人気ブログランキング |

ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

inbound.exblog.jp
ブログトップ

タグ:ショッピング ( 80 ) タグの人気記事


2020年 05月 01日

多慶屋がタイQRコード決済導入の日本第一号店となった理由(インバウンド激減の時代を考える その5)

緊急事態宣言が延長される政府の方針が固まったことが報じられるなか、どうやらもうしばらくwithコロナの日々を過ごさなければならなくなったようだ。集客が激減した小売店や宿泊施設などでは、いかにコストを削減し、日々のキャッシュアウトを最小化できるかが生き残りのための課題だという論調も一般的になっている。

以下のレポートは、昨年11月下旬に書いたもので、当時は「インバウンドの現場で労働力不足が叫ばれている」という前提で書かれていたことを考えると、いまとなっては隔世の感がある。

この感じでは、いつ頃訪日外国人の受け入れが始められるのかもそうだが、そもそも海外ではどの国が観光客を送り出せるほどの収束時期を迎えているのだろうか。今後は国や地域をめぐって、かなり面倒な議論が起こりそうだ。いま中国ではまるで感染者がいなくなったかのような報道がされているが、その真偽はともかく、そもそも今回の感染症の発生地である中国からの観光客をすんなり受け入れていいのか、という議論も出てくるだろう。

その意味では、国内の状況だけでなく、海外の国々の状況についての正確な把握が求められるだろう。そうである以上、優秀な外国人人材を通じて海外の情報を集め、分析することが必要となる。

以下のレポートでは、外国人人材を活用する本来の意義はどこにあるのかについて述べている。

それは、訪日客を送り出す海外の事情に精通し、戦略立案や制度設計に能力を発揮できるハイスペックな人材の登用にあり、彼らは何を考え、苦労しているのか。そこから我々が克服すべき課題が見えてくるという認識は、今日ますます重要となるはずだ。


※※※

2017年11月に施行された新たな外国人技能実習制度で、ホテルの清掃などインバウンドの現場に関わる職種が拡大した。この制度は外国人を低賃金労働者としてのみ扱うことにつながると批判の声もあるが、日本はもはや外国人人材の存在抜きにして社会を維持できないほど、背に腹は代えられない時代を迎えている。

そして、我々の周辺にはこうした底辺労働を担うだけではなく、ハイスペックな外国人人材もいることを知る必要がある。外国人を活用する本来の意義は、むしろそこにあるといっていい。なぜなら、いまの日本人が最も苦手とする市場の先見性や戦略の立案、制度設計に力を発揮してくれるからだ。


■カギを握ったのは台湾出身の企画課長


そのひとりが、株式会社多慶屋企画グループ営業企画課の馬躍原課長である。


多慶屋は東京・上野御徒町に7店舗を構える総合ディスカウントストアだ。食品や化粧品などの日用品をはじめ、家電や時計、ブランドバッグ、貴金属、インテリア、家具などを取り揃えた、1947年創業という老舗である。


同社は、今年9月、タイのQRコード決済導入の日本第一号店となった。2018年の訪日外客数6位ですでに100万人を超えているタイでは、日本と同様、QRコード決済の普及が始まっている。アセアン諸国では、シンガポールやベトナム、インドネシアでも同じ動きがみられており、その最初の受け皿となるのが多慶屋というわけだ。

多慶屋がタイQRコード決済導入の日本第一号店となった理由(インバウンド激減の時代を考える その5)_b0235153_12262330.jpg
多慶屋の電飾看板ではタイのQRコード決済が利用可能なことをPRしている


実は、いまや全国の百貨店や量販店、免税店、ドラッグストアなどで広く導入されている中国QRコード決済のアリペイも、同社では日本で第一陣として導入されている。2015年11月のことだ。


なぜそれらの先進的な取り組みがいち早く可能となったのか。カギを握ったのが馬課長だった。

多慶屋がタイQRコード決済導入の日本第一号店となった理由(インバウンド激減の時代を考える その5)_b0235153_12262978.jpg
馬躍原課長は台湾高雄市出身。11歳のとき来日し、台湾と日本の文化をよく理解している


台湾出身の彼が同社に入社したのは2000年4月。中国からの団体旅行が解禁となった、日本のインバウンド元年といっていい年だ。つまり、この20年間の彼の社歴は、日本のインバウンド拡大の歴史と重なっている。


彼は入社後、まず家電売場の販売を担当した。


「2000年代前半はまだ日本ではインバウンドは話題になっていませんでしたが、多慶屋には多くの外国客が口コミを通じて訪れていました。台湾や韓国のお客様、東南アジアやアフリカなどの大使館関係者が家具や家電、絨毯などを、また帰国するときのおみやげを買いに来ていました。私は多言語のフロアガイドや指さし会話カードの作成など、受け入れ態勢の整備に努めました」


■免税対応、銀聯カード、アリペイもいち早く導入


2005年、企画部に異動。最初に彼が取り組んだのが、免税対応の導入だった。


「当時、大手百貨店を除き、免税を導入している小売店はほとんどありませんから、売場のスタッフの手間が増えたことで、現場との調整に苦労しました。いまのようなポスレジはなく、免税伝票に商品1点ずつ書き出す必要があったからです。私は免税処理の効率化を図るため、社内の情報システム部門と自前で半自動免税処理システムをつくりました。そこまでやったのは、外国客が店を訪れていることを強く体感していたからです」


そして、「爆買い」という言葉が生まれた2008年、中国のキャッシュレス化の皮切りとなった銀聯カードの端末を導入。当時、多慶屋は現金主義だった。つまり、国内客に先んじて中国客相手のカード対応を始めたのだ。


「なぜ国内客は使えないのに、銀聯カードを導入したかというと、数年前から中国の地方政府の関係者などの訪日視察ツアーが急増しており、大使館関係者らに知名度のあった当店で腕時計などの高額商品がよく売れていたからです。その後の国内客向けのカード端末導入につながりました」


そして、2015年、中国客の「爆買い」最盛期が訪れる。前述したように、多慶屋ではいち早くアリペイを導入した。


「きっかけは、2014年10月から食品や飲料、薬品、化粧品などの消耗品の免税制度がスタートしたことです。これら日本製品の品質の高さは中国客に知られており、大量買いもすでに起きていたので、新しい決済方法でしたが、導入を決めました。他の大型量販店と違い、広告宣伝費を潤沢に使えない弊社としては、一号店となることで、中国のアリペイユーザーに注目されることがプロモーションにつながると考えました」


アリペイを導入することで、中国のユーザー向けにスマホのアプリでプロモーションを展開し、クーポンも配布できる。地元上野の美術館や動物園などの観光情報も届けられることから、「エリアとしての集客力が高まる」ことが期待されたという。


ところが、翌2016年、「爆買い」は突然終息する。


「中国政府の政策変更で、地方政府関係者の視察は減少し、『ぜいたく禁止令』やみやげものに対する関税強化が始まり、売れ筋が変わっていきました。越境ECの影響もあり、その頃から不安定な中国市場だけではなく、台湾やタイなど多様化を進め、底上げを図る必要が生まれました。それが今年9月のタイのQRコード決済導入の日本一号店につながったのです」

多慶屋がタイQRコード決済導入の日本第一号店となった理由(インバウンド激減の時代を考える その5)_b0235153_12263494.jpg
多慶屋がタイのQRコード(Krungsri QR Pay)決済導入を伝える現地報道


■共感しながら仕事ができると楽しい


このように、馬課長は日本のインバウンドの動向を先取りする現場に長く身を置き、小売分野の最前線を先導した人材といっていい。なぜそれが可能となったのか。


彼は、理解ある日本人上司や経営陣のおかげだというが、自分と多慶屋の縁をこう話す。


「私が初めて多慶屋に来たのは、まだ台湾に住んでいた9歳のとき。家族旅行で東京に来て、日本の親戚に連れられて来ました。当時(1980年代半ば)、いいものが安く買えるディスカウントショップはまだ少なく、強い印象が残っています。学生時代の1990年代はまだ日本にこれほど多くの外国客が来るとは考えられなかったので、貿易を学び、入社後はまずバイヤーとして頑張りたいと考えていました。でも、すぐにインバウンドの時代がやってきました」


彼はいま多慶屋を訪れる外国客の気持ちを、子供の頃から理解していたのである。だからこそ、何が現場に求められているかをいち早く察知し、実行できたのだろう。企画部に所属するいまも、店が忙しければ売場に立つこともあると話す彼には、次のような自負がある。

多慶屋がタイQRコード決済導入の日本第一号店となった理由(インバウンド激減の時代を考える その5)_b0235153_12263823.jpg
タイQRコードのキャンペーンTシャツを着用する多慶屋のスタッフ


「いま多慶屋には多くの外国人スタッフがいますが、私にできるのは、日本と海外の文化や価値観の違いの間に立てること。その違いを日本のスタッフに伝えられることで、信頼を得られているとしたら、大きなやりがいです。そして、お互いに共感しながら、一緒に仕事ができるのが楽しいのです」

多慶屋がタイQRコード決済導入の日本第一号店となった理由(インバウンド激減の時代を考える その5)_b0235153_12451325.jpg
タイだけでなく、シンガポールのQRコード決済も導入している


