとことでいえば、「日本にいちばん近いヨーロッパの田舎町」ですね。

これはミサの様子を撮ったものです。

サハリンのロシア正教会のミサに行ったら、心がゾゾゾと震えた
http://inbound.exblog.jp/27109705/

by sanyo-kansatu | 2017-06-27 13:53 | 日本に一番近いヨーロッパの話