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2017年 12月 27日

日本の紅葉はなぜ外国人観光客の心をつかむのか?

日本政府観光局(JNTO)の統計によると、ここ数年、秋に日本を訪れる外国人が増えている。理由のひとつは紅葉だ。桜と同様、日本を彩る魅力である紅葉は、なぜ外国人観光客の心をつかむのか。海外で日本の紅葉はどのように伝えられているか。外国人向けの正しい紅葉の伝え方とは。

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9月下旬、中国語通訳案内士の水谷浩さんがガイドを務めるマレーシアからの華人グループは大雪山系にいた。「札幌から入ってトマムや富良野、旭川をめぐる。紅葉の見どころは富良野や大雪山。日本でいちばん早く紅葉が見られるのがポイント」だという。

水谷さん率いる中国語通訳のプロ集団で形成される彩里旅遊株式会社では、中国本土や華僑として海外に在住しているVIP華人の訪日旅行手配を扱っている。ここ数年、9月下旬から10月中旬にかけては北海道でのガイド業務の引き合いが多い。紅葉を見たいという華人客が増えているからだ。

訪日客が多く訪れるのは、春より秋⁉

これまで訪日外国人旅行市場は繁忙期と閑散期に分かれ、春や夏が多いとされていた。ところが、ここ数年、秋や冬に日本を訪れる外国人が増えており、1年を通して満遍なく彼らの姿を見かけるようになっている。日本政府観光局(JNTO)によるこの5年間の月別外客数のトップ3を調べると、以下のとおりである。

◆月別訪日外客数トップ3(2012年~16年)※外客数と( )は前年同月増比

<2016年>
1位 7月 2,296,451人(19.7%) 
2位 10月 2,135,904人(16.8%)
3位 4月 2,081,697人(18.0%) 
※11月は1,875,404人(13.8%)で11位

<2015年>
1位  7月 1,918,356人(51.07%) 
2位 10月 1,829,265人(43.87%)
3位  8月 1,817,023人(63.87%) 
※4月は1,764,691人(43.37%) で5位、11月は1,647,550人(41.07%)で6位

<2014年>
1位 10月 1,271,705人(37.07%)
2位  7月 1,270,048人(26.67%)
3位 12月 1,236,073人(43.07%) 
※4月は1,231,471人(33.47%)で4位、11月は1,168,427人(39.17%)で5位

<2013年>
1位  7月 1,003,032人(18.47%) 
2位 10月  928,560人(31.67%) 
3位  4月  923,017人(18.47%) 
※11月は839,891人(29.57%)で10位

<2012年>
1位 7月 847,194人(50.97%) 
2位 4月 779,481人(163.57%) 
3位 8月 774,239人(41.77%)
※10月は705,848人(14.67%)で4位、11月は648,548人(17.67%)で11位

月別では、東アジアの国々が夏休みに入る7月がほぼトップを占めているが、中華圏が春節休暇に入る1月~2月、桜の開花や欧米のイースター休暇が重なる4月よりも10月が多いことがわかる。10月は中国の国慶節休暇に入るので、訪日客数トップの中国客が全体の数を押し上げるとはいえ、肌感覚でいうと街に外国人観光客があふれていることを強く感じる桜のシーズンより多いのだ。年々月別の数の差が縮まり、年間を通じた平準化が進んでいる。

紅葉が外国人観光客を魅了する⁉

では、なぜ秋に日本を訪れる外国人観光客が増えているのだろうか。

訪日外国人の団体から個人への移行が進み、とりわけアジアからのリピーターが増えたことから、繁忙期の夏ではなく、日本旅行の時期を秋にズラす層が現れていることが考えられる。日本人が8月ではなく、9月以降に遅めの夏休みを取るというのと同じだ。近年、日本の夏は相当蒸し暑いので、旅行に適しているとはいいにくい。アジアの国から訪れる旅慣れた人たちは、できれば涼しい日本を体験したいだろう。

もうひとつの理由は、海外で日本の紅葉の魅力が広く伝わったことが考えられる。

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↑河口湖もみじ回廊のライトアップ河(HIS提供)

「万葉集」や「源氏物語」などの古典や「百人一首」でもおなじみのように、日本人は古来もみじ狩りを楽しんできた。

紅葉が見られるのは落葉樹だけで、日本など東アジアの沿岸部やヨーロッパの一部、北アメリカの東部に限られるという。なかでも日本は落葉広葉樹の種類が多く、紅葉の見どころが多いのだ。

人気の紅葉バスツアーは河口湖

では、訪日客はどのような紅葉ツアーを楽しんでいるのだろうか。

日本の旅行大手クラブツーリズムは、2009年から、YOKOSO Japan Tourという外国人向けの国内バスツアーを催行しており、10月下旬から11月にかけては日帰りの紅葉ツアーが人気という。

CLUB TOURISM YOKOSO Japan Tour
http://www.yokoso-japan.jp

同社のツアー客の国籍のトップは香港で、次いで台湾、シンガポール、マレーシア、タイ、最近はインドネシアが増えているという。これらアジア客をメインとした約20万人のメルマガ会員がいて、リピーターも多い。

担当者によると「以前は中華圏の旧正月時期や4月~5月が圧倒的に多く、秋は閑散期だったが、ここ数年はすごい勢いで増えている」という。実際、10月~12月のツアー客数が年々倍々ゲームで、「2017年10月~11月の予約数は前年同月比200%前後、同12月は300%強」だ。

なかでも人気があるのが、英語や中国語のわかる添乗員が同乗する河口湖への日帰りツアーだ。
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↑英名:Departure guaranteed! Mt. Fuji & 5-Storied Pagoda “Arakurayama Sengen Park”・Sagamiko Illumillion・Koro-kaki no Sato (Village of Dried Persimmons)・Autumn Leaves in Lake Kawaguchi
全日程保證出發! 富士山&新倉山淺間公園 五重塔・相模湖霓虹燈秀・曬柿子之里・河口湖賞楓
http://www.yokoso-japan.jp/tc/05522.html

日程は以下の通り。

ホテルグレイスリー新宿(8:10発)→新宿ワシントンホテル(8:30発)→<首都高・中央道>→(10:00)シャトー勝沼(10:30)【買い物・試飲30分】→ころ柿の里(10:50)【散策】→信玄館(12:20)【昼食】→(13:30)新倉山浅間公園(14:40)【散策70分】→(15:00)河口湖(16:00)【紅葉鑑賞60分】→<中央道>→(17:00)さがみ湖プレジャーフォレスト(18:00)【イルミネーション鑑賞60分】→<中央道・首都高>→新宿(19:00予定)

ツアー料金は、大人8900円、子供8600円、幼児5000円だ。

担当者によると「メインビジュアルは新倉山浅間神社。五重塔と富士山と紅葉という外国人が好む風景の組み合わせがポイント。昼食に松坂牛のローストビーフとほうとう鍋をつけているのも人気の理由」という。

日本人向け紅葉ツアーを外国人にも展開、アジアを中心に一躍大人気に!

同じく旅行大手のHISも外国人向けバスツアーを催行しているが、同社のイチ押しツアーも英語添乗員付きの河口湖への日帰りツアーだ。

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↑Mt.Fuji Autumn Leaves Light-up Festival & Shosenkyo Gorge Bus Tour!(山梨の紅葉いいとこどりっ☆昇仙峡と河口湖もみじ回廊ライトアップ&ラストシーズン!秋めく富士山五合目)
http://www.hisgo.com/j1/Contents/OptionalTour/DetailOptionalTour.aspx?TourCd=TYO1166&lang=en
(日本語:https://bus-tour.his-j.com/tyo/item/?cc=A1041

コースは以下のとおり。

新宿→昇仙峡(秋めく渓谷美を観賞)→影絵の森美術館(世界初の影絵美術館で光と影のアートを鑑賞)→富士山五合目(ラストシーズン!標高2,305mの絶景散歩)→富士河口湖紅葉まつり(幻想的な河口湖もみじ回廊ライトアップの観賞)→新宿

ツアー料金は7990円~8490円だ。

HISの担当者によると「ポイントは幻想的な河口湖もみじ回廊のライトアップ。訪日客に定番人気の富士山5合目や今後人気が出てきそうな昇仙峡、影絵の森美術館など最新のスポットを入れている」とのこと。ツアーのハイライトである「もみじ回廊」の滞在時間はたっぷり約1時間半あるという。

どちらのツアーも1万円を切る手頃な料金で、日本人が普通に参加しても十分楽しめる内容だ。実際、日本人と外国人が一緒にバスに混載するツアーもあるという。日本の旅行会社は、これまで国内客向けに格安でバラエティ豊かなバスツアーを企画してきた。それをそのまま外国客向けに提供したところ、アジア客にウケたという話なのだ。日本人が感じるお得感は、彼らにも伝わるのだろう。

ただし、クラブツーリズムの担当者は「欧米客への訴求は同じようにはいかない」ともらす。旅に対する考え方が違うせいなのか、今後の検討課題だという。

外国人観光客は、紅葉の時期やスポットに関する情報どう得ているのか

桜に次ぐもうひとつの日本観光の売りである紅葉について、海外の人たちはどうやって情報を得ているのだろうか。

訪日旅行シーンの先駆けを走る香港や台湾の旅行会社では、8月中頃から日本の紅葉をテーマとしたツアーを募集している。以下のサイトをみると、人気の目的先や料金の相場がわかる(10月中旬現在の情報)。

◆EGLツアーズ@香港

香港で訪日送客数トップの旅行会社であるEGLツアーズでは、すでに紅葉ツアー販売は終盤で、日本のみならず韓国や中国の紅葉スポットを訪ねる商品も企画しているようだ。

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http://www.egltours.com/travel/showIndex

◆KKday@台湾

一方、台湾のオンライン旅行会社であるKKdayも、日本情緒たっぷりのデザインで紅葉ツアーを募集している。

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https://www.kkday.com/zh-tw/home/index2

これらのサイトに掲載されるツアーの内容をみると、香港や台湾の人たちがもうほとんど日本人と変わらない旅をしていることがわかる。

◆HISバンコク支店@タイ

昨年の訪日客数でアメリカに次ぐ6位となったタイの場合はどうだろう。タイではHISがバンコク市内に多くの店舗を構え、タイ人を日本に送り出している。

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https://th.his-bkk.com/HIS

バンコク支店のサイトをみると、やはりこの時期、紅葉ツアーがメイン商品となっている。

日本国内各地を3泊5日で5000バーツ(約17万円)相当のツアーが販売されている。
タイでは、台湾と同様、日本のテレビ番組が普通に見られるだけでなく、自らも日本に関する番組を制作している。YouTubeで探すと、WabisabiTVやSUGOI JAPANといったサイトで日本旅行をテーマにした動画がいくつも見つかる。タイ人はこうした豊富な情報源を通して自由に日本旅行を計画しているのだ。

WabisabiTV
https://www.youtube.com/user/WABISABITV1
SUGOI JAPAN
http://www.sugoijp.com/

◆欧米向けメディア

欧米の人たちはどうだろう。日本在住の欧米人たちが発信する日本の観光&生活情報サイトのTokyo Cheapoでは、この時期、東京や日本各地の紅葉スポットを紹介するレポートを載せている。

Tokyo Cheapo
https://tokyocheapo.com/
Koyo: 10 Places to See Autumn Leaves In and Around Tokyo(東京とその近郊の紅葉スポット10)
https://tokyocheapo.com/lifestyle/outdoors/koyo-autumn-leaves-in-tokyo/

海外発としては、トリップアドバイザーの傘下で、全世界の現地発ツアーを扱うviatorでも、東京や富士山は人気の旅行先の上位に入っている。

viator
https://www.viator.com/

同サイトでは、日光をはじめ袋田の滝(茨城県)、長瀞の滝(埼玉県)、富士山と河口湖、びわ湖バレイと鶏足寺、小豆島(香川県)、香嵐渓(愛知県)などの日帰り紅葉ツアー(発地は東京や京都、大阪などいろいろ)が海外からネット予約できるようになっている。