そんな彼が、最近気になることがあるという。


「幕張のIT展示会に行くと、この方面では日本は中国の周回遅れという印象です。日本製品は品質がすばらしいものが多いのに、プロモーションがうまくない。時代の変化に気づくのが遅れているからではないかと危惧します。価格を下げることばかりでは、生産力、ひいては国力を削ることになる。いい意味で、もっと心の扉を開き、新しい状況に向き合ってほしい」


彼のような外国人人材が懸念している日本の課題にどう向き合うか。我々にはそれが問われている。

インバウンドの現場における外国人人材の活用 (前編)—多慶屋がタイQRコード決済導入の日本第一号店となった理由(やまとごころ2019.11.28)
https://www.yamatogokoro.jp/report/35681/

【追記】
アフターコロナの時代の訪日客は、これまで以上にキャッシュレスを求めることでしょう。キャッシュ自体が感染源とみられる時代となったからです。このまま日本が「周回遅れ」でいいとは思えません。

取材時に馬躍原さんとお話して、お互い意気投合したことがいまでは懐かしく思い出されます。彼はいま何を考えているのでしょうか。久しぶりに連絡入れてみようと思います。



by sanyo-kansatu | 2020-05-01 12:48 | 最新インバウンド・レポート
2020年 04月 30日

2019年にすでにみられていたインバウンド変調(インバウンド激減の時代を考える その4)

アフターコロナの時代のツーリズムに関する議論が少しずつだが、ようやく始まっている。

海外メディアが予測する「アフターコロナの旅行はどうなっていくか」(やまとごころ2020.4.28)
https://www.yamatogokoro.jp/column/inbound-worldvoice/38209/

また観光庁も新型コロナ被災に関する緊急経済対策や、収束後の観光需要喚起キャンペーン「Go to Travel」として、以下のような施策を挙げているそうだ。

「観光による地域での消費を促すべく、宿泊や日帰り旅行商品の割引、地場の土産物店・飲食店・観光施設・アクティビィティ・交通機関などで幅広く使えるセットのクーポン券の発行などを行う。今回のキャンペーンの特徴としては『国民による旅行の機運醸成を作るため、1兆円を超えるかつてない規模での実施』『長期旅行をしてもらえるよう、日数の上限は設けない(1泊あたり1人2万円の上限あり)』などが挙げられる」(コロナ危機に直面する観光事業者への支援策や需要回復キャンペーン、そこからの期待を読み解く —2020年4月観光庁長官会見 やまとごころ2020.4.30) https://www.yamatogokoro.jp/column/kaisetsu/38205/

いつものことだが、従来どおりの認識やかわりばえしない発想から出てきた対策にしか思えない。これをどれだけの人たちが期待を込めて受けとめたのか、大いに疑問である。現在、関係業者が抱えている喫緊の問題や、アフターコロナの時代にツーリズムがどのように変容してしまうのかという議論は、ほとんど前提にされていないようにみえるからだ。

そもそも訪日外国人市場はここ数年、変調が起きており、むしろその変化を見据えた発想の転換こそ求められていたはずである。


以下の記事は、2020年冒頭、もともとは「2020年の新春を迎え、東京オリンピックの開催が迫っている」という前提で書いたもので、中国発新型コロナウイルス被災はまったく想定していなかった。それでも、ここでの指摘は、当時の現状認識というだけでなく、withコロナの時代のツーリズムを考えるうえで、知っておくべきことだと思う。一部、手を入れて転載したい。

※※※

これまで一般的な認識として、オリンピックイヤーの2020年までは訪日外国人は増えていくと考えられていたが、すでにこの1、2年、伸び悩みをみせている。そもそもオリンピックとインバウンドはそれほど関係ないのではないかというのが、以前からの筆者の見解だった。


開催中に多くのアスリートや観客が訪れ、数を押し上げるのは確かだが、訪日旅行を計画している人の意思決定に、数週間しか開催されないスポーツイベントはあまり影響しないと思う。開催効果はあっても限定的なものだ。開催地の宿泊料金の高騰や混雑を回避する「クラウディングアウト効果」が要因となって、訪日客が大幅に加速する可能性は低いという予測も多い。


ここ数年日本の夏の酷暑が広く知られたことで、この時期日本行きを控えるリピーターも多く、7、8月の訪日客数の伸び率は他の月に比べ低い傾向もみられる。2020年まではインバウンドは拡大するというのは日本側の勝手な思い込みにすぎず、2019年の情勢をみるかぎり、あまり根拠がないことも明らかになっている。


その一方で、オリンピック翌年に訪日外国人客数が減少するという見方についても、過去の開催国では減少したケースは少なく、その可能性は低いといえる。あるとすれば、自然災害や2019年に起きた近隣諸国との政治関係など、日本のインバウンドが抱えるジレンマによるものだろう。


■訪日客が増えても消費額は増えていない


むしろ、我々が気にすべきは、訪日外国人市場の本当の異変である。ひとことでいうと、観光客が増えてもそれにともなって消費額が増えていないことだ。


観光庁が集計する訪日外国人消費動向調査をみると、2017年の旅行消費額(推計値)4兆4162億円に対し、2018年の4兆5189億円と年間で1027億円(2.3%増)の伸びにすぎなかったのだ。これは訪日外客数の伸び率が8.7%増だったことと比較しても、相当小さいというほかない。


2019年は若干回復しているようだが、ここ数年の消費額の伸び率を並べてみると、中国客の「爆買い」が話題になった2015年こそ驚くべきものがあったが、それ以降は訪日客の増加にともなって消費額が伸びていないことがわかる。その原因は「1人当たりの消費額」が相対的に減少していることにある。


直近の訪日外国人消費動向調査のデータによると、2019年7~9月の訪日外国人1人当たりの平均旅行支出(推計値)は16万5425円。国別にみると最多はフランス(25万2000円)、次いでスペイン(22万7000円)、オーストラリア(21万5000円)、イタリア(21万3000円)、中国(20万9000円)と続く。中国客は数が多いことから国別の総額でみると全体の42.1%を占めるという意味で上客には変わらないのだが、1人当たりの消費額でみると、もはや日本でいちばんお金を落とす人たちとはいえないのだ。


旅行支出の費目には、宿泊費、飲食費、交通費、娯楽サービス費、買い物代があり、中国は相変わらず買い物代(9万4000円)が最も高い。ただし、最多だった2015年(16万2000円)以降、2016年(12万3000円)、2017年(11 万9000円)、2018年(11万2000円)と年々落ちていることがわかる。


同調査をさらにみると、その理由がわかってくる。2018年の中国客の旅行支出の買い物代の購入率の内訳をみると1位が「化粧品・香水」(79.5%)、2位「菓子類」(70.1%)、3位「医薬品」(49%)と続く。「爆買い」当時に話題になったシャワートイレや電気炊飯器のような電化製品の購入率はわずか18%。この数年で高額商品からドラッグストアなどで購入できる安価な消費財へと様変わりしているのだ。

2019年にすでにみられていたインバウンド変調(インバウンド激減の時代を考える その4)_b0235153_11405752.jpg
大阪心斎橋で見かけたアジア系観光客の手にした買い物袋の中身はドラッグストア商品ばかり

これではいくら大量に買ってもたかが知れている。1人当たりの消費額が落ちるのも無理はないのだ。もっとも、彼らにそんな恨みごとを言っても仕方がない。彼らからすれば、いまの日本で買いたい高額商品が見当たらないのだから。中国の人たちは日本企業の地盤沈下の実情をよく知っているのだ。

■地方こそインバウンドの舞台


これまで政府は、訪日外国人を多く日本に呼び込み、消費してくれることで得られる「経済効果」を旗印にインバウンドを促進してきた。だが、もはや数が増えても、消費額はそれほど増えるとは限らないのであれば、その前提は崩れたことになる。もし本当にそうなら、訪日外国人を増やすことの意味はどこにあるのだろうか。それを考えるべき段階に来ているのである。


それは数値目標のみを掲げ、「数を追う」ことを重視してきたインバウンド戦略の変更を迫られているということでもある。外国人観光客の消費行動ばかりをフォーカスするのではなく、彼らの存在の多様な価値を理解し、その活力を日本社会に還元する方策を考えること。数を求めるより中身の充実を図ることこそ、これから取り組むべきインバウンド戦略の方向性であるべきなのだ。


ポスト五輪の日本のインバウンドの舞台は、地方にこそある。日本はいま未曾有の人口減少と少子高齢化による「地方消滅」の危機に直面している。近未来の日本の光景を予感させるシャッター商店街はもはや地方都市のみならず、大都市圏の私鉄沿線などでもみられるようになっている。


そんなに遠くない将来に、今日の感覚ではあり得ないほどドラスティックなダウンサイジング、すなわち全国のほとんどの地域で「この町を残すのか、残さないのか」という決断が迫られるだろう。その頃には、もはや今日の人々が考えているような甘えは許されない。自分の地元は残る側になれるのか、なくなってしまうのか。現状のまま時間だけたつのであれば、心もとないと言わざるを得ない。インバウンドを呼び込めたかどうかは、その判断の決め手のひとつになるだろう。

2019年にすでにみられていたインバウンド変調(インバウンド激減の時代を考える その4)_b0235153_11410377.jpg
広島市の宮島行き電車「広電」は外国客の姿が多く見られる


訪日客の地方への分散化が叫ばれて久しいが、少しずつ動き出しているようだ。

「地方空港がインバウンド(訪日外国人)の玄関口として存在感を増している。2018年に成田や関西など主要6空港以外の地方空港から入国した訪日客は前年比11.7%増の758万人と入国者数全体の25.2%に達した。客数は08年の5.5倍となった。自治体の誘致などで直行便が増え、西日本の空港で伸びが目立つ。韓国や中国など東アジアからが中心だが、欧州便が就航する動きも出ている」(「訪日客「地方へ直行」急増 25%が主要6空港以外へ」日本経済新聞2019年12月22日)

2019年にすでにみられていたインバウンド変調(インバウンド激減の時代を考える その4)_b0235153_11410838.jpg

地方の酒蔵は外国客誘致の可能性を秘めている


これらの動きをもっと加速させるために何が必要なのだろうか。今後重要となってくるのは、大都市圏と地方のインバウンド人材の交流だろう。行政や企業だけでなく、民間の動きが鍵を握る。民泊はそのひとつの契機となるはずだ。

筆者は本レポートでこれまで書いてきた内容などをもとに、「間違いだらけの日本のインバウンド」(扶桑社)という本を上梓した。2020年以降のインバウンド戦略を考えるための多くの材料を提供している。ご一読いただけるとさいわいである。

2019年にすでにみられていたインバウンド変調(インバウンド激減の時代を考える その4)_b0235153_11411121.jpg

「間違いだらけの日本のインバウンド」(扶桑社)2019年12月27日発売

インバウンドを取り巻く状況が大きく変わるなか、地方を舞台とした新しい取り組みがこれから始まっていくことを期待したい。

2019年のインバウンド市場を振り返り、2020年を展望する(後編) オリンピックイヤーだからこそ、発想を転換すべき理由(やまとごころ2020.1.9)
https://www.yamatogokoro.jp/report/36374/

【追記】
ぼくは記事の中で以下のように書いている。

これまで政府は、訪日外国人を多く日本に呼び込み、消費してくれることで得られる「経済効果」を旗印にインバウンドを促進してきた。だが、もはや数が増えても、消費額はそれほど増えるとは限らないのであれば、その前提は崩れたことになる。もし本当にそうなら、訪日外国人を増やすことの意味はどこにあるのだろうか。それを考えるべき段階に来ているのである。

ところが、いきなり新型コロナウイルス被災が起きてしまったことで、このままでは、それを考えることなく、アフターコロナの対策を策定しかねないことになる。それは大いに問題だと考える。

この記事の後半に書かれている「地方こそインバウンドの舞台」についても気になることがある。

4月下旬、岡山県知事が「来たことを後悔するようになれば」などと記者会見で発言し、批判されたことにも象徴されるように、これから先、一部の地方でインバウンドの取り組みに対する逆風が吹くことも考えられるだろう。こういうところに県民性が表われるものだと思うが(同知事は地元出身のよう)、今回の事態を受けて地方によって取り組みの差が大きくなるのは仕方がないことかもしれない。これまで右ならえだった観光行政も、地方による違いを明確に打ち出していくのは当然のことだと思うのだが、アフターコロナのインバウンドの行方を先読みさせる発言だったという気がする。





by sanyo-kansatu | 2020-04-30 11:57 | 最新インバウンド・レポート
2019年 07月 30日

そろそろブログを再開します

これまで1年半くらい、ブログの執筆をお休みしていました。理由はいろいろありましたが、そろそろ再開しようと思います。

今年の4月頃でしょうか、あるネットメディアに以下のような取材をうけました。そのインタビュー記事が最近公開されたので、転載します。この間、インバウンドをめぐる問題について考えていたことをかなり率直に話すことができました。
そろそろブログを再開します_b0235153_15594111.jpg


銀座や新宿、横浜や大阪、京都や札幌や福岡……。今日本中の主要な都市に行くと、外国人観光客でごった返しています。


先日京都に行った時は、日本人よりも圧倒的に多くの外国人が駅のホームに溢れていました。


「インバウンド」の恩恵を受け、観光業やサービス業、飲食業やお土産やさんが儲かっている、という話を聞きます。


ここでみなさんに質問です。


「インバウンド」って一体何でしょうか?


これからずっと続くのでしょうか?


今回はインバウンドについての著書も手がける、インバウンド評論家の中村正人さんにお話をうかがいました。


「インバウンド」が一般的になったのは21世紀


中村正人氏(以下、中村):
「唐突ですが、まず私のほうからご質問したいと思います『インバウンド』とは何だと思っていますか?」

――「外国人が来て、いっぱいモノが売れる」ということでしょうか。

数年前にやたら免税店が増えました。それをきっかけに中国や韓国の人が日本でたくさんモノを買うようになった。『爆買い』ですね。


それが私の中のインバウンドです。


中村:
「たぶんそれが、インバウンドに対する世間一般のイメージだと思います。まちがいではありません。しかし、それは『インバウンド』の中のほんの一部分にすぎません。


では次の質問に移ります。インバウンドはこれからどうなると思いますか?」


―― 一時ほどの勢いはないように思います。一巡して飽きたというか。とくに、中国人観光客の買い物熱が下火になってきたように感じているのですが。


中村:
「たしかに『爆買い』という話はあまり聞かれなくなりましたね。それでも、一般的な認識としては、2020年の東京オリンピックまでは訪日外国人は増えていくと考えられているようです。


しかし私は、オリンピックはインバウンドに、ほぼ関係がないと考えています」


――それはなぜですか?


中村:
「考えてみてください。オリンピックは、たしかに開催地にとっては一大イベントです。


しかし海外旅行を考えている人の意思決定に、数週間しか開催しないスポーツイベントがそれほど寄与するものでしょうか。関係があったとしても限定的でしょう」


――そういう視点はありませんでした。


中村:
「逆に言えば、東京オリンピックまではインバウンドが拡大するという思い込みも、あまり根拠のないことです。


それを鵜呑みにしているのだとしたら、相手(外国人観光客)の立場に立って、物事を考えていないといえる。この問題には後でもう一度触れましょう」


――そもそも「インバウンド」が言われるようになったのはいつ頃からになるのでしょうか?


中村:
「きっかけは中国人観光客の存在が大きいですね。2000年に中国人の日本への団体旅行が解禁になったんです。


日本政府もインバウンドを明確に奨励するようになりました。2003年の小泉政権時に国土交通省が音頭をとった『ビジット・ジャパン・キャンペーン』(Visit Japan Campaign:VJC)です。


私はVJC以前からインバウンドの動向を取材していましたが、少なくとも20世紀の終わりまでは、一般の日本人には外国人観光客を呼び込もうという発想はありませんでした。


外国旅行とは行くもので、来るものではなかったんです。


しかし一部の先見の明をもつ人たちが、今後、日本社会が向き合わざるを得ない人口減少など、さまざまな課題を乗り越えるためのひとつの手段として海外の人を呼び込むことを思いついたんです。


そして、それでもたらされる経済的な恩恵を、社会インフラの再構築や文化の保護育成などに活用するべく検討・準備していたんです。そのモデルはヨーロッパにありました。


それが表に出たのは、たまたま小泉政権時だったわけですが、発表後、ほとんど反響がありませんでした。民間は本気にしていなかったのです。


そして、ようやく一般の人々が気づき始めたのが2008年頃です。


『爆買い』という言葉もこの頃に生まれました。北京オリンピックの映像を通じて、それまで日本人より貧しいと考えられていた中国人が、実はたいへんな購買力をもつ存在となっていた――。


そのことに気づいたのが2008年だったというわけです」


「爆買い」の本当の理由は「面子」


――バブル期の日本人も、海外へ行ってはブランド品を買い漁っていました。当時の中国人もあの感覚だったのでしょうか?


中村:
「同じ点と違う点があると思います。同じなのは、やはり豊かになったから買い物に走ったという点。


違うのは、中国人の民族性にあると思っています。私の専門領域は中華圏を中心に東アジアの旅行市場なのですが、中国人には『運び屋』のDNAがあると常々感じています」


――「運び屋」のDNAですか!?なにやら怪しげです。


中村:
「いえいえ、あの運び屋ではありません。いい意味での運び屋です。私が先のように考える理由はふたつあります。


まずは経済活動としての『運び屋』です。中国人というのは『生きること、すなはち商いである』と無意識に思っているふしがあります。


どこかへ出向くと、かならず何かを手に入れ、それを自国へ持ち帰って転売する。それが当たり前と考える。『爆買い』=『転売』なんです。


だから、当時信じられないほど大量の買い物をしたのです。自分が使うためのものであるはずありません」


――爆買いしたものは、全部売り払っていたわけですね。


中村:
「しかし、すべてを売ってしまうわけでもありません。ここからがもうひとつの理由です。


日本人が友人知人におみやげを配るのと同じように、中国人も買ってきたものを人に配るのですが、理由が少し異なるのです。


おみやげをあげることによって、あげた人から『面子をもらった』と彼らは考えるんですね。日本人の義理みやげとは違い、具体的な利益があるのです」


――おみやげと「面子」は交換できるものなんですね?