旅行の最先端を歩む、香港と台湾における日本の紅葉情報

日本を訪れる外国人が事前にさまざまな紅葉情報を入手し、ツアーや目的先を選んでいることをみてきたが、なかでも香港と台湾の人たちの情報集力は他の国・地域に比べ群を抜いている。

香港では例年、8月下旬から9月上旬にかけて、新聞やネット報道でその年の日本の紅葉の見ごろ時期の予想を取り上げている。こうした関心の高さの背景には、株式会社KADOKAWAが現地で発行してきたタウン情報誌や日本情報誌があるといっていい。
香港で2007年11月に創刊された『香港ウォーカー』は「旅慣れた香港の人々をも満足させる日本情報が満載」の月刊誌だ。

台湾には1999年創刊の現地情報誌『台北ウォーカー』があり、早い時期から日本情報を発信してきた。15年8月に創刊された『Japan Walker』は台湾で唯一の日本情報誌だ。

海外には日本の観光情報を伝えるフリーペーパーはたくさんあるが、市販の雑誌は珍しい。これらが隠れたトレンドメーカーとなって香港や台湾の人たちに与えた影響は大きい。


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上記2誌の、台湾・香港現地での立ち上げに関わった編集者の鈴木夕未さん(株式会社KADOKAWA)によると「両誌ともに日本の紅葉特集は定番企画」だという。香港と台湾の違いや彼らの日本に対するニーズについて、より詳細に話を聞いた。

―香港や台湾の人たちにとって日本の紅葉の魅力とは何か。

「日本のようなはっきりした四季がない台湾、自然が少なく高層ビルに囲まれた環境に暮らす香港の人たちにとって、紅葉に触れることで季節感を感じられるのがいちばんの魅力だろう。これは桜と同様だ。

なかでも彼らが強く魅力を感じるポイントは、紅葉の色の艶やかさと日本的な情緒の組み合わせにあると思う。紅葉と滝や寺社仏閣、お城など。その風景をバックに自分が写り込む写真を撮るのが好きで、“インスタ映え”を気にしている。最近では湖面に映る紅葉など、さまざまなバリエーションが生まれている」

実際、クラブツーリズムの河口湖ツアーを募集するサイトのトップの写真は、富士山と新倉山浅間神社の五重塔と紅葉の組み合わせだった。紅葉に日本的情緒が感じられるアイテムが加わることで、彼らの気持ちをグッとつかんでいるわけだ。

―『香港ウォーカー』や『Japan Walker』ではどんな紅葉特集をやっているのか。

「香港と台湾では、それぞれ読者の求める嗜好やニーズが違う。昨年、台湾の『Japan Walker』では<秋季賞楓微旅行(秋のもみじ狩りプチ旅行)>という特集をやったが、紅葉×鉄道、紅葉×温泉、紅葉×日本庭園の3つのテーマに分けて各地を紹介した。

一方、『香港ウォーカー』の最新号(10月号)の特集は、”秋の京都 紅葉単車遊(サイクリングでもみじ狩り)”だ」

―台湾と香港では何が違うのか。

「香港人はアクティブで、いまサイクリングブームだ。街で自由に自転車に乗れる環境にはないため、日本で体験したいという人が多い。香港はストレス社会なので、日本では自然の中でのんびりリラックスして過ごしたいようだ。最近、香港では日本でグランピング(グラマラス×キャンピングの造語でラグジュラリーなアウトドア体験)を楽しみたいという人も増えている。

一方、台湾人の鉄道好きは有名だ。日本全国の観光列車に乗りたい人は多く、できれば紅葉の時期に行ってみたい。温泉や日本庭園など、日本文化に対する憧れは、香港人より強い。

こうしたことから、香港と台湾では同じ情報誌でも誌面づくりが違う。香港の場合はビジュアル優先で、情報は少なめでいいという考え方だ。香港の人に聞くと『情報はスマホで探せるから必要ない。行ってみたいと思わせる写真やイメージがあればいい』と答える。一方、台湾の読者はそれぞれのスポットに関する細かい情報やアクセスなどがきちんと書き込まれている誌面を求めている」

隣国の香港と台湾でも、嗜好や求める情報がこんなにも違うことは、とても興味深い。

日本の紅葉はマッカッカ(真っ赤っ赤)だけじゃない

冒頭で紹介した中国語通訳案内士の水谷浩さんが案内するマレーシア華人の北海道旅行に話を戻そう。彼らは日本の紅葉をどのように楽しみ、何を感じているのか。10月中旬まで北海道にいた水谷さんに話を聞いた。

―マレーシア客は日本の紅葉についてどんなイメージを持ち、何に魅力を感じているのか。

「非日常感ではないか。彼らは熱帯に暮らしているから、冷たく張りつめた新鮮な空気と艶やかな色彩に包まれた場所で写真を撮って、そこに自分が写り込みたいという願望が強い。だから、いちばんいい状態の紅葉を見せたいが、これが難しい。散り際が真っ赤に染まって美しいし、写真を撮るには晴天がいい。太陽の光の向きも重要だ。紅葉のピークは同じ場所でも天候によって変わってくる」

―桜もそうだが、紅葉も年によって見ごろの時期は変わる?

「メディアのみなさんにお願いがある。日本の紅葉はマッカッカ(真っ赤っ赤)だけじゃないと伝えてほしい。なぜなら、一般に旅行会社やメディアが発信する日本の紅葉は真っ赤に染まった写真を使うことが多い。インパクトがあるせいだと思うが、外国のお客さんはそれを期待して日本に来る。ところが、実際には黄色や緑も多く、必ずしも赤一色ではない。それでガッカリされる人がけっこういるからだ。

もちろん、私はその方たちに日本の紅葉は赤だけではなく、黄色や緑など色とりどりの美しさがあると説明するのだが、先入観があるぶん、腑に落ちない気分になるようだ。

実際には、中国語でいう“五彩缤纷”(たくさんの色が豪華絢爛で豊かに見える様)というべき。最初からそのように伝えれば、ガッカリされることもないと思う」

この点、欧米のメディアは比較的バランスが取れていて、紅葉=赤一色という伝え方はしていない。たとえば、前述した現地発ツアーサイトのviatorでは、東京発の紅葉ツアーのトップページに以下のような写真を使っており、日本の紅葉についても次のように「赤やオレンジ、黄色」と説明している。



The season for fall colors typically kicks off in mid-September and lasts until December, with red, orange, and yellow colors lasting in a single location for as long as five weeks.

人一倍こだわりを持つ富裕層に満足してもらうために必要なこととは?

紅葉は漢字で「紅」と書くから、中国語圏の人たちは赤一色と思いがち。でも、ガッカリするのは期待値の高さからともいえる。日本特有の自然現象である紅葉について、もっと我々自身が深く理解し、説明することばを持たなければならないだろう。

なぜなら「こうした説明の大切さは、相手が富裕層であれば、なおさらだ」と水谷さんは言う。

「海外のVIPほど、旅に対するこだわりが強い。彼らはそれがいいか悪いかは常に自分で判断したがる。気に入らないと『不要(いらない)』とはっきり言う。食事も高級な料理店に連れて行けば満足するというのではない。状況や気分によって地元の庶民的な場所で食事がしたいと言い出すかと思えば、逆のときもある。

そのぶん、きちんと合理的な説明ができれば、彼らも納得する。そのためには、相当の知識と経験が必要。いったん満足してくれると、次回もまたお願いしたいという話になる。その結果、彼らのネットワークを通して別のお客さんを呼んでくれる。それが富裕層旅行の世界だ」

彩里旅遊株式会社は顧客の要望に合わせて一からコンテンツを組み立てる企画旅行が専門。口コミで同社の評判を聞いた海外の華人から「日本の極上の紅葉が見たい。水谷、案内してほしい」と直接指名がかかるそうだ。

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↑大雪山系は10月上旬には早くも紅葉は散り、雪に覆われる

まもなく本州にも紅葉前線が南下し始めるだろう。「日本の紅葉はマッカッカ(真っ赤っ赤)だけじゃない」。今後は肝に銘じて、情報発信するよう努めたい。

秋の紅葉シーズンは、時期や場所が日本全国をまたぎ、今後もさらなる発展の可能性が高い。大切に育てていきたい観光コンテンツだ。

彩里旅遊株式会社
http://www.ayasato.co.jp/

※やまとごころ特集レポート第61回 2017.10.24 より
https://www.yamatogokoro.jp/report/8272/


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by sanyo-kansatu | 2017-12-27 05:51 | 最新インバウンド・レポート
2017年 12月 11日

寅さんが結ぶ日中民間人の縁をあらためて実感しました

週末は朝から柴又帝釈天に行きました。

中国でいつもお世話になっているハルビンの黒龍江省新世紀国際旅行社の呼海友さんを案内することになったのです。

彼は毎年この時期、東京に1週間ほど出張に来て、旅行会社回りをしています。彼はいまとなっては数少ない日本からの黒龍江省や内モンゴル自治区を中心としたツアーの企画と受け入れをやっています。もっとも、いまでは日本を訪れる中国人の数のほうが圧倒的に多いため、訪日旅行の企画のためのテーマ探しがもうひとつの重要なミッションです。

呼さんはクラシック音楽とコーヒーが好きという物静かな人で、東京に来ると、個人的に名曲喫茶やCDショップなどに足を運ぶのを楽しみにしているそうです。ぼくも何度か彼を案内したことがありますが、渋谷の老舗名曲喫茶の『ライオン』が気に入ったそうで、今回もひとりで訪ねたと話していました。

中国のクラシック音楽ファンも気に入ってくれた名曲喫茶ライオン (2014年12月02日)
http://inbound.exblog.jp/23821487/

そんな彼がなぜいま『男はつらいよ』の舞台、柴又に行きたいと言い出したのか?

そう尋ねると、彼は「格安弾丸ツアーに飽きた中国の中高年をぜひ連れて来たい」と言います。彼は中国のネットで事前に柴又についていろいろ下調べしていて、実際に歩いてみたかったのでした。

朝9時に京成金町線の柴又駅の前で待ち合わせました。そこには有名な寅さんの像があるのですが、今年3月、その向かいにさくらさんの像ができました。寅さんの目線の先にさくらさんが立っていて、心配そうに兄の姿を見つめているというものです。なんとも泣かせる構図じゃないですか。こんな銅像、あまりお目にかかったことがありません。
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帝釈天の参道は、少し早めに来たせいか、人通りも少なく、まるで映画のセットのようでした。参道の店はたいてい10時が開店だそうです。呼さんは熱心に写真を撮っています。
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この老舗団子屋の『とらや』は、初期の作品で実際に撮影に使われたそうです。
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帝釈天の門が見えてきました。
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実は、ぼくは初めて柴又に来たのですが、想像していたよりこじんまりとした境内だと感じました。まだそれほど参拝客もおらず(写真は10時過ぎのもの)、とても静謐な雰囲気だったのですが、しばらくすると、突然境内に『男はつらいよ』のテーマソングが流されたのには、ちょっと興ざめというか、苦笑せざるを得ませんでした。
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境内には自動おみくじ機があり、200円を入れると、獅子舞が動き出し、おみくじを取り出してくれます。こういうの、絶対中国人は好きだと思います。
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今回初めて知ったのですが、帝釈天の裏には『邃渓園』と呼ばれる日本庭園があります。入場料400円で、長い床を歩いて庭を四方から眺められます。お茶を飲むスペースもあり、和めました。池には錦鯉がいました。
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この入場料で、帝釈堂の精巧な木彫りはギャラリーを観ることができます。お堂の裏手がガラスで囲われていて、そこに法華経の説話を描いた10枚の木彫りが施されています。中国には石彫りは多いですが、木彫りは珍しいそうです。
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これだけの散策で約1時間ほど。帝釈天から歩いて5分ほどの場所に寅さん記念館があります(入場料500円)。

寅さん記念館
http://www.katsushika-kanko.com/tora/

この記念館は渥美清が亡くなった1996年の翌年にできています。つまり、今年は開業20周年でした。

これはさくらさんの旦那の博さんが勤めるタコ社長の印刷所です。活版印刷機がどーんと置かれています。このように、記念館の中は映画の象徴的なシーンのセットが再現されています。
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これは寅さんの実家である「くるまや」のミニチュア模型。2階のたたみ間にごろんと寝ころがっている寅さんが見えます。
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参道の商店街の再現された町並みです。昭和30年代の設定だそうです。
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笑ったのが、寅さんの全財産を詰めたカバンの展示でした。荷物の中に高島暦がちらっと見えたので、呼さんが言いました。「中国でも高島暦を持っている人がいますよ。あれはよく当たるからと」。「へえ、そうなんだ」。
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そして、歴代マドンナと寅さんの出会いシーンの映像集も楽しいです。たまたま最後の48作目のボタンを押すと、後藤久美子との再会のシーンが出てくるのですが、彼女が「なんで寅さん、こんなところにいるの?」と聞くと、「なんでだろうなあ。俺にもわからないんだ」ととぼけて答えるところで、吹き出してしまいました。そう、彼はいつも自分がなぜそこにいるのかわからないような生き方をしている。まさに“ふーてんの寅”です。
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「中国の人は、寅さん映画のどんなところが面白いと思っているんですか?」。そう呼さんに聞いたところ、彼はこう答えました。

「寅さんがいつもあちこちに旅をし、自由に生きているところです」。

いまの40代以上の中国人にとって寅さんは善良で平和的な日本人のイメージを象徴しています。この映画が中国で観られるようになったのは1980年代以降ですが、それまで中国政府が熱心に自国民に対して叩き込んできた「日本といえば日本兵」という悪のイメージを払拭し、相対化するうえで、この映画が果たした役割は大きかったのです。

呼さんと柴又を訪ね、寅さんが結ぶ日中民間人の縁というものを、あらためて実感しました。

実をいえば、ぼくはこれまで『男はつらいよ』シリーズをちゃんと観たことはほとんどありませんでした。若い頃は特にそうですが、ベタな昭和コメディというイメージが強く、まともに観る気がしなかったからです。渥美清も自分の親よりひとまわり近く年上でしたし、およそ自分とは関係のない時代の話だと感じていたからです。

今回記念館に行って知ったのですが、このシリーズの第一作は昭和44年(1969年)。それから最後の作となった平成7年(1995年)まで48作品が上映されるのですが、当時はまだ昭和を懐かしむには早すぎたのでしょう。その後、2000年代に入って『ALWAYS 三丁目の夕日』をはじめとした昭和レトロブームが起こり、そこで多くの日本人が過去の時間にまどろむことに淫してしまった(とぼくは思います)ことで、日本社会は国際社会の変化に追いつけなくなってしまったわけですが、平成の世がまもなく終わろうとするいま、あらためて中国の中高年以降の人たちが好ましく受けとめてくれたこの物語の価値に、ぼくも気づかされたといえます。

記念館の裏は江戸川の堤防になっていて、天気のいい日は富士山が見えます。残念ながら、ぼくらが行ったときは、雲で富士山が隠れていたのですが、この情報を教えてくれたのは、記念館のボランティアのおじさんでした。「朝方はきれいに見えたんだけどね。お客さんが来たとき、その話をしたろ。だから、確認しに行ったら、見えなくなっていた。残念だったねえ」。
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このボランティアのおじさんはとても人懐っこくて、まるで寅さん映画に出てくる人物のようです。彼はぼくらが記念館に入館する前に富士山の話をしたものだから、展示を観ている間に、わざわざ確認に行ってくれていたのでした。

帰り際、帝釈天のわき道を歩いていると、偶然玉垣に倍賞千恵子さんの名前が彫られているのを見つけてびっくり。
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お昼は参道の老舗の「川千家」で蒲焼のランチ。行き帰りに乗るわずか2駅しかない京成金町線もいい味です。
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「中国にはこんな静かでのどかな下町はない」と呼さんは話しました。「帰国したら、柴又を訪ねるツアーを企画します。中国にはファンの人が多いから」。彼のように、自分の足で歩いてツアをー企画する中国の旅行関係者ほどありがたい存在はありません。「これからも何でも知りたいことは聞いてくださいね」。そう彼に話しました。

いま彼が考えているのは、10名くらいのお客さんを案内するツアーだそうです。実際、柴又には団体バスを停めるような場所はなく(実際には、さくらさんと博さんの披露宴の場所として有名な蒲焼屋『川甚』は日本のバスツアーを受け入れており、駐車スペースがありますが、あくまでも食事のお客さん専用です)、銀座や浅草のように大挙して訪れられては困ります。

記念館の人に聞くと、柴又を訪れる外国人は日本通の台湾人くらいだそうです。呼さんには、いい感じのお客さんを連れて来てほしいと思います。


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by sanyo-kansatu | 2017-12-11 09:31 | “参与観察”日誌
2017年 10月 15日

外国客はどうやって紅葉の時期やスポットを知るのだろう?

知名度でいえば、これまで日本は桜の国でした。では、紅葉について外国人たちはどうやって知るようになったのでしょうか。

日本を訪れる外国人観光客は春より秋のほうが多いって知ってましたか?
http://inbound.exblog.jp/27325956/
どんな紅葉ツアーが外国人に人気なのか?
http://inbound.exblog.jp/27327434/

訪日旅行シーンの先駆けを常に走る香港や台湾の旅行会社では、8月頃からすでに日本の紅葉をテーマとしたツアーを募集しています。以下、日本の紅葉ツアーの最後の商戦の時期となる10月初旬の各社のHPをみてみましょう。

まず香港で訪日客数トップの旅行会社です。すでに紅葉ツアー販売は終盤で、日本のみならず韓国や中国の紅葉スポットを訪ねるツアーも企画しています。
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EGLツアーズ(香港)
http://www.egltours.com/travel/showIndex

以下、香港のオンライン旅行会社のサイトです。この時期、ともにトップページは日本の紅葉です(10月下旬以降は、次の募集で雪のシーンに変わることでしょう)。
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Klook(香港)
https://www.klook.com/

このオンライン旅行会社では、大阪の紅葉ツアーをディスカウント価格で販売していました。
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TravelZoo HongKong(香港)
https://www.travelzoo.com/hk/

こちらは台湾のオンライン旅行会社です。
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KKday(台湾)
https://www.kkday.com/zh-tw/home/index2

これらのサイトをみると、いま香港や台湾の人たちがどんな紅葉ツアーを楽しんでいるか、よくわかります。ここから感じるのは、彼らがもうほとんど日本人と変わらない旅をしているということです。

昨年の訪日客数でアメリカに次ぐ6位となったタイ人の場合はどうでしょう。

タイでは日本のHISが多くの店舗を構え、タイ人を日本に送り出しています。HISバンコク支店のサイトをみると、やはりこの時期、紅葉ツアーがイチ押しとなっています(その後はこれが雪に変わるでしょう)。 
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HISバンコク支店
https://th.his-bkk.com/

日本国内各地を3泊5日で5000バーツ(約17万円)相当のツアーが販売されています。

タイでは、台湾と同様、日本のテレビ番組が普通に見られるだけでなく、自らも日本に関するたくさんの番組を制作しています。YOU TUBEで探すと、以下のような日本旅行をテーマにした動画がいくつも見つかります。タイ人はこうした豊富な情報源を通して自由に日本旅行を計画するのです。

JapanX TV Official
https://www.youtube.com/channel/UC6aKtvk59_F-Iq2WaOOkFlw
WabisabiTV
https://www.youtube.com/user/WABISABITV1
SUGOI JAPAN
http://www.sugoijp.com/

このサイトの中に、愛知県の香嵐渓の記事が載っていました。今年はタイ人が増えるかもしれません。
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香嵐渓
http://www.sugoijp.com/news_details.php?id=33
香嵐渓もみじ祭り(2017年11月1日~30日)
http://asuke.info/event/nov/entry-705.html

また同サイトには、日本の紅葉が南下していく時期の予報をする記事もありました。こうやってタイ人たちはいつ日本のどこに行けばいいか知ることができるんですね。
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Japan Fall Foliage Forecast
http://www.sugoijp.com/news_details.php?id=174

ところで、この記事は日本発の観光&生活情報サイトのTokyo Cheapoからの引用のようです。ぼくはこのサイトの存在をこのとき知ったのですが、日本在住の欧米人たちが発信する英語の情報源となっています。
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Tokyo Cheapo
https://tokyocheapo.com/

このサイトでも、この時期、東京や日本各地の紅葉スポットを紹介するレポートがいくつかありました。

Koyo: 10 Places to See Autumn Leaves In and Around Tokyo(東京とその近郊の紅葉スポット10)
https://tokyocheapo.com/lifestyle/outdoors/koyo-autumn-leaves-in-tokyo/
Autumn Day Trips from Tokyo to Give You Those Fall Feels(日光や奥多摩など、東京から行ける紅葉スポット)
https://tokyocheapo.com/entertainment/tokyo-autumn-leaves-day-trips/

欧米人による老舗日本旅行サイトのjapan guide.comでも全国の紅葉スポットを紹介しています。

Autumn Colors(japan-guide.com)
https://www.japan-guide.com/e/e2014.html

以上は英語情報とはいえ、国内発のものですが、トリップアドバイザーの傘下で、全世界の現地発ツアーを扱うviatorでも、tokyoやkyotoは人気の旅行都市の上位に入っており、もちろん紅葉ツアーの予約情報を掲載しています。

viator http://www.viator.com/

tokyoのページをみてみましょう。
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viator tokyo
https://www.viator.com/Tokyo/d334-ttd

もちろん、ここでもトップページは紅葉特集です。

Foliage in Tokyo 東京の紅葉
Discover the beauty that rivals cherry blossom season 桜の季節のライバルとなる美を見つけよう
See Autumn Leaves

これをクリックすると、いつどこで紅葉が見られるかという説明と全国各地の紅葉ツアーが紹介されています。

Where to See Autumn Leaves in Japan
https://www.viator.com/Japan-tourism/Where-to-See-Autumn-Leaves-in-Japan/d16-t26427?pub=ttd1982

このページには以下のような説明があります。そこには、紅葉の色について、赤やオレンジ、黄色など、さまざまな色があると書かれてています。紅葉=赤(マッカッカ)だけではない。実はこの説明はけっこう重要です。

Colorful autumn foliage, known as koyo or momiji in Japanese, makes autumn a popular time for visitors to Japan—nearly as popular as the spring cherry blossom season. Here's what you need to know about experiencing koyo as it sweeps across the country in a parade of color each year.

When to Go
The season for fall colors typically kicks off in mid-September and lasts until December, with red, orange, and yellow colors lasting in a single location for as long as five weeks. Much like the cherry blossoms in spring, the fall spectacle reaches its peak at different times depending on the location and weather.

Where to Go
While Japan has no shortage of scenic spots for leaf-peeping, some of the most famous include the temples of Kyoto, the national parks on Hokkaido (Japan's northernmost island), Biwako Valley, Lake Towada in Aomori Prefecture, Arashiyama, Mt. Fuji, Tokyo's parks and gardens, and Nikko National Park, located just a couple hours outside the capital.

How to Go
During the fall leaf-peeping season, tours to see the natural spectacle depart from Tokyo, Osaka, Kyoto, and Nagoya. Choose a day trip, such as a guided tour of Nikko or a Tokyo walking tour, or a multi-day tour that take you to several of Japan's best spots for koyo. Choose a two-day journey through Miyagi and Fukushima prefectures to both enjoy autumn colors and onsen hot spring soaks.