中村:
「そうです。中国人の感覚では、面子は『あげたり、もらったり』できるものなんです。


だから、海外旅行から帰国し、友人知人におみやげを配れば配るほど、面子をたくさんもらえることになる」


――中国人は面子を重んじると聞いたことがあります。


中村:
「そうです。『面子』はお金には換算できないけれど、彼らの人生にとってとても重要なことです。


そのために『運び屋』をやっているという側面があり、『爆買い』という現象が生まれたのです。


転売をしてもうけることにも熱心ですが、面子の側面もよく見なければなりません。日本人にはない概念だからか、その点について、日本ではほとんど語られません。


マーケティング関係者は、ソーシャルバイヤーなどと呼んだりしますが、事実上運び屋にほかなりません。でも、中国人であれば誰でも普通にやることなので、彼らにとってネガティブなイメージはありません」


――「転売」までは知っていましたが……。


中村:
「ところがこの数年、中国人観光客は爆買いをしなくなりました。


これは彼らが日本に飽きたからというより、中国政府が自国に持ち込むみやげの関税を強化したからです。そうなるとまた、面子の事情も変わるんです」


――どう変わるのでしょう?


中村:
「関税がかかると、転売するにも利益が減ります。

たとえおみやげをもらっても、利益が減ったことが知れると、逆に『あいつは商売下手だ』という評価が下る。


面子には『賢さ』も含まれているのです。だから、中国人は突然『爆買い』をやめたのです。2016年春のことでした」


――なかなか面子の概念が理解できません。


中村:
「『信用』に近いですが、同じではありません。プライドや見栄などとも似て非なる、中国文化独特の概念です。


これは長く中国人の行動原理を見ていなければ、よくわからないかもしれません」


中国の方々が、激安ショップで大量に様々な物を購入している理由は、自分で消費するためでなくて「面子」のためだったとは驚きです。


まだまだインバウンドには知られていないお話がありそうです。次回に続きます。
(つづく)

取材・文/鈴木俊之、取材・編集/設楽幸生(FOUND編集部)

https://found.media/n/n3d12743cc11d?creator_urlname=found



by sanyo-kansatu | 2019-07-30 16:07 | “参与観察”日誌
2017年 11月 04日

人手不足の日本より中国や韓国のキャッシュレス化が進んでいる東アジアの現在

昨日、ある郊外のファミレスチェーンで食事をしたところ、たまたまクレジットカードと小銭しか持っていなくて、支払いに困ってしまいました。まさか全国チェーンで、中国など海外にも多数の店舗を出店している店だったので、まさかカードが使えないとは思ってもいませんでした。

若い店員の男性も申し訳なさそうな顔で、でも「本日12時までに現金をお持ちください」と言います。

「エーッ」と思わず声を上げてしまいました。なんでも都内にはカードが使える店舗もあるそうですが、使えない店もあるそうです。なにも自分はキャッシュレス積極派でもなんでもないのですが、やはり1000円ちょっとの支払いはカードが使えるようにしてもらいたいと思いました。

結局、家に歩いて戻って、現金を持って支払うほかありませんでした。

今週、あるファミレスが都内で「現金支払いお断り」、すなはちキャッシュレス専用の店舗を実験的に始めるという報道がありました。背景には、外食産業の深刻な人手不足があります。

「現金支払いお断り」東京で実験店開店へ―ロイヤルHD(朝日新聞2017年11月1日)
http://www.asahi.com/articles/ASKC15V5KKC1ULFA02T.html

ロイヤルホールディングス(HD、福岡市)は1日、支払いを電子マネーやクレジットカードだけにした実験店を東京都内に6日に開くと発表した。現金の管理を完全になくすなどして従業員の作業効率を上げ、深刻化する人手不足に対応する狙いだ。

東京都中央区に6日、開店するレストラン「GATHERING(ギャザリング) TABLE(テーブル) PANTRY(パントリー)」は、現金のやりとりをなくすため、入り口にレジを置かず、電子マネーのチャージもできない。店舗入り口に「現金お断り」を知らせる表示を出す。

注文はテーブルのタブレット端末から。代金も同じタブレット端末で、電子マネーやクレジットカードを使って支払う。店舗運営の作業が減ることで、約40席の店を3人で運営できるとロイヤルHDはみている。

今後は、この店で得たノウハウを主力の「ロイヤルホスト」の店舗などにも導入していく方針だ。(牛尾梓)


店内にはレジがなく、入り口に「現金お断り」の表示を出すそうです。これをみて、多くの人はどう感じることでしょう。これは便利と思うのか、それとも軽い反発をおぼえるのか…。実験の結果に興味があります。

一方、同じ日の朝刊にこんな記事がありました。

ソウル、無人コンビニ出店 文政権は雇用に力を入れるが…(朝日新聞2017年11月2日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S13209688.html

記事によると、日本よりキャッシュレス化が進んでいる韓国では、この種のサービスが増えると、かえって「雇用が減る」との懸念もあるそうです。上海でも無人コンビニができましたが、中国や韓国の方がこの方面では日本よりはるかに進んでいるのに、それが社会にとっていいことなのか。難しいものですね。

こんな記事もありました。

コンビニの人手不足、ロボットが解決 「レジロボ」登場(朝日新聞2016年12月12日)
http://www.asahi.com/articles/ASJDD5FPHJDDPLFA00V.html

記事の中の動画では、買い物籠に購入する商品のバーコードを読み取る装置が付いていて、レジロボに置くと精算してくれます。とても便利そうです。

近所のスーパーでもこれとは少し違いますが、無人レジを導入していて、有人レジの行列が長いときだけ、利用することがあります。でも、正直なところ、個人的には有人レジの方が好きです。便利で早いかどうかより、おばさんが商品を一つずつ打ってくれるのを見てる方がなんとなく安心だからかもしれません。自分はちょっと古い人間だからでしょうか。

こうしたなか、中国からモバイル決済アプリ大手が参入しており、日本の金融機関と組んで、日本人にも使える仕組みを導入しようとしています。

中国式決済、世界で台頭 スマホで簡単、日本開拓着々と(朝日新聞2017年11月3日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S13211358.html

中国のネット通販大手阿里巴巴(アリババ)の関連会社が展開する決済システム「支付宝(アリペイ)」がグローバル規模で存在感を発揮している。中国をキャッシュレス社会にした立役者でもあり、世界銀行も注目。貧困層に金融サービスを広げる役目も期待される。日本では訪日中国人向けだが、日本人も使えるよう計画が進む。

「おつりを返す手間が省けるのでとても便利だ」

北京のビジネス街・建国門の屋台で朝食を売る黄さん(30)は、パネルに印刷したQRコードを店頭に並べる。客は、それをスマートフォンのカメラ機能で読み取り、黄さんへの支払い画面で代金を入力し電子決済する。「現金払いは3、4割」という。

中国は現金不要のスマホ決済によるキャッシュレス社会を迎えている。先導したのはアントフィナンシャルサービスグループが提供するアリペイだ。銀行口座などとつながり、支払いは口座から引き落とされる。国内常用者数は5・2億人に達する。

最初はネット通販の支払い用途だった。2011年からコードを読み取る方式により、実店舗での支払いに使えるようにした。紙幣に偽物が多く、最高額が100元(約1720円)と低額なこともあり、人々は喜んでアリペイを選んだ。クレジットカードとは異なり専用の読み取り機も不要だ。スマホのカメラで相手のコードを読み取りさえできれば決済できるので、中小企業から屋台にまで、あっという間に普及した。

10月中旬のワシントン。世界銀行総会のイベントで、キム総裁が繰り返し触れたのがアリペイだ。「中小企業の金融へのアクセスを完璧に変えた」。銀行口座を持てない人に金融サービスを提供する「金融包摂」機能への強い期待感をにじませた。

スマホにアプリを入れればお金を受け取る口座が持てる。これによって銀行口座を持てない人でも少額の融資の受け皿ができる。キム総裁は「経済発展への道を模索している国のためになる」と述べた。

アントが今、力を入れているのが外国展開だ。各国の企業と提携して参入し、アリペイを現地化している。現在、国外は34カ国・地域の3・6億人が使う。最大はインドの2・5億人だ。

井賢棟最高経営責任者(CEO)は「中国での経験を新興国で再現しようと考えた。個人や企業によい環境を提供すれば我々の成長の基礎になる」と話す。

アリペイは実は、すでに日本にも浸透している。まだ中国人しか使えないが、百貨店やコンビニエンスストア、レストランなど約3万店舗が対応。訪日中国人の買い物を促進している。
人手不足の日本より中国や韓国のキャッシュレス化が進んでいる東アジアの現在_b0235153_1015288.jpg