そして、日光をはじめ、袋田の滝(茨城県)、長瀞の滝(埼玉県)、富士山と河口湖、びわ湖バレイと鶏足寺、小豆島(香川県)、香嵐渓(愛知県)などの日帰りツアー(発地は東京や京都、大阪などいろいろ)の料金が表示され、海外からネット予約できるようになっています。

これまで海外の紅葉ツアー情報についてざっとみてきましたが、日本の秋はもみじ狩りを楽しむものだということは、すでに世界でも知られていることがわかります。

では、実際に外国客たちが日本の紅葉をどのように楽しんでいるかについて、次にみてみたいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2017-10-15 12:46 | “参与観察”日誌
2017年 09月 27日

通訳案内士&ランドオペレーター制度の規制緩和の話より事態はもっと進んでしまっている!

先週終わったツーリズムexpoジャパンですが、22日(金)の業界日にもうひとつのセミナーがありました。

対馬を訪れる韓国客40万人。理由はexpected unfamiliarity(似てるけどどっか違う)という国境特有の体験
http://inbound.exblog.jp/27141258/

訪日外国人の増加にともなう制度変更が懸案となっていた、来年から施行される新しい通訳案内士制度やランドオペレーター登録制度に関する観光庁からの説明です。
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膨大なパワポの資料が提示されたので、面白そうなものだけ挙げてみましょう。

まず「言語別通訳案内士登録者数」です。圧倒的に英語に偏っています。
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次に「都道府県別通訳案内士登録者数」。東京、神奈川などの首都圏の一極集中です。
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その結果、「言語別通訳案内士1人あたりの訪日外国客数」では、中国語、韓国語、タイ語の通訳が著しく少ないことが示されます。
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こうした現状は10年以上前から変わっていないのですが、その対策として「地域限定通訳案内士制度」を立ち上げています。
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そして、今回の規制緩和のキモは、いわゆる「業務独占の廃止」。すなはち、国家資格の通訳案内士でなくても、有償で通訳ガイドの仕事ができるようになったということです。ただし、国家資格を持たない通訳ガイドとの差別化のために「名称独占規制」は存続します。まだ仮称ですが、「全国通訳案内士」と呼ばれることになるそうです。
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この問題については、すでに関係者らの間で何年も議論してきたことですし、市場の大きな変化に対応した規制緩和だといわれれば、そうなんだろうなあという感じしかありません。結局のところ、フリーランスの職業である通訳ガイドの場合、語学能力だけでなく、さまざまな営業能力もあってこそ、続けられるものであるのは、いまも昔も変わりません。

問題なのは、むしろ「ランドオペレータ登録制度」の実効性でしょう。

なぜなら、「訪日旅行の手配構図の例」「ランドオペレーターに関する外国人のクレーム」で観光庁も説明するように、「ブラック免税店」と「闇ガイド」が結託した法外な値段の買い物強要が、外国客のいちばんのクレームとなっているからです。
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で、その解決策について、新制度ではこれまで誰がやっていたかすら把握していなかったランドオペレーターの登録を進め、ツアーパンフに通訳案内士同行の有無を記載することを義務付けることなどが挙げられています。同行の有無は、そのツアーの品質を保証することになるという理屈でしょうけれど、う~ん。
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実態から言えば、この程度のことで問題解決とは気の遠くなるような話です。

しかし、現在における訪日外国人の受け入れに関する問題の焦点はもっと別の次元に移っているというべきでしょう。なぜなら、訪日外国人における団体客の比率はだんだん下がり、個人客に移行しているからです。

では、どこに新たな問題が生まれているかというと、たとえば、中国事情に詳しいライターの高口康太さんが書いた中国の「白タク」の実態です。通訳案内士やランドオペレーター制度の規制緩和の話より、事態はもっと進んでしまっているのです。

日本各地で暗躍する中国版白タク「皇包車」の実態(Wedge2017.9.25)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10613

この問題は本ブログでも何度も指摘していますし、ぼく自身も以下の記事を書いています。

日本人が知らない、中国人観光客受け入れの黒い歴史(Newsweek2017年09月02日)
http://www.newsweekjapan.jp/nippon/season2/2017/09/198804.php

高口さんの記事が面白いのは、彼が実際に羽田空港や成田空港の現場を訪ね、中国の配車アプリサービスを利用して、日本国内で「白タク」に乗ってみるという体験取材をしていることです。利用者の立場に立てば、とても優れたサービスだと彼は書いています。

記事では「政府は、その実態や規模を全く把握できていない」と書かれていますが、実際はそんなことはないでしょう。日本より中国のシェアエコノミーの進化が早いため、対応できないだけのこと。じゃあしょうがない? でも、これじゃ日本のライドシェアをまじめに育てる意欲はなくなってしまいませんか。過疎地域の足など、いろんなニーズがあるはずなのに。

さらにいえば、「経済効果のリーケージ(漏出)」という問題があります。つまり、こんなに外国客が増えても、営業実態だけはあって、日本にお金が落ちず、経済効果を持ち去られてしまう。もちろん、これは規模の問題でもあるのですが、今日シェアエコノミーを軽んじるのは間違いでしょう。

だから、「知らなかった」ではすまないと思うのですが、とぼけてたほうが楽なのか。なんだかこの話、「ブラック免税店」や「闇ガイド」の存在を知りながら、ずっとやり過ごしてきた観光行政の姿勢と似ている気がします。
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by sanyo-kansatu | 2017-09-27 10:00 | “参与観察”日誌
2017年 09月 22日

中国はついに日本への渡航制限を始めるのか?

今週、日本政府観光局(JNTO)による8月の訪日外国客数が公表されました。

訪日外客数(2017 年8 月推計値)
◇ 8 月 : 前年同月比20.9%増の247 万8 千人
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/pdf/170920_monthly.pdf

トップは中国で「前年同月比21.1%増の81万9,700人」と過去最高となっています。今年上半期、韓国が一時中国を追い抜いていた時期もありましたが、夏休みの家族旅行が多かったこと、クルーズ客船の寄航数が相変わらず伸びていることなどから、1~8月までですでに488万2200人となっています。この調子でいけば、年間800万人に近い数になりそうな勢いです。

日本を訪れる韓国人観光客が中国客を追い抜く勢いで増えています (2017年 03月 16日)
http://inbound.exblog.jp/26722251/

ところが、昨日TBSは中国政府が日本への渡航制限を通達したと報じています。

中国当局、旅行会社に日本行き観光ツアー制限を通達(TBS News2017.9.21)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3164671.html

中国当局が今月中旬、北京などの旅行会社に対し、日本行きの観光ツアーを制限するよう通達を出したことがJNNの取材でわかりました。

関係者によりますと、当局からの通達の内容は地域によって異なっていて、首都・北京では一部の旅行会社に対して今月中旬、「日本への団体旅行を減らすよう」口頭で通達があったということです。山東省や大連市などでは、各旅行会社に今年1年間に許可する具体的な人数の割り当てが伝えられていて、すでに割り当て分を販売したとして、日本向けのツアーの受付をストップする会社も出始めています。

「当局から通達がありました。『(日本への)団体ツアーを停止せよ』と。数日前から販売を停止しています。(通達の)理由は分かりません」(山東省の旅行会社)

制限の理由は明らかにされていませんが、資本の海外流出を食い止めるための措置との見方が出ています。中国は10月1日から建国記念日の大型連休で、日本への航空便もほぼ満席状態ですが、年間600万人を超える中国からの観光客のおよそ4割が団体客で、今後、影響は避けられないものとみられます。


これは中国政府が昨年以降台湾に、そして今年韓国に仕かけた渡航制限を日本に対しても実施するということを意味します。

香港、台湾に続き韓国も。中国政府が訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達を出したそうです (2016年 11月 10日 )
http://inbound.exblog.jp/26367228/

その後、台湾や韓国を訪れる中国客が大きく減ったことはすでに知られています。

もちろん、ここでいう渡航制限は旅行会社を通じて予約する団体ツアーに対するものなので、現状6割を占める個人客への縛りはないのですが、リーダーが世界に対して「自由貿易の推進」と「保護貿易への反対」の姿勢を公言した国とはとても思えないふるまいです。

【ダボス会議】中国が自由経済圏の救世主という不条理(Newsweek2017.1.18)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/01/post-6754.php

中国の場合、常に自らの外交や政治目標を押し通すためにこの種の渡航制限を行うわけですが、韓国に実施する際、実に嫌な混乱もありました。

中国クルーズ船乗客の済州島の下船拒否には呆れたが、今後困るのは中韓双方の民間業者(日本への影響 も) (2017年 03月 24日)
http://inbound.exblog.jp/26740314/

周辺国との友好や民間人の交流をぶち壊しにしてまで押し通さなければならない中国政府のやり方は、実に哀れといえます。

しかし、いまの中国、ますますおかしなことが起こり始めています。これも昨日のニュースです。

ヤフージャパン、中国で検索不能に=規制強化、在留邦人に戸惑い(時事通信2017.9,21)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017092101030&g=eco

【上海時事】上海や北京など中国各地で、19日ごろから「ヤフージャパン」の検索サービスが利用できなくなり、現地に住む日本人の間で戸惑いが広がっている。

中国ではグーグルの検索サービスが使用できないため、多くの日本人がヤフージャパンを使っており、駐在員の間では「仕事に支障を来しかねない」と不安の声も聞かれる。

中国当局は今年6月、「ネット空間の主権と安全保障の確保」を目的に、インターネット安全法を施行。10月の共産党大会を控え、ネット規制を強化している。

当局の規制をかいくぐり、海外の情報にアクセスする手段として多くの日本人が利用する「仮想プライベートネットワーク(VPN)」も非常につながりにくい状況。

一方、ヤフーニュースの閲覧には、今のところ問題は生じていない。

ヤフージャパン広報は取材に対し「中国でサービスが利用できなくなったことは把握しているが、当社のトラブルが原因ではない。状況の推移を見守っていきたい」と回答した。


こんな報道もあります。

S&P、中国格下げ=債務の伸びを不安視(時事通信2017.9,21)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017092101284&g=int

【北京時事】米格付け大手S&Pグローバル・レーティングは21日、中国の長期信用格付けを上から4番目の「AAマイナス」から「Aプラス」に1段階引き下げた。5年に1度の共産党大会を1カ月後に控える習近平指導部の反発も予想される。

S&Pは格下げの理由として、長期にわたる融資の伸びで債務が増大したことを挙げた。融資拡大が力強い経済成長を支えてきたとしながらも、「それによって経済と金融のリスクが高まっている」と不安視した。


まもなく10月の中国の国慶節休みが始まります。直近での影響はないかもしれませんが、数字の上では過去最高を重ねている訪日中国客、伸びはここ数年に比べて大きく減速しているのも確かです(今年1~8月の前年同期比は1桁の8.9%)。

今年春、中国政府は「日本は放射能汚染で危険」との広報活動や「APAホテル」問題など、あの手この手で自国民の日本旅行に影響を与えようとしましたが、今後同じようなことを始めるかもしれません。

日本が危ない!? 福島原発の放射能フェイクニュースが拡散中(Newsweek2017年02月20日)
http://www.newsweekjapan.jp/lee/2017/02/post-17.php
アパホテルとデモ騒動、これじゃ中国の為政者に踊らされすぎです (2017年 02月 08日 )
http://inbound.exblog.jp/26616851/

来春以降の影響が気になります。

【追記その1】
TBSの報道に対して、2日後、中国メディアが反論しています。なかなか興味深い内容です。

中国メディアがTBS報道「中国、訪日旅行に制限」に反論! とはいうものの… (2017年 09月 25日)
http://inbound.exblog.jp/27147682/

【追記その2】
その後、中国の複数の旅行会社に確認したところ、通達は出ていたことが確認できました。しかし、それで影響を受けるのは、団体客だけで、いまや6割以上が個人客なので、影響は限定的といえます。しかも、これまでの中国人観光客のイメージを変えていかなければなりません。ForbesJapanに以下の記事を書きました。ご参照ください。

これからの中国人観光、「爆買い」から「女子旅」へ(ForbesJapan2017.10.5)
https://forbesjapan.com/articles/detail/17954
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by sanyo-kansatu | 2017-09-22 07:28 | 気まぐれインバウンドNews
2017年 09月 09日

大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!?