人手不足の日本より中国や韓国のキャッシュレス化が進んでいる東アジアの現在_b0235153_10152324.jpg

10月上旬にあった中国の建国記念日・国慶節の休暇中、東京・日本橋の高島屋は多くの中国人観光客でにぎわっていた。同社は16年2月にアリペイ支払いを導入。「中国と同じ方法で支払えれば便利だと思ってもらえる」と営業推進部の楼ヤテイ主任は話す。

アントによると10月1~7日、日本でのアリペイ取引件数は前年同期比16倍に膨張。平均利用額は2040元で、中国国外の平均に対して1・6倍という。

アリペイは今、中国人観光客向けに整備してきた決済基盤を一気に日本人が使えるようにする計画を進めている。「現在の加盟店開拓は日本人向けの準備でもある」とアント日本法人の陳清揚執行役員。

日本は依然、現金志向が強い点にアントは潜在性を感じている。ただ、JR東日本のICカード「Suica(スイカ)」や中国国内のアリペイと同じようにQRコードを読み取って支払い可能にした楽天ペイなど、ライバルも多い。陳執行役員は「日本は難しい市場だ。今は提携先を探している段階。来春は難しいが、できるだけ早くサービスを始めたい」と話す。(福田直之)


いま東アジアで起きている急激な変化の中で、中韓と日本の社会の対比についていろいろ考えることがあります。日本は彼らの社会に比べ圧倒的な高齢化社会ですし、既存のそれなりに便利な仕組みがいくつも残っており、新しいシステムが普及するまでには時間がかかってしまいます。一方、彼らの社会は日本に比べ若いぶん、新しいシステムが次々に浸透していきますが、そのぶん雇用問題や、地域や階層による格差が生まれます。

日本でもキャッシュレス化はゆっくり進んでいくでしょうけれど、モバイル決済はどうでしょう。少なくとも、いまのところ、カードの方が軽くて財布にも入るし、ポイントもためられるので、さらにカードが使える店を増やしてもらえば、それほど不自由しない気もします。さあ、どうなっていくのか。注視していきましょう。
人手不足の日本より中国や韓国のキャッシュレス化が進んでいる東アジアの現在_b0235153_10154538.jpg


by sanyo-kansatu | 2017-11-04 10:16 | 気まぐれインバウンドNews
2017年 10月 22日

ヤマダ電機よ、お前もか!? 1階が@cosmeとは、日本の家電がいかに売れないか

先日、LAOX銀座本店を訪ねた話を書きましたが、なぜ行ったかというと、その日銀座の中央通を歩いているとき、反対側から歩いてきたおじさんの手がぼくの手にしていたコンパクトデジカメを叩き落とし、壊れてしまったからなんです。一瞬、そのおじさんは申し訳ないという顔をしたものの、そそくさと歩き去ってしまいました。

来月には海外取材の予定があったので、買い直さなければなりません。いますぐ買うかどうかはともかく、家電量販店で最新の製品を物色しようと思いました。中央通にある家電量販店といえば、目の前にあるLAOXだったのです(ビッグカメラは有楽町駅のそば。ちょっと遠い)。

Laox銀座本店でひな壇座りする中国客。ここは中国なんだなと思う (2017年10月20日)
http://inbound.exblog.jp/27442449/

ところが、すでに書いたとおり、LAOX本店にはデジタルカメラは置かれていません。最近の中国客がほしいものだけが並べられており、もはや日本のデジカメや家電をお土産として買うことは彼らの頭にはないのです。

昨日、新宿のヤマダ電機に行きました。ここでもちょっとした驚きがありました。

家電量販店の雄として一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったヤマダ電機のメインフロアである1階は、なんと@cosmeと同社がコラボした化粧品とドラッグストア系商品による「Beauty station」になっていたからです。
ヤマダ電機よ、お前もか!? 1階が@cosmeとは、日本の家電がいかに売れないか_b0235153_10302632.jpg

ヤマダ電機よ、お前もか!?

LAOX同様、ここでもすでにメインの顔は家電量販店ではなく、ドラッグストアになっていたのです。

フロアガイドをみると、テレビやデジカメなどの家電は2階以上。地下1階は「ツーリストモデル」の商品や「くすり・各種雑貨ギフト・日用品」、地下2階は「時計・ブランド品」。
ヤマダ電機よ、お前もか!? 1階が@cosmeとは、日本の家電がいかに売れないか_b0235153_10304224.jpg

これじゃ、メインの顧客は外国人ツーリストだと言っているようなものです。

まあしかし、東京で最も外国客の多い新宿だからこそ、なのでしょう。

そう納得しつつも、いかに日本の家電が外国客から相手にされないかを象徴する光景であることが印象に残った次第です。

【追記】
このブログ記事を読んだ中国事情に詳しい友人に以下のように指摘されました。

「日本の家電はもともと中国と電圧が違うし、実は中国製が多く販売されていたため価格差が少ないこともあり、かつて馬鹿みたいに爆買いされた炊飯器や温水便座を除けば、以前もそれほど買われていなかったような気がします。そうである以上、ヤマダが@コスメを取り込んで、化粧品を拡充させているのは、現実的な選択ではないかと思います」

なるほど、確かに以前も家電が売れていたわけではないんですね。先入観でものを見るのはいけませんね。

ご指摘ありがとうございました。

by sanyo-kansatu | 2017-10-22 10:31 | 東京インバウンド・スポット
2017年 10月 20日

Laox銀座本店でひな壇座りする中国客。ここは中国なんだなと思う

今週水曜、観光庁の今年第3四半期の訪日外国人消費動向調査がリリースされ、朝日新聞も以下の記事を配信しています。昨春の「爆買い」終了の影響で落ち続けていた外国人1人あたりの消費額が1年9ヵ月ぶりに増えたというのです。

【訪日外国人消費動向調査】平成29年7-9月期の調査結果(速報)
http://www.mlit.go.jp/common/001206326.pdf
リピーター効果、訪日客の消費増 1人16.5万円(朝日デジタル2017年10月19日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S13186795.html

訪日外国人客の7~9月期の1人当たり消費額は前年同期比6・6%増の16・5万円と、7四半期(1年9カ月)ぶりに増えた。かつての「爆買い」の勢いはないが、高額品が売れ、百貨店でも客単価が上がっている。

観光庁がサンプル調査をもとにした推計値を18日発表した。1人当たり消費額は、「爆買い」が盛り上がった2015年7~9月期の18・7万円がピークで、16年以降は前年同期を下回っていた。

上昇に転じたのは、繰り返し訪れるリピーターの効果が大きい。観光庁の田村明比古長官は「リピーターほど消費額が多い傾向がある」という。同庁の推計では、リピーターは前年同期より3・5ポイント増えた。

効果は百貨店で目立っている。日本百貨店協会によると、8月の全国の百貨店の訪日客の1人当たり消費額は、前年同月比2割増の6・7万円だった。(森田岳穂)


こうした傾向は、すでに今年の春先ごろから見られていました。本ブログでも、今夏の百貨店売上が好調だったことに触れています。

訪日外国人の免税売上の伸張で、今夏の百貨店売上は好調でした(2017年 10月 04日)
http://inbound.exblog.jp/27218265/

そこでも書いたのですが、中国の「爆買い」終了で大きな痛手を負った中国系家電量販店Laoxも、今夏の売上はまずまずだったようです。

国慶節休暇も終わった今週夕方、たまたま銀座に立ち寄る機会があったので、銀座8丁目本店を訪ねてみました。
Laox銀座本店でひな壇座りする中国客。ここは中国なんだなと思う_b0235153_13524816.jpg

Laox銀座8丁目本店
http://www.laox.co.jp/stores/ginza/

相変わらず店の前には入れ替わり中国ツアー客を乗せたバスが駐停車していました。とはいえ、2年前の大混雑に比べると、適度な感じとでもいうのでしょうか。おそらくバスの停車時間や買い物時間などもきっちり決められていて、整然と配車が行われているのだと思います。
Laox銀座本店でひな壇座りする中国客。ここは中国なんだなと思う_b0235153_1353591.jpg

本店の前はそれなりに中国客の人だかりができていました。買い物をすませたり、そもそも最初からする気のない人たちがバスを待っているのです。
Laox銀座本店でひな壇座りする中国客。ここは中国なんだなと思う_b0235153_13531887.jpg

若い女性のツアー客もそれなりにいます。どれだけ個人化が進んだといっても、中国の地方都市から来る人たちはまず団体ツアーに参加するからです。
Laox銀座本店でひな壇座りする中国客。ここは中国なんだなと思う_b0235153_13533360.jpg

Laoxの店舗は表も外も、イメージキャラクターの福原愛ちゃんであふれています。
Laox銀座本店でひな壇座りする中国客。ここは中国なんだなと思う_b0235153_13534777.jpg

3階まである店内を見て回って気づいたのは、それぞれのフロアに置かれる商品の構成が大きく変わっていたことです。ひとことでいえば、日本製の電気炊飯釜と温水洗浄便座以外の家電製品は、細々したものを除くと、ほぼなかったのです。