9月頭に大阪に立ち寄りました。当初その予定はなかったのですが、予約していたLCCが欠航となり、新幹線で帰ろうか思案したのですが、週末にかかっていたこともあり、1泊することにしたんです。

おかげで1年ぶりの大阪を、ほんの一部ですが、歩くことができました。

それにしても、大阪のインバウンドのにぎわいは、相変わらずすごいですね。

そこで、東京ではなかなか見られない、大阪ならではのインバウンドな風景の数々をご紹介しようと思います。

まず大阪といえば心斎橋商店街。一部を除き、多くの店が開くのは午前11時ですが、10時過ぎると商店街は外国客だらけです。日本人はこの時間帯、少数派です。
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この日はアジア系の若い女性のふたり組というのが目に付きました。前者のスキのなさげな都会風は中国系で、ペアルック(?)でゆるい感じのふたりは台湾系でしょうか(あくまでイメージです…)。
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なぜかサッカー日本代表のユニフォームを身につけたタイ人の女の子たちもいました。日本代表のWカップ出場が決まった翌朝だったのですが、面白いですね。
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ビニール袋にいっぱい買い物をした若い女性のふたり組が歩いてきたので、袋の中身だけこっそり接写(失礼!)したところ、さきいかやユニチャームのシルコットやらチープな爆買い商品満載でした。
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なにしろマツキヨでは、外国客限定でFacebookや微信で優待券をダウンロードした客には、消費税8%プラス7%もの割引をするというのですから。「爆買い」は終わったといわれ、一時ほどの売上げはないと思われますが、大阪ではドラッグストア系を中心に客の争奪合戦が繰り広げられています。アジア客が買い物好きであることは変わらないのですから当然でしょう。じゃあ日本を旅行中どの町で買おうかというとき、商品が豊富で潔く割引してくれる大阪が選ばれるのだと思います。さすがは「商売の街」。
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ダイコク屋の中国人女性店員も、商品の書かれた宣伝パネルを掲げて大声で客引きをしています。
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難波に近い黒門市場にも足を運んでみました。もう数年前からですが、外国客であふれて縁日のようなにぎわいです。もともとここは高級食材専門の市場でした。ですので、カニやらウナギやらフルーツやら、あらゆる食材が観光客用に見せ前に並べられ、観光客は立ち食いしています。ここまで外国客で密集し、立ち食い客てにぎわう商店街は、全国を探してもないかもしれません。大阪すごいです。
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大阪城にもちょこっと寄ってみました。インド系の若い3人組に会いました。大阪城をバックに写真を撮りまくっていました。
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ところで、今回大阪でいくつかの発見をしました。もしかしたら、東京でも見られる光景なのかもしれませんが、まずは難波の高島屋の資生堂コーナーの前に並ぶ中国客です。なんでも限定商品の販売があることを聞きつけてきたからだそう。
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中国客は、すでに日本の家電商品は世界的なブランド性を喪失しており、むしろ中国家電のほうが広く支持されていることを知っていますから、家電量販店には以前ほど足を運ばなくなりましたが、化粧品をはじめとしたドラッグストア系商品の日本の価値は認めているため、どこで誰が情報を広めたのか、限定商品が販売されると聞くと、この行列です。彼らはやることがはっきりしていて、わかりやすいともいえます。

おかげで高島屋の1階はスーツケースを引きずる中国客であふれています。きっと中国人以外の人もいるのでしょうけれど、コスメ売り場で彼女と一緒に並んで買い物をするあたり、どう見ても華人的ふるまいです。ここまでやるのが優しい中国男なのです。
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興味深かったのが、難波のOCAT(大阪シティエアターミナル)と関西空港の国際線到着ロビーのHISカウンターで見た以下のパネルでした。
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これらは以下の中国の(一部、台湾、香港系もある)オンライン旅行会社で販売されているJRパスや大阪周遊パスなどの受け取り窓口であることを示すものです。

Kloock(客路) https://www.klook.com/ https://www.klook.com/zh-TW/ ※台湾、香港系
JTR WEB http://www.jtrweb.com/
大衆点評 https://www.dianping.com/ ※中国系
C-trip  http://www.ctrip.com   http://jp.ctrip.com ※中国系
蚂蜂窝 http://www.mafengwo.cn/  ※中国系
KKday https://www.kkday.com/zh-tw/home/index2 ※台湾系
出国去 http://www.chuguoqu.com/ ※中国系
穷游网  http://www.qyer.com/  ※中国系
最会游  http://www.zuihuiyou.com/  ※中国系
同程旅游 https://www.ly.com/  ※中国系
南湖国旅 https://www.nanhutravel.com/ 中国系

関空のHISの前には行列ができていました。もしかしたら、ここで並んでいる中国客の中には「こんなのわざわざ発券しないでアプリで対応してくれればいいのに。日本って遅れてる…」と心の中でつぶやいている人がいるかもしれません。中国では高速鉄道の発券は事前にネット予約し、窓口ではなく、発券機で簡単に受け取ることができますから。
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こうした中国オンライン旅行社の受け取りを東京各地にあるHISツーリストインフォメーションなどで行っているかどうかはまだ確認していません。

さて、最後にいくつか気づいたこと、新たに知ったことなどを書いておきます。

JR大阪駅のツーリストインフォメーションでは、海外のVIPに人気のとんだばやしを売り出そうとしていました。
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中国の富豪たちがショックを受ける町 「大阪・富田林」を歩く(2016年05月30日)
http://inbound.exblog.jp/25859112/

大阪環状線JR新今宮駅のホームの前に広がる空き地は、星野リゾートが購入した高級旅館の建設予定地です。線路の反対側には西成のあいりん地区が広がっています。
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関空行きの南海の急行電車はこのとおり、スーツケースが並んでいます。昨年秋、こんなこともありましたね。
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「外国人多くご不便を」とアナウンスした車掌さん 訪日客急増で日本人はストレスをためてる? (2016年 10月 11日 )
http://inbound.exblog.jp/26268458/

最後は関空第2ターミナルの国際線乗り場近くで見かけた、いま話題の中国「白タク」です。実は、成田空港でも何台も見かけました。
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大都市圏を中心に増殖中!中国系「越境白タク」の問題点を追跡 (2017年06月26日)
http://inbound.exblog.jp/26951467/

大阪の友人と梅田駅周辺を歩いていたときも、あるホテルのロビーに中国「白タク」がいました。

友人は「ここにもあそこにもですよ…」とぼやいていました。

最後のオチで少しがっかりさせてしまったかもしれませんが、大阪は日本のインバウンドの最前線であることは間違いありません。

大阪と東京のインバウンドの特徴の違いを外国人の視点で考えてみる (2016年01月31日)
http://inbound.exblog.jp/25315756/

【追記】
外国客でにぎわう大阪ですが、最近観光客を狙ったスリなど問題もおきているようです。以下のレポートをご参照ください。

新しい中国人観光客像の5つの傾向とは? (2017年 12月 27日)
http://inbound.exblog.jp/27901370/
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by sanyo-kansatu | 2017-09-09 13:31 | “参与観察”日誌
2017年 09月 05日

日本はナイトエンタメの魅力に欠ける国? 飲み屋はいっぱいあっても、それだけでは訪日客は満足しない

日本は夜を楽しく過ごすエンターテインメントが乏しい国だといわれて久しいものがあります。

居酒屋やバーはたくさんあるので、日本人としてはそんなに困っていなかったと思いますが、外国から来た旅行者にしてみれば、夜もめいっぱい楽しみたい。それは自分が海外旅行したときのことを思い出せば、気持ちもわかるというものでしょう。

昔メキシコのバハカリフォルニアのカボサンルーカスに行ったとき、現地の少し日本語のわかるガイドに、食事の後、「どこか行きたいですか?」と聞かれたときのこと。ぼくは大きな間違いをしてしまいました。

というのも、カボサンルーカスはアメリカ西海岸の人たちの最も近くて気軽に行けるリゾートなので、高校生くらいの若者たち、いや悪ガキどもがいっぱい押し寄せていて、当時はレストランやクラブのテーブルの上に女の子たちが上って踊りまくるというのが流行していたのです。だから、こっちは落ち着いて食事もできません。

それでぼくはガイドに「もっとアダルトな店がいいな」と言ってしまったのでした。目の前の女の子たちの騒ぎっぷりから、つい…。

そして、連れて行かれたのは、いわゆるストリップバーでした。

いや、そういうのじゃなくて…。同行したカメラマンのSくんも大笑いで「アダルトだなんて言うからだよ」。おっしゃるとおり。和製英語化している英語を不用意に使うのはいけませんね。で、すぐに店を出たのでした。

ちょっと前ふりが長かったですけど、要するに、日本でナイトエンターテインメントを楽しもうとするとき、お酒とともにお色気方面もたっぷりあると思いますが、家族で旅行しているお父さんがひとり抜け出してというわけにもいきませんから、もっと健全とはいいませんが、みんなで明るく楽しめるエンタメが確かに求められているのです。その意味で、歌舞伎町のロボットレストランは出し物がちょっときわどいところもあるのですが、いまでもそこそこにぎわっているようです。

歌舞伎町の「ロボットレストラン」はなぜ外国客であふれているのか? (2013年11月15日)
http://inbound.exblog.jp/21470518/

さて、今日の朝刊にこんな記事がありました。

訪日客、夜も観光しまショー 歌舞伎やエイサー、通訳・解説付き 消費増、政府も後押し(朝日新聞2017年9月5日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S13117493.html

訪日外国人による消費が伸び悩む中、その一因ともされる夜の娯楽不足を改善しようとする動きが広がってきた。演劇や舞台を催し、伝統芸能を採り入れたり、同時通訳を付けたりと工夫をこらす。政府も観光資源づくりの後押しに乗り出す。

4日午後7時半、東京都港区の東京タワー近くにある結婚式場で「歌舞伎ディナーログイン前の続きショー」が始まった。くま取りをした出演者が「今日は歌舞伎の楽しみ方を教えます。私のような赤いくま取りの人はヒーローのあかし。青は悪役です」と英語で解説した。

歌舞伎の演目をアレンジしたショーや殺陣を見ながらの夕食は、約1時間半で1万9千円。この日が初開催で、旅行業界の関係者らを招待した。運営する観光コンサルタント会社アリュウコーポレーション(東京)の奥村謙一社長は「まずは知名度を上げ、いずれは中国語にも対応したい」。

旅行大手JTBも16日、和太鼓グループ「DRUM TAO」と組み、東京・品川で夜の舞台を始める。10月29日まで計60回を予定。すでに大阪・あべのハルカス近鉄本店で1~2月の夜、日本舞踊などの舞台を開き、盛況だった。

沖縄県の「沖縄観光コンベンションビューロー」は7月、エイサーなど沖縄の伝統芸能を催すショーを浦添市と宜野湾市で始めた。午後7時からで英語と中国語の解説付きだ。

海外からの訪日客数は順調に伸びているが、1人あたりの消費額は伸び悩んでいる。今年4~6月は14万9千円となり、ピークの2015年7~9月より2割ほど減少。20年に20万円に引き上げる政府目標は、達成が厳しくなりつつある。

観光庁によると、「日本では外国人が夜間に楽しめる娯楽が少ない」といい、消費低迷の一因ともされる。伝統芸能の多くは日本語が使われ、訪日客には理解しづらい。深夜営業のディスカウント店などがにぎわう一方、「買い物や飲食以外で、夜間の娯楽への要望は強まっている」(JTB)という状況だ。

このため、観光庁も訪日客が夜に楽しめる観光資源づくりの支援を始める。

米ニューヨークのブロードウェー劇場や仏パリのルーブル美術館など、海外で夜間も開く施設は、高い知名度を武器にする例が少なくない。こうした施設を参考に、PR動画の作成やネット上でのリスト化などを検討中で、来年度予算の概算要求に関連費用として約1億2千万円を盛り込んだ。チケット販売サイトの立ち上げなども検討していく方針だ。(森田岳穂)


「訪日外国人による消費が伸び悩む中、その一因ともされる夜の娯楽不足を改善しようとする動き」だなんて、ずいぶん硬い書き出しですが、確かに全国でいろんなことが始まっているようです。

ネットをみていると、この方面では大阪が熱いようです。

大阪城、夜も楽しんでや 訪日客、新劇場で伝統芸能
天守閣眺めながら飲食できる店も(NIkkei Style2017/5/2)
https://style.nikkei.com/article/DGXLZO15296420T10C17A4LKA001?channel=DF220420167266

買い物や食事が中心だった大阪観光に新たな魅力を加えようという試みが動き出す。官民ファンドのクールジャパン機構が吉本興業など12社と組み、伝統芸能などを夜まで上演する劇場を大阪城の周辺に新設することが明らかになった。インバウンド(訪日外国人)客の関心がモノからコトに移るなか「夜輝く大阪」を官民でアピールする。

「年250万人が訪れる大阪城に(これまで足りなかった)エンターテインメント性が増し(観光資源として)鬼に金棒となる」。吉村洋文・大阪市長は4月13日の定例会見で期待を語った。

新劇場には電通やエイチ・アイ・エス(HIS)、在阪民放5局、KADOKAWAやファミマ・ドット・コムも参画。20億円超を投じ、複数の劇場や屋外ステージの2018年春までの開業を目指す。落語や歌舞伎のほか、音や光、映像を駆使した殺陣や忍者のパフォーマンスも披露する。

大阪城周辺は重要な史跡が多く、飲食施設や娯楽施設の開発が抑えられてきた。だが市は「(大阪城周辺に)100ヘクタールもあるのに何もしないのはもったいない」(吉村市長)と観光振興への活用を歓迎する姿勢を示す。

今秋には天守閣そばの歴史的建造物を改装した飲食・物販施設「ミライザ大阪城」が開業する。2、3階、屋上に入るレストランは夜10時半まで営業する予定。天守閣を眺めながら料理やアルコールを楽しめる。

これらに新劇場が加われば大阪城の魅力は増す。4月13日、台湾から家族3人で大阪城公園を訪れた45歳女性は「夜のミュージカルもあれば出かけたい」と語った。

観光の全体的な厚みが増すとの期待も高まる。大阪観光局の溝畑宏局長は「大阪は(訪日客向けの)ナイトエンターテインメントに欠け、夜9時以降の消費が減る」と夜の魅力向上が課題と指摘。観光局は昨年に英文冊子を作り、立ち飲みの居酒屋、夜に営業している観覧車などを紹介した。

府・市が昨年11月にまとめた都市戦略でも「24時間おもてなし都市」を掲げ、観光施設の営業時間やランドマークのライトアップ時間の延長に官民で取り組むとした。夜も楽しめる観光地づくりをテコに、20年の来阪外国人の旅行消費額を1兆1900億円と15年の5781億円から倍増させる目標を打ち出した。

夜間営業も想定する新劇場はこうしたニーズに合致する。新劇場ができれば昼はユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)、夜は芸能鑑賞という楽しみ方が広がり、滞在日数と消費額の拡大につながる。府・市が進めるカジノを核とした統合型リゾート(IR)の誘致を控え、夜の娯楽充実に一歩前進しそうだ。

吉本興業の戸田義人取締役も「夜遅くまで楽しみたいという訪日客のニーズに応えられる環境をつくりたい」と述べた。もっとも場所を含め新劇場の詳細は未定。人形浄瑠璃文楽の語り手の最高格である切場語りの豊竹咲太夫さん(72)は「基本的には結構な話だが、実際問題としてスケジュールが割けるか、充実した内容にできるかなど課題も多い」と指摘する。


先日、ぼくも大阪城公園に行ってきたのですが、夜はもっと楽しめるんですね。いまの大阪観光局長が元観光庁長官の溝畑宏氏だとは知りませんでした。吉本興業もあるし、大阪はこれでますます外国客の人気を集めることでしょう。東京はこの方面では、少しまじめすぎるかもしれません。こんな記事もありました。やはり大阪です。

訪日客もハメ外す「大阪の夜」 共通券でクラブはしご
USJのハロウィーンイベントではゾンビが大増殖(NIkkei Style2017/9/2)
https://style.nikkei.com/article/DGXLZO20265640S7A820C1LKA001?n_cid=LMNST014

JTB西日本は9月1日、訪日外国人向けに大阪市中心部の複数のナイトクラブに出入りできるパスを発売した。外国人に多い「夜まで遊びたい」というニーズに応える。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)や高級ホテルも夜限定のイベントを充実させている。大阪市は全国のほかの都市に比べても夜の娯楽が充実しており、訪日外国人の消費を促す。

JTB西日本が発売するのは「OSAKA NIGHTCLUB PASS(オオサカナイトクラブパス)」。大阪中心部でナイトクラブ10店舗をプロデュース(監修)するトライハードエンターテイメントジャパン(大阪市)と組み、梅田や心斎橋周辺の全店舗で3日間自由に入退場できる。21歳以上の訪日客に限って利用できる。

価格は3500円で、関西国際空港などにあるJTB西日本の観光案内所4カ所で売る。半年で5000枚の販売を目指す。

毎年10月に入場者数が最も多くなるUSJは、9月8日から始めるハロウィーンイベントで夜のホラーを前面に打ち出す。夜になるとパーク内を練り歩くゾンビの種類を過去最多に増やし、言語を問わず楽しめるよう工夫する。訪日客のリピーターも増えており「季節ごとに異なる見せ方が重要」(USJ)という。

夜間営業の「ナイトプール」を関西でいち早く始めたホテルニューオータニ大阪では、宿泊する訪日客らにナイトプールの利用を促している。今年はプールサイドでのポールダンスやフラフープなどのショーを曜日代わりで用意しており、訪日客の利用は「昨年に比べて明らかに増えている」(同ホテル)という。

大阪市は全国のなかでも、夜に遊びやすい環境が整っているとされる。不動産情報サイト「ライフルホームズ」を運営するLIFULLが2015年に全国の主要都市(区部も含む)の住民を対象に調査したところ、「夜の盛り場でハメを外して遊んだ」という回答が多かった上位5カ所のうち3カ所が大阪市内だった。

日本人だけでなく訪日外国人も利用しやすいサービスが広がれば、大阪の夜は一段と盛り上がりそうだ。


ここ数年、USJの勢いはすごいですね。以前はTDLが圧倒的に強いと思われていたのに、やはり大阪はインバウンドの町ですね。

大阪と東京のインバウンドの特徴の違いを外国人の視点で考えてみる (2016年01月31日)
http://inbound.exblog.jp/25315756/

難波に近い黒門市場にも行ってきたので、そのときの様子も後日紹介しようかな。こちらは昼の強力なエンタメでした。

大阪インバウンドのにぎわいは日本最強か!? (2017年09月09日)
http://inbound.exblog.jp/27104053/
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by sanyo-kansatu | 2017-09-05 06:48 | 気まぐれインバウンドNews
2017年 05月 25日

なぜ次々と中国人観光客の周辺で違法問題が起こるのか?

ここ数日、日本国内で急増している中国の「越境白タク」の実態を見てきました。それにしても、この問題のみならず、なぜ彼らの周辺では次々と違法問題が起きてしまうのでしょうか。

成田空港で中国系白タクの摘発が始まる!?
http://inbound.exblog.jp/26867015/
日本国内で増殖している中国の配車アプリとはどんなサービスなのか?
http://inbound.exblog.jp/26867237/
中国でライドシェア(配車アプリサービス)が一気に普及した理由
http://inbound.exblog.jp/26874125/
中国配車アプリを利用した「越境白タク」の何が問題なのか?
http://inbound.exblog.jp/26876191/

これまで本ブログで何度も指摘してきたように、無資格ガイドや違法民泊、ブラック免税店問題など、すべてとはいいませんが、その多くは中国人観光客の周辺で起きています。その理由について、少し考えてみたいと思います。

その前に、不用意に話を進めると偏見を助長しかねない、この問題を考えるうえでの、今日の中国と中国人に対する公平な理解の前提となる2つのポイントを挙げておきたいと思います。

よく「中国人は遵法意識がない」と言われます。この点について、良識ある中国人はそれを否定しません。なぜなら、彼らには、日本や欧米のような民主的な社会を生き、法によって人権が守られているという認識はありません。法は民ではなく、万事為政者が勝手に決めるものですから、常に上から降りかかる、むしろ災厄のようなもの。法の網をかいくぐり、利益を得た人間が賢いと評価される社会です。このような国に生きる人たちを、我々と同じ基準でジャッジしてしまうと、彼らのふるまいの背後にある真意を見間違いがちです。

もうひとつは、少しメンドウな話なのですが、中国が急速に経済力をつけ、ECやモバイル決済、そして配車アプリの普及など、明らかに日本の社会より利便性の進んでいる分野が次々と生まれてきたことから、「最先端のサービスを利用する自分たちがなぜ悪い? むしろ、遅れている日本の方が問題では」という心理が彼らの中に芽生えていることです。

この種の心理は、かつて(欧米社会に対するものとして)日本人にもあった気がしますから、やんわり受け流せばすむ話。とはいえ、国民感情として、言うは安しと感じる方も多いかもしれません。よく「中国人は傲慢だ」と言う人もいますが、あまりに単純固定化して彼らの言動を受けとめるのは思慮が欠けているといわざるを得ません。彼らがそう見えるのは、そうなる背景や理由があるからで、それをある程度頭に入れておけば、理解できない話ではないことは知っておいたほうがいいでしょう。我々とはあらゆる面で価値観が違うのも、そのためなのです。

この2点をふまえたうえで、考えなければならないのは次のことです。

我々の側に、観光客として彼らを受け入れるうえでの原則やルールがあるかどうか。それを彼らにもわかりやすく説明し、理解させているか。それが問われているのです。

実際にはそのような原則やルールを日本の社会は用意しているとは思えません。そんなことはまるで考えてもいないかのよう。せいぜい観光客がお金を落としてくれるんだから、日本が得意の「おもてなし」をしましょう…。たいていの場合、これだけです。

結論を先に言ってしまうと、中国人観光客の周辺で起こる違法問題の根本的な原因は、彼らの側だけにあるのではなく、むしろ我々が彼らを賢く受け入れるためのルールづくりをなおざりにしてきたからだ、というべきなのです。

もう半年以上前のことですが、昨年10月、NHKのクローズアップ現代で、中国人観光客の周辺で起こる違法問題を題材にした番組を放映していました。

「「爆買い」から「爆ツアー」へ。いま中国人観光客が目指すのは、都心の百貨店や家電量販店よりも、地方の観光都市。そこは「無資格ガイド」や「白タク」などが暗躍する、無法地帯となりつつある。番組はその実態を探るために潜入取材。その結果明らかになったのは、日本の旅行業法の不備をついて不当に利益を上げる、闇業者の存在だった。急増する中国人観光客がらみのトラブルと、どう向き合えばいいのか。お隣の韓国で成果を上げる、目からウロコの処方箋も紹介!」(同番組HPより)

この番組の詳しい内容は以下のウエブサイトをみてもらえればわかりますが、NHKの取材陣が潜入したという「中国人爆ツアー」の現場のルポと識者らの解説にはいくつかの興味深い指摘がありました。と同時に、つっこみどころもけっこうあったので、解説します。

潜入!中国人 “爆ツアー”の無法現場(NHKクローズアップ現代+2016/10/23)
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3879/