それがこの1~2年の話だとわかるのは、店内の階ごとの商品構成を書いたプレートです。3階には「デジタルカメラ」と大きく書かれているのに、置いてないからです。実は、銀座にもう一軒銀座EXITMELSA店があり、そちらにはSONYのデジカメが置かれていましたが、これをみる限り、美容家電などの一部を除き、日本の家電は中国の消費者から相手にされなくなったということがわかります。家電メーカーの人たちはすでに承知していたことでしょうが、一般の日本人にとってこれはかなり衝撃的なことといえるかもしれません。

面白いのは、店舗正面奥の1階から2階に上がる階段に、ひな壇座りしている中国客がいたことです。さすがに正面から撮るのははばかられたので、こっそり背後から撮ってみました。
Laox銀座本店でひな壇座りする中国客。ここは中国なんだなと思う_b0235153_13541243.jpg

この光景を見て「ここは中国なんだな」とあらためて思った次第です。

思えば、パリのルイヴィトン本店に押しかけ買い物した後、VAT(ヨーロッパの付加価値税)払い戻しの手続きを待つため、店内の床や階段に座って、ついにはおやつを食べ始めてしまう中国客が続出したことが問題になったことがありました。いくらなんでも呆れた話なので、中国のテレビニュースでも「こんなみっともないことはやめよう」と国民に啓蒙していたのが、確か2013年頃でした。

最近では、中国メディアも中国客のマナーは改善したと言っています。

訪日中国人観光客のマナー、ガイドが語る「数年前との違い」とは?―中国メディア(Record china2017年7月11日)
http://www.recordchina.co.jp/b183996-s0-c30.html

(一部抜粋)訪日ツアーを担当してきたあるガイドは「中国人観光客の印象はここ数年で明らかに変わった。以前の訪日ツアーではごみのポイ捨てや喫煙場所について何度注意してもマナー違反がたびたび起こったが、近年は出発前に自ら旅行中の注意事項を尋ねる客が増えていて、ルールを守ろうという意識も持っている」。

さすがにそりゃそうでしょうという話ですが、店舗の階段のひな壇座りを見て、これが許されるのもLaoxだからなんだろうと思った次第。これを三越や東急プラザでやられたら、さすがに問題でしょうから。

とはいえ、中国の地方都市から来た団体ツアー客の人たちが、あれほど自国で評判の悪いLaoxに来るのも、ツアー造成上のビジネスモデルの問題であり、ある意味仕方がないことです。それが破格に安いツアー料金に参加する条件なのですから。ここで買うつもりがなくても、ガイドに連れられてくる以上、買う買わないはともかく、1時間近くずっと待っていなければならないのは辛いことでしょう。ひな壇座りしている若い人たちが多いのも、彼らは買いものにそんなに興味がないからだと思われます。

今回訪ねてあらためて思ったのは、Laoxはもう「家電量販店」と呼ぶには無理があるということです(そう思っていたのは日本人だけだったのかもしれませんけれど)。免税小売店として、中国客のニーズに合わせて短期間で細かく商品構成を変えてきたことが同店の生き残った理由であり、その小回りの早さは日本の小売店にはなかなか真似できないことだと思います。

その一方、Laoxが今後も売上を伸ばすには、中国客以外の取り込みが必要でしょう。でも、この感じだと、他の国の人たちが銀座の中からわざわざここを選んでくるだろうか。今後、中国政府の通達で訪日団体ツアーの数値制限が始まるとすれば、ますます大変だと思います。

Laoxを出ると、今年4月にオープンした銀座シックスのブランドショップの明かりが目に入りました。こちらも中に入ってみましたが、1階のツーリストサービスセンターはコンビニとカフェが一体化したスペースで、気分よく時間をつぶすのに悪くない空間でした。
Laox銀座本店でひな壇座りする中国客。ここは中国なんだなと思う_b0235153_1355850.jpg

銀座シックス
https://ginza6.tokyo/

by sanyo-kansatu | 2017-10-20 13:55 | 東京インバウンド・スポット
2017年 10月 04日

訪日外国人の免税売上の伸張で、今夏の百貨店売上は好調でした 

8月末に大阪を訪ねたとき、難波の高島屋の資生堂コーナーの前に並ぶ中国客の行列を見て驚いた話を以前書きました。
訪日外国人の免税売上の伸張で、今夏の百貨店売上は好調でした _b0235153_1548876.jpg

大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!? (2017年 09月 09日)
http://inbound.exblog.jp/27104053/

中国客の「爆買い」は終わったはずなのに、相変わらず、すごいなと思ったものですが、行列しているのは団体客ではなく、個人客の皆さんです。 

そして、メディアも訪日外国人の免税売上の伸張で、今夏は百貨店売上が好調だったと報じています。 

全国百貨店売上高、8月は2.0%増 インバウンド需要好調続く(日本経済新聞2017/9/21)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL21HJM_R20C17A9000000/

(一部抜粋)日本百貨店協会(東京・中央)が21日発表した8月の全国百貨店売上高は4127億円(全店ベース)だった。既存店ベースで前年同月比2.0%増と、2カ月ぶりに前年実績を上回った。インバウンド(訪日外国人)向け販売が好調だったほか、低温で初秋物を中心にした衣料品の売れ行き回復も寄与した。

商品別では、化粧品や貴金属の販売が伸びた「雑貨」が11.2%増加。高級ブランドを含む「身のまわり品」も3.5%増えた。紳士服がけん引した「衣料品」は0.1%減とマイナス幅が縮小した。

訪日客向けの免税売上高は約215億6000万円と前年同月に比べ70.2%増加。9カ月連続でプラスとなり、全体の売上高に占めるシェアは5.2%まで上昇した。化粧品や高級ブランドの人気が高かった。

8月の東京地区の百貨店売上高は全店ベースで1090億円だった。既存店ベースでは3.6%増と、2カ月ぶりに前年を上回った。

9月の全国売上高(サンプリング調査)は18日時点で7.3%程度のプラス、東京地区は8.2%程度のプラスで推移している。


この記事の元ネタである「平成29年8月 全国百貨店売上高概況」(日本百貨店協会)によると、「顧客別では、インバウンド(シェア5.2%)が215億円(70.2%増)と過去4番目の売上高を記録すると共に、一人あたり購買単価も約2割増(6.7万円)と引き続き高伸。一方、国内市場(シェア94.8%)もほぼ前年並み(0.2%減)にまで回復している」とのこと。都市別でみると、やはり大阪が伸び率トップで前年同月比8.6%増でした。

昨年のいま頃は百貨店売上の落ち込みを伝える報道ばかりだったのに、こうした変化はいつ起きたのでしょう。

実は、今年の春先以降で、上半期にはすでに(大都市圏に限りますが)上向きになっていたのでした。

大手百貨店6月売上高が5社とも前年超え 上期は滑り出し好調(Fashionsnap.com News2017年07月04日)
https://www.fashionsnap.com/news/2017-07-04/department-2017june-sales/

同記事によると、好調の理由を「株高による資産効果で宝飾、時計、ラグジュアリーブランドなどの高額品の売上が伸びたほか、訪日外国人の免税売上が伸長したため」と指摘しています。

確かに、日本百貨店協会の1年前のインバウンドシェアは「3.1%(2016年8月)」だったのに対し、今年8月は「5.2%」。確実に増えていることがわかります。

それにしても、中国客の「爆買い」が終わって、少し前までは小売業界は暗いムードかと思っていたのに、訪日外国人の数が着実に伸びていくと、その影響はきちんと出てくるものですね。冒頭の写真をみると、中国客ばかりが買い物をしているように見えてしまいますが、今日百貨店の免税売上に貢献しているのは、必ずしも彼らだけでなく、多くのアジア客だと思います。べつに彼ら一人ひとりは「爆買い」しなくても、数の力は大きいということでしょう。

では、中国の「爆買い」終了で大きな痛手を負った中国系家電量販店「ラオックス」はいまどうなっているのでしょう。以下は、昨年までの話です。

ラオックス赤字転落、売上高は3割減 爆買い失速響く(朝日新聞2017年2月14日)
http://www.asahi.com/articles/ASK2G5VTBK2GULFA032.html

(一部抜粋)免税店大手ラオックスが14日発表した2016年12月期決算は、売上高が627億円と前年から32・3%減った。営業損益は9億円の赤字(前年は85億円の黒字)、純損益が15億円の赤字(同80億円の黒字)で、ともに赤字に転落した。訪日外国人の「爆買い」失速の影響を受けた。来店客数は堅調だったが、客単価が平均で約2万2千円と、前年の約3万4千円から下がり、大幅な減収につながった。

では、今年8月の状況はどうか。

同社の「平成29年度 8月次状況報告」によると、昨年5月から7カ月連続で売上が前年割れしていたものの、12月から2月にかけていったんアップ、4月から6月までは再び前年割れ、そして7月から8月にかけてまたアップ。しかも8月は過去最高となり、一進一退を続けています。

8月の好調の理由については「8月のレジ通過数は前年比114.6%と大きく伸長、また、これまでの最高値であった2015年8月の月間レジ通過数を上回り、当社の過去最高値を記録した。クルーズシーズンに合わせて出店した新店はもちろん、既存店においても団体客・FIT客の来店者数が好調に推移しており、今年度下半期より、前年比プラス傾向に転じている。引き続き、中国国内での広告宣伝と販促活動で来店者数を向上させるとともに、買い物だけではなく体験(モノ+コト)を推し進め、訪日旅行を楽しめる工夫を行っていく」と分析しています。