ルポの冒頭の舞台は沖縄です。沖縄はいま全国でいちばん白タク問題で悩んでいるからです。

NHKの中国人スタッフが観光客を装って接触を試みた白タク運転手は20代の中国人。聞けば留学生上がりで、在学中からやっていたといいます。もちろん、彼は通訳案内士の資格もなく、第2種運転免許もありません。明らかな違法営業です。

なぜこんな違法営業がまかり通るかについて、ランドオペレーターのひとりにこう言わせています。「しっかり監督をする組織が、部分がないですから、それが原因で白タクとか不法の民泊に、いま氾濫されている。一番大きいのは税金関係。税金みんな払ってない。資本金も何も必要なく、やり放題。これはおいしい、いっぱいおいしい利益をとるだけ」

そう、そのとおり。監督官庁の存在がまるで不明で、ルールづくりがおざなりにされてきたことが、無法状態の根源だというのです。

こうなってしまった理由として、立教大学の高井典子教授はこう説明します。

「まず前提として、これまでの日本の旅行業界というのは“日本人の、日本人による、日本人のため”の旅行を扱ってきた。

つまり「BtoC」、旅行会社から最終消費者である旅行者、ツーリストに向けてのビジネスに関して旅行業法という法律で管理してきたわけなんですね。

ところが、この数年、急激にアジアの市場が伸びてきていて、これが想定外の成長をしてしまい、いわば真空地帯だった所に新たに登場したのが、今、出てきました、多くの新しいランドオペレーターということになります」。

この指摘は基本的に間違いではないですが、「想定外の成長」「真空地帯」という説明を聞くと、ちょっとつっこみたくなります。というのは、訪日中国人団体客の受け入れは2000年に始まっており、「想定外」などというには時間がたちすぎています。時間は十分あったのに、やるべきことをやってこなかったというべきだからです。「真空地帯」というのも、そうなったのは、急増していくアジア系観光客の受け入れを本来担うべきだった国内業者が、彼らに対する国内の旅行手配や通訳ガイドによる接遇も含めた「おもてなし」をコストに見合わないという理由で投げ出してしまったというのが真相に近い。

とはいえ、言葉も地理もわからない外国人の団体を街に放り出すわけにはいきません。誰かが彼らの接遇を担わなければならなかったのに、国内業者がやろうとしない以上、その役割を買って出たのが在日アジア系の人たちだったのです。彼らは自分たちがそれを担った以上、自分たちなりのやり方でやろうとするのはある意味当然です。観光客の側にとっても、そのほうがわかりやすい。こうなると、日本のビジネス慣行やルールではなく、アジア的なスタイルで運営されていくことになる。それを国内業者は「触らぬ神に祟りなし」と、見てみぬふりをするほかなかった…。

これは日本の家電メーカーがこの20年で中国や韓国の企業に市場を奪われていったケースと基本的に同じだと思います。コストが見合わないという理由で、新しい市場への取り組みを投げ出していった結果という意味で、決して飛躍した話ではありません。コスト以外にもさまざまな理由があったことも確かですが、当時の経営陣は先が読めなかったということでは同じです。

中国人観光客の周辺の違法問題を考えるとき、この視点を忘れてはならないと思います。そうでないと、結局、この番組の後半の流れのような、あたりさわりなく聞き流せばすむ議論で終わってしまうからです。

実際、番組では外国人観光客のマナー問題に話を移し、「ルールやマナーを知らない外国人と気持ちのいい関係をどう築いていくのか」と問いかけます。これからの時代は日本人もそれを受け入れていく(乗り越えていく?)気持ちを持たなければという精神論に向かっていきます。

その際、例に挙げられたのが、忍野八海の湧水にコインを投げ入れる中国人観光客の話でした。こういうことがなぜ起こるかについては、以前本ブログで説明していますが、ひとことでいえば、日本に関する知識のない無資格ガイドが案内しているから起こるというべきで、これも監督官庁の野放しが生んだ問題なのです。

〔TBS・Nスタ〕中国人観光客はなぜ民家に侵入して自撮りをするのか?
http://inbound.exblog.jp/26383490/

ところで、番組にひとりの中国人コンサルタントが登場します。この人の存在がなかなか微妙です。彼は白タクや違法民泊問題についても「シェアリング・エコノミーは世界的な流れ。その点では中国の方が進んでいます。日本人の日常生活を味わうのは大きな魅力です」という主旨の話をするのですが、前述したような、最近の中国人によく見られる「むしろ、遅れている日本の方が問題では」という心理がうかがえないではありません。これを聞くと、そういう風に話を丸め込まれてはたまらないと感じる視聴者も多かったのではないでしょうか。なぜなら、違法問題を引き起こしている当の本人が言い訳しているようにも聞こえるからです。

これらの問題を解決するための「目からウロコの処方箋」として、韓国の観光警察隊が紹介されますが、これも問題のすりかえに見えます。現状、外国人にマナーを問う前に日本社会がすべきことがあるからです。いま起きていることの多くは、外国客を受け入れるための原則やルールをつくってこなかった日本の監督官庁の姿勢にあるからです。日本の側がアジア客の接遇を在日アジア系の人たちに投げ渡してしまった以上、彼らは自分たちのやりたいようにやるほかなかったのです。

いろいろつっこみを入れましたが、番組のウエブサイトでは、違法問題の背景について以下の解説を試みています。

なぜ、悪質なランドオペレーターを取り締まれないの?

取り締まるための法律がなかったからです。1952年に制定された旅行業法は、消費者となる旅行者を保護するために旅行会社を監督する目的で作られました。旅行会社から依頼を受け、バスやホテル・ガイドを手配するランドオペレーターは、旅行会社との取引になるため、旅行業法の規制の対象外になります。中国人観光客の数はこの3年で5倍近く増加し、ランドオペレーターの需要が急拡大する中、法の目が届きにくい現在の法制度の隙間をつく形で、次々と悪質業者が生まれきたと見られています。番組で取り上げたバス会社やレストランへの「突然キャンセル」だけではなく、旅行客を物販店に連れ回し不当に高額な商品を買わせる「ぼったくりツアー」で大きな利益を手にする業者もあります。さらに昨今、団体ツアーから個人旅行にシフトする中で、小回りのきく移動手段として「白タク」(営業届けをしないまま乗客を車に乗せ、運賃を受け取る車)や格安の宿泊場所として「無届け民泊」を手配するなど、悪質行為を行う業者も出てきています。

国はどのような対策を取ろうとしているの?

今年になって、国はようやくランドオペレーターの実態調査に乗り出し、全国で800以上の業者があることをつきとめました。現在、旅行業法を改正して、悪質なランドオペレーターを管理監督出来る仕組み作りを進めています。しかし、その一方で、他の業種では規制緩和を進めています。たとえば、これまで外国人を有償でガイドするためには「通訳案内士」という国家資格が必要でしたが、今後は「無資格」でもガイドすることを可能にする方針を打ち出しています。また、「民泊」もこれまで禁止されていた住宅街での開設を解禁する方向です。「2020年に訪日外国人観光客4,000万人」という目標を掲げる中、入国を許可するビザの発給要件の緩和も続ける日本。様々な規制緩和の中で、いかに悪質業者の横行を防いでいくようなルールやチェック体制が出来るかが、今後の課題となっています。


このように番組では、こうした違法営業が大手を振るっているにもかかわらず、政府の方針は「通訳ガイドは無資格でも可能」「民泊は住宅街でもOK」「ビザの緩和」「悪質業者を監督できる法改正を検討」と、規制を緩める方向にあることに疑問を呈しています。

その指摘自体は間違いないのですが、あたりさわりなく終わってしまう精神論や経済効果の話だけではなく、また安易に偏見を助長する結果を生みがちな表層的な実態のルポだけでもない、本質的な議論をしていかなければと感じます。

たとえば、ここでは「悪質業者」という言い方をしていますが、中国人の場合、そもそも法人ではなく、個人で白タクを始めているケースが多いのです。それを「越境配車アプリ」が束ねているのです。この越境性をどう捉えるかがこれからの課題なのです。
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by sanyo-kansatu | 2017-05-25 09:58 | 気まぐれインバウンドNews
2017年 03月 15日

今日から中国人の韓国旅行がストップします(まったくひどい話ではないか!)

本日(2017年3月15日)から中国人の韓国旅行、正確にいうと、旅行会社が募集したり、手配する団体ツアーやクルーズ旅行がすべてストップします(個人手配によるビジネス出張などは含みません)。

この影響は想像以上に大きなものがあります。韓国メディアはそれを報じ始めています。

韓国系航空会社、THAADの影響で中国路線相次ぎ減便(中央日報日本語版 3/15)
http://japanese.joins.com/article/876/226876.html

<中国のTHAAD報復>韓国から日本に旅先変える中国人観光客(中央日報日本語版 3/15)
http://japanese.joins.com/article/859/226859.html

今後も続々と韓国からの悲鳴の声が上がることでしょう。もともと韓国のインバウンド市場にとって数的に半数近くを占める中国客の動向(しかも、昨年は過去最高)は影響が大きいからです。その点、日本の場合は中国客の占める比率は4人に1人で、揺さぶりをかけられにくいところがあるのと対照的です。

訪韓外国人が過去最高を更新 中国人観光客がけん引 (聨合ニュース2016/12/27)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/economy/2016/12/26/0500000000AJP20161226003600882.HTML

相手国の政策が気に入らないから、突然人的交流をストップさせるよう旅行会社に通達を出す中国政府は、卑劣きわまりないといえます。民間人の交流を否定する政府に、国際社会の信用はありません。こんなことばかりしていては、自国の観光客が海外で尊重されなくなることに気づかないのでしょうか。愚かとしかいいようがありません。

先週、ぼくは上海にいましたが、現地の関係者もこの話題で持ちきりでした。「北京では上からの通達が直接あったが、上海では通達はないものの、自主的に販売停止をしている」のだそうです。ある上海の旅行関係者は「まさか政府がそこまでやるとは思ってもみなかった。これはやりすぎだ」と話しています。こう付け加えるのも忘れませんけれど…。「これまでの経緯でいえば、日中関係のほうがはるかに悪かった。日本旅行に対する制限ならまだわかるけど…」。やれやれ、彼ら中国の民間人というのは、まったくもって無力な存在でしかありません。こうした情勢をみて「明日はわが身」と感じた日本の関係者もいたことでしょう。

2010年以降、急拡大していた東シナ海クルーズも韓国をスルーすることになります。これまで最もスタンダードな4泊5日のコースでは、九州(福岡、長崎、佐世保、熊本、鹿児島、宮崎)および下関や境港などの日本側1都市と、済州島か釜山、仁川の韓国側1都市に寄航していたのですが、今日から韓国側への寄航がいっさいなくなります。日本側への寄航が増えるのは悪くないと思う人もいるかもしれませんが、ここ数年、特に福岡のように寄航数が増えすぎて受け入れが困難になっているケースもあり、手放しで喜んでいる場合ではありません。

韓国観光の「禁止」開始 クルーズ船も経由なし(聨合ニュース2017/03/15 )
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2017/03/15/0900000000AJP20170315002200882.HTML

<中国のTHAAD報復>韓国から日本に旅先変える中国人観光客(中央日報2017年03月15日)
http://japanese.joins.com/article/859/226859.html

今回の中国側の動きは、今月3日に始まりました。

中国、韓国旅行商品の販売中止=THAAD配備に「報復」か-報道(時事通信2017.3.3)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017030201438&g=int

【ソウル時事】韓国の聯合ニュースなど複数のメディアは2日、中国政府が自国の旅行会社に対し、韓国旅行商品の販売を全面的に中止するよう指示したと報じた。

中国は、在韓米軍への最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備に強く反対しており、韓国ロッテグループによる用地提供で今年前半にも配備される見通しとなったことを受け、「報復措置」を取ったとみられるという。

昨年、韓国を訪れた観光客は約1700万人で、このうち800万人が中国人観光客だった。報道が事実なら、韓国の旅行関連業界が大きな打撃を受けることになり、中韓関係が一層悪化するのは必至。北朝鮮の核・ミサイル問題をめぐる中韓の協調にも支障が出るのは避けられない。