ラオックス平成29年度 8月次状況報告
http://www.laox.co.jp/ir/upload_file/library_05/getsuji_201708_jp.pdf

相変わらず中国客の利用比率は高そうですが、九州方面を中心に拡大するクルーズ市場に助けられているようです。クルーズ旅行のビジネスモデルは、ラオックスのような免税店がなければ成り立たないわけですから、当然なのでしょう。

ただし、気がかりなのは、先月中国当局が日本への団体ツアーの人数を制限する旨、旅行会社に通知を出したことです。団体ツアーに頼るこの種の免税店ビジネスへの打撃はあるでしょう。だからこそ、「買い物だけではなく体験(モノ+コト)を推し進め」たいというわけでしょうし、それ以上に、中国客以外のアジア客にも来店してもらえるような抜本的な改革が必要なのではないでしょうか。

中国はついに日本への渡航制限を始めるのか? (2017年 09月 22日)
http://inbound.exblog.jp/27130164/

by sanyo-kansatu | 2017-10-04 15:56 | 気まぐれインバウンドNews
2017年 09月 14日

サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う

ユジノサハリンスクの自由市場(バザール)に行きました。
サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う_b0235153_8505534.jpg

駅からレーニン通りを左に向かって10数分ほど歩いた先の左手の路地に入った場所にあります。
サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う_b0235153_851838.jpg

メインのプレハブの建物の中は、間仕切りされていて、日常雑貨や衣料、肉、魚、野菜、香辛料、各種食材を扱っています。面白いのは、売るものによって民族が異なっていることです。
サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う_b0235153_8511939.jpg

この肉屋はコリア系の男性が経営しています。とても人懐っこくて気さくなおじさんで、ソウルの市場にでもいるみたいです。
サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う_b0235153_8515048.jpg

衣料や女性モノのコーナーも韓国系の人たちが大半でした。
サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う_b0235153_852322.jpg

瓶詰めや調味料、お菓子などを売っているこの店もそう。
サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う_b0235153_8522464.jpg

キャンディーやチョコは量り売りです。一部のチョコはサハリン製と思われます。
サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う_b0235153_852484.jpg

サハリンではいまも日本時代の製糖工場でチョコレートをつくっています
http://inbound.exblog.jp/26967895/

プレハブの外にもいろんな売り場があります。いわば場外市場で、果物を売るのは、中央アジア系の人たちです。
サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う_b0235153_8532488.jpg

中央アジア3人組。こういう光景は中国でもよく見られますが、その場合は新疆ウイグル地区の少数民族。ここではもっと西の中央アジアの人たちです。彼らは戦後、労働者としてずいぶんこちらに送り込まれてきました。自ら移住してきた人もいるでしょう。
サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う_b0235153_854263.jpg

ナッツやナツメ、ドライフルーツも彼らの担当です。
サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う_b0235153_8542073.jpg

3人組のリーダーらしきおじさんを記念撮影。はにかむ表情が人のよさを感じさせます。
サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う_b0235153_8555421.jpg

場外市場で中央アジア系の売り手にコリア糸とロシア系のおばさんというふたりの客のスリーショット。これはサハリンらしい光景です。
サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う_b0235153_8562256.jpg

赤カブを売っているコリア系のおばさんは、「一口食え」と水洗いした赤カブを手渡してくれました。少し苦味が利いておいしいです。
サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う_b0235153_8565949.jpg

魚の売り場もコリア系のおばさんでした。
サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う_b0235153_8571547.jpg

これは北海道でも捕れるキュウリウオの燻製です。サハリンの酒好きの手軽なつまみで、ビールによく合います。
サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う_b0235153_8573498.jpg

こっちの人は魚を燻製にして食べるのが一般的のようです。カニやイクラの瓶詰めもありました。
サハリンの自由市場(バザール)でコリア系や中央アジア系の人たちに会う_b0235153_8575522.jpg

サハリンでは、少数民族ゆえに貧しい、虐げられているというような、かつてのネガティブなイメージはなく、レストランや食材加工、市場などの食に関わるビジネスは韓国系が広く握っていると聞きます(一部の食材は中央アジア系の人たちであることは、いま見てきたとおりです)。

彼らは気さくで日本人にもあたりが柔らかいです。写真もけっこう自由に撮らせてくれますが、中には恥ずかしがって逃げてしまうおばさんもいました。

これは思うに、サハリンには華人がほとんどいないので、コリア系の人たちが東南アジアにおける華人の役割を担っている印象です。戦後直後のスターリンの時代には相当辛酸をなめたことでしょうが、ソ連が崩壊し、自由経済に変わっていく中で、資源ビジネスなどはロシア系が牛耳るとしても、それ以外の生活に関わる領域は、辛抱強くまじめに働く韓国系の人たちが商うことになっていったのでしょう。

ロシアメディアによると、「4万人強からなるの朝鮮人コミュニティのほとんどのメンバーは、ロシアの市民権を持ち、島の文化的生活および社会に完全に融合している」といいます。それはパッと見た印象にすぎませんが、本当だと思います。

この記事の中には意外なエピソードが紹介されています。ある「朝鮮系住民(女性)」は「自分を見つける」ためにモスクワとソウルに暮らしたものの、「韓国ではあまりにもロシア人的、モスクワではあまりにも韓国人的(とみなされた)」ため、サハリンに戻ったといいます。彼女にとって多民族的な社会であるサハリンがいちばん暮らしやすいというのです。

サハリンの朝鮮系住民たち(RUSSIA BEYOND2015.5.27)
https://jp.rbth.com/arts/2015/05/27/52985

今回、うまく探せませんでしたが、タラバガニなどを扱う市場もあります。サハリンの市場には、日本にはない食材も多く、必ず訪ねてみたい場所です。

by sanyo-kansatu | 2017-09-14 09:11 | 日本に一番近いヨーロッパの話
2017年 09月 12日

サハリンの人たちは日本が大好き~レストラン『日本みたい』に行ってみた

ユジノサハリンスクには日本人が経営する日本料理店も数軒(ふる里、豊原)ありますが、面白かったのが、ロシア人経営の、その名も『日本みたい』というレストランでした。

市内中心部から少し離れた場所にある一軒家。レストランは2階で、まさになんちゃって日本風の内装。回転寿司のベルトコンベヤや座敷の個室まであります。
サハリンの人たちは日本が大好き~レストラン『日本みたい』に行ってみた_b0235153_914874.jpg

サハリンの人たちは日本が大好き~レストラン『日本みたい』に行ってみた_b0235153_9162836.jpg

サハリンの人たちは日本が大好き~レストラン『日本みたい』に行ってみた_b0235153_9164353.jpg

客層はそれなりに裕福な地元ロシア人たちで、やはりここにも非ロシア系の人たちがけっこういます。サハリンでは、特に韓国系は食に関わる経済を握っているようで、お金を持っている人が多そうです。
サハリンの人たちは日本が大好き~レストラン『日本みたい』に行ってみた_b0235153_9165486.jpg

メニューには、カレーライスやカツ丼、うな丼、そば、ラーメンなどからサハリン産の海産物を使ったお寿司まであります。ぼくは試しにカレーライスを注文しましたが、味のベースは日本の甘口カレーのルーで、そこに何かを加えてアレンジしているようです。
サハリンの人たちは日本が大好き~レストラン『日本みたい』に行ってみた_b0235153_91764.jpg

メニューはこんな感じ。
サハリンの人たちは日本が大好き~レストラン『日本みたい』に行ってみた_b0235153_9183793.jpg

サハリンの人たちは日本が大好き~レストラン『日本みたい』に行ってみた_b0235153_9184820.jpg

ウエイトレスは、これはお世辞抜きで地元のロシア人美女が勢ぞろい。彼女たちが身につけているのは、先週ForbesJapanのサイトで書いたウラジオストクのなんちゃって日本食レストラン『東京かわいい』のウエイトレスのようなワンピースやドレスではなく、まさに黒で決めたメイドコスチュームです(残念ながら、写真は撮れませんでした)。

日本に一番近いヨーロッパ「ウラジオストク」の意外な素顔(ForbesJapan2017/09/06)
https://forbesjapan.com/articles/detail/17595

だからといって、もちろんここはメイドカフェのたぐいではなく、ハイソな地元の若者でにぎわう町いちばんのおしゃれスポットなんです。

この店の存在を知ったのは、ネットで以下の情報を入手したからです。

HOKKAIDO & SAKHALIN Travel Information (北海道とサハリンの観光案内)Place to Eat
http://www.ekinavi-net.jp/sakhalin/yuzhno-sakhalinsk/eat.html 

そこには、こう解説されています。

Nihon Mitai
This dark brown Japanese restaurant serves machine-made sushi. Seafood are flown in from Hokkaido.
Address: 2b Pobedy Street near TV Tower
11:00 - 23:00