聯合などによると、中国国家旅遊局は2日、北京の旅行会社を招集して会議を開き、韓国旅行商品の全面的な販売中止を口頭で指示した。

一方、ロッテグループは2日、ショッピングサイト「ロッテオンライン免税店」がサイバー攻撃を受け、一時接続できない状態になったと発表した。攻撃の発信源は中国とみられ、報復の可能性がある。大量のデータを送り付けてシステムをまひさせる「DDoS攻撃」が行われた。


同じことは、ニューズウィークや朝日新聞でも報じていました。

韓国THAAD配備に反発、中国が韓国旅行商品の販売停止へ(ニューズウィーク2017.3.3)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/03/thaad-6.php

中国、韓国への団体旅行禁止 THAAD計画に報復か(朝日新聞2017年3月3日)
http://www.asahi.com/articles/ASK3304H7K32UHBI02W.html

これらの記事の元ネタは、同日に発せられた以下の中国国家旅游局の通達です。

国家旅游局发布赴韩国旅游提示(2017-03-03)
http://www.globalview.cn/html/societies/info_16598.html

国家旅游局于今日中午11时左右,在官网更新发布一条信息,提醒中国公民赴韩国旅游存在一定风险:

最近一个时期,中国公民入境韩国济州岛受阻事件急剧增多,部分被拒入境者在当地机场等候遣返时间较长,引起舆论和社会各界广泛关注。国家旅游局对此高度重视,先后在京约见了韩国驻华大使馆、韩国文化院、韩国文化体育观光部驻华机构官员,就相关问题提出了严正交涉。

国家旅游局提醒中国公民,清醒认识出境旅行风险,慎重选择旅游目的地。赴韩旅游须于行前认真、全面了解韩国入境政策,并根据要求准备好相关材料。如遇紧急情况、受到不公正对待或发生纠纷,可及时与我驻当地使领馆联系,并收集和保存相关证据,以便日后通过投诉或司法途径解决。


ここでは、理由をはっきり明かしていませんが、その「真相」については、中国メディアが詳しく報じています。

赴韩游被叫停真相:没有收到相关部门正式文件(2017-03-03)
http://news.sina.com.cn/c/nd/2017-03-03/doc-ifycaafm5032380.shtml

3月3日,国家旅游局在官网上发布消息称,最近一个时期,中国公民入境韩国济州岛受阻事件急剧增多,部分被拒入境者在当地机场等候遣返时间较长,引起舆论和社会各界广泛关注。国家旅游局对此高度重视,先后在京约见了韩国驻华大使馆、韩国文化院、韩国文化体育观光部驻华机构官员,就相关问题提出了严正交涉。
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第一财经记者采访了解到,今天下午有不少旅行社正在就韩国旅游相关事宜开会,但目前为止并没有收到正式的文件。途牛、同程等OTA(在线旅游代理商)已经开始下架韩国旅游产品,而航空公司也在观望对韩国航线的影响,以便做出是否调整赴韩运力的决定。

目前韩国游是出境游市场非常主要的路线,业界预计,此次事件会给近期的韩国旅游带来直接的下滑影响。

旅游线路紧急下架

国家旅游局提醒中国公民,清醒认识出境旅行风险,慎重选择旅游目的地。赴韩旅游须于行前认真、全面了解韩国入境政策,并根据要求准备好相关材料。如遇紧急情况、受到不公正对待或发生纠纷,可及时与驻当地使领馆联系,并收集和保存相关证据,以便日后通过投诉或司法途径解决。

就在国家旅游局发布信息不久后,第一财经记者联系携程、途牛、同程、驴妈妈、春秋国旅、中青旅、锦江等旅游业者,不少业者透露,今天下午都在开会探讨韩国游线路如何处理的事宜,但是目前还没有收到相关部门的正式文件。目前一部分旅行社还在按照正常程序在走,而有一部分业者则开始主动下架韩国游产品。
b0235153_1214175.jpg

北京万众国旅已经发布公告称,将下架所有赴韩旅游产品。

而途牛在今天已经将所有的韩国跟团游、自助游产品下架,并表示强烈抗议韩国部署“萨德”系统及韩国乐天集团为“萨德”提供部署地。

途牛进一步表示,对于前期已预订相关产品近日出游团期的游客可正常出行,如涉及韩国乐天相关行程将对客沟通进行调整;相关产品远期出游订单途牛将对客沟通取消并全额退款或转至其它目的地。

同程旅游则向第一财经记者表示:“同程旅游对韩国方面部署‘萨德’反导系统以及乐天集团的行径表示强烈愤慨。我们将继续本着国家利益大于一切的原则开展业务,‘萨德事件’严重伤害了中国人民的感情,同程旅游已经采取措施,陆续全部下线赴韩旅游产品线路等相关业务。”

同程旅游进一步表示,对于韩国旅游产品的下架会在今天之内完成。

第一财经记者注意到,在2015年12月10日,同程旅游宣布与韩国乐天观光股份公司达成战略合作,双方将共同出资成立一家合资公司,致力于当地旅游资源的整合与采购。韩国乐天观光股份有限公司录属于韩国乐天集团。

谈及与乐天的合作,同程旅游方面表示,目前业务已经暂停,将视事态发展来决定如何处理与韩方合作者的关系,不排除采取进一步措施的可能。

同时还有部分旅行社表示,虽然还未开始全面下架韩国旅游产品,但是会考虑先将已经成团的旅游线路进行退团处理。至于后续如何与韩国的酒店方、地接旅行社以及景区等业者做进一步的处理,现在还在考虑中。

关于是否下架韩国旅游产品,截至第一财经记者发稿时,携程和驴妈妈方面还没有给予回复。上航旅游则表示3月15日开始不再受理韩国业务。

韩国旅游将受挫

据韩国官方统计数据显示,2016年1月至12月入境外国人为1741.8万余人。其中,中国游客人数最多,为826.8万多人,占47.5%。但2016年下半年中国游客赴韩旅游人数增幅锐减,韩媒称此或与韩国部署“萨德”反导系统带来的负面效应有关。

路透社随即报道称,部分中国旅游企业下架韩国游产品消息发出后,韩国旅游公司Hanatour 股价下挫7%,由此可见,“萨德”事件的持续发酵,引发了一系列连锁反应,而旅游业首当其冲。

“就出境游而言,韩国是非常主要的目的地,基本上日韩旅游是排在出境游前五位的,尤其是这几年,邮轮旅游非常盛行,日韩线路是常规的邮轮出游线路,因此这次部分旅行社下架韩国游产品后,会对韩国旅游、日韩邮轮旅游在近期造成直线下滑的影响。”劲旅咨询首席分析师魏长仁指出。

值得注意的是,中国游客赴韩国旅游的“买买买”热情也非常高涨,尤其是乐天等几家主要的免税店,经常挤满了中国游客。此次部分旅行社对韩国旅游产品下架后,旅游业界预计乐天等主要免税店的生意也会直接遭遇“滑铁卢”。

“以出境游而言,泰国、日本、韩国、欧美线路都是比较热销的,如今韩国游预计会直接下滑,那么接下来出境游的客流或许会分流到泰国、欧美等地区,出境游的格局会有所变化。”魏长仁认为。

航空公司观望

对航空公司来说,日韩航线也是航司开辟国际航线的首选目的地。目前三大国有航空在韩国航线上占有领先的市场份额,而包括春秋、吉祥、奥凯等民营航空近年来也在陆续开辟日韩航线。

据记者了解,目前春秋有国内多个城市直飞济州,以及上海、石家庄飞首尔的韩国航线,吉祥有到济州的航线,而奥凯则刚刚于去年底开始在韩国济州机场放置过夜飞机,希望打造以韩国济州为枢纽通往国内主要城市的航线网络。目前,奥凯已陆续开通天津、长沙、南京、重庆、宁波、杭州等国内城市往返济州的航线。

多家航空公司人士告诉记者,事实上韩国团队游的减少,从去年下半年开始已有体现,不过由于2015年有MERS疫情的影响,2016年的同比数据还是有所增长,北上广、东北地区前往韩国的航线客座率恢复到了同期水平,二线城市韩国航线的运力投入也逐步恢复。

记者从中航信获得的相关数据也显示,从2016年10月开始,中韩航线上国内航司的旅客量同比增减情况如下:10月3.15%,11月为-1.18%,12月8.46%,1月 6%,2月1.76%。

而对于旅行社陆续下架韩国游产品,多家航空公司也表示在密切关注后续的影响,有的已经在开会讨论对策,以便做出是否调整赴韩运力的决定。


記事によると、韓国のTHAAD配備に対する「強烈な抗議」があると政府に同調したもの言いをしていますが、本来メディアがすべきは、中国政府の今回のやり方に抗議することではないでしょうか。彼らには呆れてモノが言えません。

【追記】
中国は5月に実施される大統領選の結果をにらんで、クルーズの韓国寄航再開を決めるようです。THHAD配備を撤回すれば、クルーズ客を送るというわけでしょう。観光を政治の取引に使うこうした汚いやり方に怒りを禁じえません。

中国発クルーズの韓国経由便 6月まで運航中止継続か(朝鮮日報2017.3.16)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/03/16/2017031601446.html
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by sanyo-kansatu | 2017-03-15 12:01 | “参与観察”日誌
2017年 03月 02日

【自家広告】「ポスト爆買い」時代のインバウンド戦略~日本人が知らない外国人観光客の本音(扶桑社)

今月8日、扶桑社より以下の単行本を上梓します。
b0235153_1632283.jpg

「ポスト爆買い」時代のインバウンド戦略
https://www.amazon.co.jp/dp/4594076238

2016年に日本を訪れた外国人観光客は2400万人。しかも、前年より20%も増えています。それに気を良くしたのか、政府は2020年に4000万人という目標を掲げています。

ところで、日本を訪れる外国人のうち、欧米人の比率は10人に1人にすぎないことをご存知でしょうか。では、アジアの人たちは? なんと85%を占めているんです。全国各地で外国人観光客の姿を見かけるようになりましたが、その全体像についてどこまで我々は把握しているでしょうか。

本書では「なぜこんなに外国人が増えたのか」について以下の8つの理由を挙げています。

①行政主導で始まった地道なPR活動
②オープンスカイ協定による航空自由化
③アジア各国へのビザ緩和施策
④メディアが伝えた「外国人客の消費力」の浸透
⑤東日本大震災がひとつの転機に
⑥アジアのグローバル観光人口の増大
⑦日本の長期デフレが外国人客に与えた割安感
⑧アジアの中間層の成長と富の平準化

それぞれの項目の中身については、本書をご一読いただくとして、このうち①から⑤までは、日本がインバウンド市場の拡大のために実施した成果といえますが、後半の⑥から⑧は、海の向こうで起きていた国際環境の変化がもたらした結果といえます。もしかしたら、日本がどうこうしたからというよりも、海外で起きていた変化が今日の事態をもたらしていると考えたほうがいいのかもしれません。

それにしても、いまあらためて考えなければならないのは、外国人観光客の数だけ増えればいいのだろうか、ということです。最近、我々は彼らの増加がもたらした負の側面も知るようになってきたからです。本書では、こうした日本人にとって不愉快な出来事がなぜ起こるのか、解説しています。

本書は当ブログが日々観察している日本のインバウンド市場の表と裏を、できるかぎりわかりやすく伝えるために書かれたものです。個々の記事だけでは見通しが利かない訪日旅行市場の全体像と個別の事象の因果関係を整理しています。その明暗も含めた日本の近未来に与える意味を、詳細なデータと長期にわたる観察をもとに分析し、彼らの活力をいかに社会に有効に使えるか提言しています。

ぜひご一読いただけるとさいわいです。
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by sanyo-kansatu | 2017-03-02 16:05 | “参与観察”日誌