「日本みたい」はパピェードゥイ大通りの赤い教会に隣接するロシア人経営の日本食・寿司レストラン。1階がテイクアウトコーナー、2階がレストランになっている。寿司のシャリは機械握りで、ロシア人の職人が調理を担当。食材のネタはすべて北海道から空輸している。ちなみに回転寿司のベルトコンベヤは18時から回転開始とのこと。地元市民には人気があるようだ。
サハリンの人たちは日本が大好き~レストラン『日本みたい』に行ってみた_b0235153_920324.jpg

ここにもあるように、1階は日本食材のショップです。

中を覗くと、あらゆる日本食材が並んでいました。サハリンに住む日本人は数十人と聞いていますから、これは地元の人たち向けの店と言っていいでしょう。
サハリンの人たちは日本が大好き~レストラン『日本みたい』に行ってみた_b0235153_9202931.jpg

サハリンの人たちは日本が大好き~レストラン『日本みたい』に行ってみた_b0235153_9204087.jpg

サハリンの人たちは日本が大好き~レストラン『日本みたい』に行ってみた_b0235153_9205618.jpg

サハリンの人たちは日本が大好き~レストラン『日本みたい』に行ってみた_b0235153_9211969.jpg


by sanyo-kansatu | 2017-09-12 09:21 | 日本に一番近いヨーロッパの話
2017年 09月 09日

大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?

9月頭に大阪に立ち寄りました。当初その予定はなかったのですが、予約していたLCCが欠航となり、新幹線で帰ろうか思案したのですが、週末にかかっていたこともあり、1泊することにしたんです。

おかげで1年ぶりの大阪を、ほんの一部ですが、歩くことができました。

それにしても、大阪のインバウンドのにぎわいは、相変わらずすごいですね。

そこで、東京ではなかなか見られない、大阪ならではのインバウンドな風景の数々をご紹介しようと思います。

まず大阪といえば心斎橋商店街。一部を除き、多くの店が開くのは午前11時ですが、10時過ぎると商店街は外国客だらけです。日本人はこの時間帯、少数派です。
大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_1333193.jpg

大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_1334325.jpg

大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_13341890.jpg

この日はアジア系の若い女性のふたり組というのが目に付きました。前者のスキのなさげな都会風は中国系で、ペアルック(?)でゆるい感じのふたりは台湾系でしょうか(あくまでイメージです…)。
大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_13343827.jpg

大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_13352446.jpg

なぜかサッカー日本代表のユニフォームを身につけたタイ人の女の子たちもいました。日本代表のWカップ出場が決まった翌朝だったのですが、面白いですね。
大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_13355182.jpg

ビニール袋にいっぱい買い物をした若い女性のふたり組が歩いてきたので、袋の中身だけこっそり接写(失礼!)したところ、さきいかやユニチャームのシルコットやらチープな爆買い商品満載でした。
大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_1336947.jpg

なにしろマツキヨでは、外国客限定でFacebookや微信で優待券をダウンロードした客には、消費税8%プラス7%もの割引をするというのですから。「爆買い」は終わったといわれ、一時ほどの売上げはないと思われますが、大阪ではドラッグストア系を中心に客の争奪合戦が繰り広げられています。アジア客が買い物好きであることは変わらないのですから当然でしょう。じゃあ日本を旅行中どの町で買おうかというとき、商品が豊富で潔く割引してくれる大阪が選ばれるのだと思います。さすがは「商売の街」。
大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_13364421.jpg

ダイコク屋の中国人女性店員も、商品の書かれた宣伝パネルを掲げて大声で客引きをしています。
大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_13333616.jpg

難波に近い黒門市場にも足を運んでみました。もう数年前からですが、外国客であふれて縁日のようなにぎわいです。もともとここは高級食材専門の市場でした。ですので、カニやらウナギやらフルーツやら、あらゆる食材が観光客用に見せ前に並べられ、観光客は立ち食いしています。ここまで外国客で密集し、立ち食い客てにぎわう商店街は、全国を探してもないかもしれません。大阪すごいです。
大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_133713.jpg

大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_13371468.jpg

大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_13373081.jpg

大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_13375441.jpg

大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_1338946.jpg

大阪城にもちょこっと寄ってみました。インド系の若い3人組に会いました。大阪城をバックに写真を撮りまくっていました。
大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_13382563.jpg

ところで、今回大阪でいくつかの発見をしました。もしかしたら、東京でも見られる光景なのかもしれませんが、まずは難波の高島屋の資生堂コーナーの前に並ぶ中国客です。なんでも限定商品の販売があることを聞きつけてきたからだそう。
大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_13385537.jpg

中国客は、すでに日本の家電商品は世界的なブランド性を喪失しており、むしろ中国家電のほうが広く支持されていることを知っていますから、家電量販店には以前ほど足を運ばなくなりましたが、化粧品をはじめとしたドラッグストア系商品の日本の価値は認めているため、どこで誰が情報を広めたのか、限定商品が販売されると聞くと、この行列です。彼らはやることがはっきりしていて、わかりやすいともいえます。

おかげで高島屋の1階はスーツケースを引きずる中国客であふれています。きっと中国人以外の人もいるのでしょうけれど、コスメ売り場で彼女と一緒に並んで買い物をするあたり、どう見ても華人的ふるまいです。ここまでやるのが優しい中国男なのです。
大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_13394615.jpg

大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_1340580.jpg

興味深かったのが、難波のOCAT(大阪シティエアターミナル)と関西空港の国際線到着ロビーのHISカウンターで見た以下のパネルでした。
大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_1340324.jpg

大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_13405277.jpg

これらは以下の中国の(一部、台湾、香港系もある)オンライン旅行会社で販売されているJRパスや大阪周遊パスなどの受け取り窓口であることを示すものです。

Kloock(客路) https://www.klook.com/ https://www.klook.com/zh-TW/ ※台湾、香港系
JTR WEB http://www.jtrweb.com/
大衆点評 https://www.dianping.com/ ※中国系
C-trip  http://www.ctrip.com   http://jp.ctrip.com ※中国系
蚂蜂窝 http://www.mafengwo.cn/  ※中国系
KKday https://www.kkday.com/zh-tw/home/index2 ※台湾系
出国去 http://www.chuguoqu.com/ ※中国系
穷游网  http://www.qyer.com/  ※中国系
最会游  http://www.zuihuiyou.com/  ※中国系
同程旅游 https://www.ly.com/  ※中国系
南湖国旅 https://www.nanhutravel.com/ 中国系

関空のHISの前には行列ができていました。もしかしたら、ここで並んでいる中国客の中には「こんなのわざわざ発券しないでアプリで対応してくれればいいのに。日本って遅れてる…」と心の中でつぶやいている人がいるかもしれません。中国では高速鉄道の発券は事前にネット予約し、窓口ではなく、発券機で簡単に受け取ることができますから。
大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_1344310.jpg

大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_13442061.jpg

こうした中国オンライン旅行社の受け取りを東京各地にあるHISツーリストインフォメーションなどで行っているかどうかはまだ確認していません。

さて、最後にいくつか気づいたこと、新たに知ったことなどを書いておきます。

JR大阪駅のツーリストインフォメーションでは、海外のVIPに人気のとんだばやしを売り出そうとしていました。
大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_13444179.jpg

中国の富豪たちがショックを受ける町 「大阪・富田林」を歩く(2016年05月30日)
http://inbound.exblog.jp/25859112/

大阪環状線JR新今宮駅のホームの前に広がる空き地は、星野リゾートが購入した高級旅館の建設予定地です。線路の反対側には西成のあいりん地区が広がっています。
大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_1345622.jpg

関空行きの南海の急行電車はこのとおり、スーツケースが並んでいます。昨年秋、こんなこともありましたね。
大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_13453061.jpg

「外国人多くご不便を」とアナウンスした車掌さん 訪日客急増で日本人はストレスをためてる? (2016年 10月 11日 )
http://inbound.exblog.jp/26268458/

最後は関空第2ターミナルの国際線乗り場近くで見かけた、いま話題の中国「白タク」です。実は、成田空港でも何台も見かけました。
大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?_b0235153_1346494.jpg

大都市圏を中心に増殖中!中国系「越境白タク」の問題点を追跡 (2017年06月26日)
http://inbound.exblog.jp/26951467/

大阪の友人と梅田駅周辺を歩いていたときも、あるホテルのロビーに中国「白タク」がいました。

友人は「ここにもあそこにもですよ…」とぼやいていました。

最後のオチで少しがっかりさせてしまったかもしれませんが、大阪は日本のインバウンドの最前線であることは間違いありません。

大阪と東京のインバウンドの特徴の違いを外国人の視点で考えてみる (2016年01月31日)
http://inbound.exblog.jp/25315756/

【追記】
外国客でにぎわう大阪ですが、最近観光客を狙ったスリなど問題もおきているようです。以下のレポートをご参照ください。

新しい中国人観光客像の5つの傾向とは? (2017年 12月 27日)
http://inbound.exblog.jp/27901370/

by sanyo-kansatu | 2017-09-09 13:31 | “参与観察”日誌